ばれたら大変だよ
「あーーっと……私たちは旅をしている者でして、ジェリアン様が城の外で襲われているところを
助けた者でして……」
とっさに嘘をつきやり過ごそうとするハート。さっきまでぶつぶつ呟いていたボニーも正気に戻っており
「そうです。島を転々と移動し旅をしているのです」
ハートに合わせる。
「そうなのですか!? ジェリアン様!」
「は、はい、そうなのです」
「そ、それは有難うございました……そんなこととは知らず」
騎士はハートたちに向かって頭を下げる。
「いえいえ、大丈夫ですよ。してお礼の方を……」
外に出たことがばれている……お父様とお母様になんて言われるのか……ジェリアンはそう思っていた。
「はい! 喜んでさせてもらいます。どんな物を?」
「船一隻と町の事を教えてくれれば」
「そうですか……では至急船を用意させていただきます。町のことは地図を差し上げますので
どうぞこちらへ」
「「はーい」」
ハートとボニーは騎士についていってしまいジェリアンは独りになる。
あの方には私の悩みを言ってしまった……何故だろう?誰にも言うことなんてしなかったのに……
でも答えはくれなかった……それよりお父様とお母様の罰が怖い。
誰も助けてくれない。お父様とお母様が権力を持っているから……声を上げて助けを求めても誰も助けてくれない……無視されるだけ……
誰か助けて……
私のことを助けて……
「これがこの町の地図だ」
「有難うございます」
ハートは手渡された地図を受け取り目を通す。なるほどこの町いや、国は「アーディル」っていうらしい。
「船は用意に時間が掛かりますので、用意できるまでそしてお礼もかねて泊まって言ってくれと
王からの伝言です」
いつの間に王に伝わったんだ?まぁ城内だし情報伝達は早いだろうな。
「城の三階の部屋になりますのでこちらも案内いたします」
「宜しくお願いします」
黙って付いていく。さすが城内というだけあって騎士さんがわんさかいるなぁ……
「ここだ」
「有難うございますねぇ」
ハートはお礼を言うが騎士は
「いえいえ、ジェリアン様を助け、連れ戻してくださったのですから。ではごゆっくり」
と言ってから頭を下げ、どこかに行っていった。
「はーーい」
バタン……と扉が閉まる……と同時に
「はぁーーキャラ作るのって疲れる」
「ですね、でもばれるわけにはいきませんからね」
「そうだね」
……これからどうしようかねぇ
ねぇジェリアン?