お礼のレベルが違う
「……」
「……」
ハートとボニーは呆然としていた。
その理由は……
「どうかしました?」
部屋に山済みにされた金貨の山があることが原因だった。
「助けてくれたお礼です。受け取ってください!」
「いやいやいやいや! そんなの受け取れないって」
「そ、そうでしたか……これじゃ足りませんでしたか」
「そうじゃないよ!?」
いくら私たちが海賊だからといっても(ジェリアンには言ってない)こんなに受け取るのは……
ハートには海賊のプライドがあるのだ。受け取るのではなく、勝ち取る、見つける以外の方法以外は好かないのだ。といってもそれ以前の問題だが……
「お金じゃなくてね……」
「もしかして宝石のほうが良かったですか!?」
「い、いや違うんだよ?話聞いて……」
「違う? はっ!私としたことが……」
「やっと気づいたか」
「位が欲しいのですね!?」
「違うし!ってか位って何?」
位という言葉に引っかかるハート。
「位は位ですよ。身分のことです」
「えっ!?身分をあげれるってどういうこと?」
「言ってませんでしたか?私この町を、いや国を仕切る王の一人娘です」
「…………」
「お、王の娘って……」
また呆然とする二人。
どうりで豪邸に住んでいて金貨、宝石を惜しみもなくやると言えるわけだ……
「国を仕切る王の一人娘って……」
とういうことはここは城ってことか。
ボニーはまだ信じられないようで一人で部屋の隅でぶつぶつ呟いている。
それとは反対に……
「ほぇーーそうなんだ」
落ち着いているハート。
「はい、そうなんです」
「ん? じゃあ何で護衛もつけないで町に……」
お金を持っている王族、貴族が外を歩くときは護衛をつけなきゃ強盗にあったり、人質に使われたりとするもんだが。
「実は、こっそり抜け出したんです。外の世界を見てみたくて……」
「どういうこと?」
「私は王の一人娘……勉強やマナーの練習ばかり!遊ぶことは許されない。反抗すれば親に怒鳴られて、酷いときには叩かれたり……と、そんな毎日が嫌になり城を飛び出したのです」
「ふぇーーそうなんだ」
ハートはまだぶつぶつ呟いているボニーを眺めながら返事をした。
「ですが外に出たまでは良かったのですがあんな目にあって…私はどうすれば……」
俯き涙声になりながらいつの間にか自分の悩みまで打ち明けハートに問うが、
「……知らないよ。ていうかお礼を貰いに此処まで来たんだけど」
ハートは冷たく突き放した。他人の悩みなんぞ聞くために来たのではないし、何より此処は王族の住む城だ。一刻も早くハートはこの場を離れたかったのだ。
「そ、そうでしたね……では……」
冷たく突き放されショックを受けたジェリアンだったが本来の目的を思い出し望むものを聴こうとしたその瞬間だった。
バン!!!
と扉が強く開けられた。
「ジェリアン様! ご無事ですか!?」
鎧を身に纏った騎士が部屋に入ってきた。
「ん!? 貴様ら! 何者だ!」
騎士はハートたちを目にするとジェリアンを庇うように立ち、問いただす。