余計な世話3-1
更新が途切れがちですみません
そのまた次の日
「…………」
物音がしたので縫い物の手を止め顔を上げると春花さんがお茶を乗せた盆を持ったまま部屋の入り口で固まっていた。
「あの、春花さん?」
「その大量の着物の山はなんですか!?」
彼女の視線の先、私の横には兵士から預かった衣服がうず高くつまれていた。
「ここに来る方がみんな衣服が綻んでいたり破れていたりで見るに耐えなくて…。いっそ『全部見るから出しなさい』って言ってしまって…」
他の人も聞き付けたのだろう知らない兵士までここに押し寄せていた。
「春花さんの仕事の邪魔はしませんから…」
「いやいやそういう問題じゃなくてですね、ってもしかして反対の着物の山は繕い済のやつですか!?」
繕い物の山とは反対側にある衣服を目を見開きながら聞く春花さん。
「はい。簡単な物から始めてますからそんなに時間は掛かっていませんよ」
「いやそれちょっと手慰みの速さじゃありませんよ…」
そう言うと彼女は盆をテーブルに置き私が持っていた衣服を取り上げた。
「少し休憩して下さい!こんな量の臭いそうな着物、一日中相手になんかしちゃいけません」
「あ、あともう少しでそれ終わるのでそれまで」
「袖口取れかかっている物の繕いを『もう少し』なんて言いません!てかもうこれ、他の皆と手分けしましょう」
「他の皆?」
「里の女性陣もあなたに興味津々なんです。男でも少ししか見たことないから屋敷の外はティアルさんの美談が独り歩きしていますよ」
「は?」
差し出されたカップを危うく鳥損ねかけた。
「『病に冒された初対面のむさ苦しい男を一晩で癒した仙女』だとか『身ぐるみ剥がされたと思ったら甲斐甲斐しく着物直してくれた理想の嫁』とか」
「……………」
私は完全に固まってしまった。いつも妹達にしていたことがここだとひどい超解釈になってしまっている。
「ま、まぁ全部好意的に見てくれていますから気にしなくても………ん?」
固まったまま動かない私を慌ててフォローしようとした春花さんはふと窓の外を見やった。
「…どうかしましたか?」
つられて私も視線を移すと彼女は窓の下を覗いた。
「あんた達、どうしたの?」