幕開け
ザパーーーーーーーーーーン!!!
荒れる海の中二隻の海賊船が戦っていた。
「撃て! 撃てーーーーっ!」
ドオーン ドオーン!
「うっ……くそっ、負けるっ!」
「今だ! 押せ押せーーーっ!」
ドオーーン!ドオーーン!
「船が沈む!?くそっ! お前は誰なんだ!?」
相手の海賊船に向かって言う。
「ふっふっふっ……私は最強無敵のハート海賊団の船長! キャプテン・ハートだ! 覚えておけ!!!」
「キャプテン・ハートだと!?」
「はーーーーーっはっはっはっ!自分の運命を呪うんだな!」
「くそっ……」
「さすがキャプテン・ハート様! 最強ですね!」
「憧れる!」
「えへへへへへそれほどでも~」
起きて……起きてください! ハート様!!
「はっ!? あれ? 私たち戦っていたんじゃ……」
倒れていた女性が起き上がる。
「何言っているんですか? ハート海賊団は戦いに負けて、船も大破して知らない島に打ち上げられたんですよ!」
「えっ!?」
「ハート海賊団の仲間たちもハート様除いて私だけですよ!?」
「えええええっ!?」
どん底の幕開けである。
「ゆ、夢だったなんて……」
「どんな夢見てたんですか……」
赤髪のショートボブの女の子が尋ねてくる。
「それはね……」
「言わなくていいですよ」
「酷い! 聞いたくせに」
今酷い扱いをされたのがハート。青髪のミディアムストレートでハート海賊団を率いていたキャプテンだ。
「それよりこれからどうするかです。船は大破、無くなっちゃいましたし。まさにどん底ですよ。有るのは銃が船長と私ので一丁づつ、剣は一振りしかありません」
「う~ん、でも諦めるのは嫌だし……とりあえず食料確保から! この島に町はあるのかな?」
「探索しないと分かりませんね……在ったとしても無一文ですから何も買えませんよ」
そう言うとチッチッチッと指を横に振りながら言う。
「私たち海賊だよ? 略奪するんだよ。ボニーくん」
「あぁ、そうでしたね……」
何もかも失っているので海賊だと言うことをボニーは忘れていた。
「じゃあ探索から始めようか」
「はーい」
砂浜から立ち上がるとハートたちは町を探して歩きだすのだった……