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「昨今の学園の風紀が乱れておりー」

どんよりとした会議室でフォンドブランク生徒会の生徒がまとめてきた事を発表している。そんな中、フォンドブランク生徒会会長であるエレクトリック・エレフェントは外を眺めていた。

会議の音をOFFにしてまだ沈まぬ太陽を眺めると、心が癒される。

「おい、エレクトリック。ちゃんと話を聞いてろ。」

親友にして敵のシエロネーロ生徒会のシェール・ブランクが注意をする。それの注意に反してさらに外を眺めて続けた。

「俺は会議なんて嫌いだ。」

「・・・お前、昔もそんなこと言ってたな。」

シェールが険しい表情で言う。

「?そんなことあったか?俺、昔は会議そんなに嫌いじゃなかったけどな。」

険しい表情が疑問の表情に変化した。

「え。昔から嫌いだっただろう。面倒臭くなっては俺に話しかけてたじゃないか。」

そんな事はなかった筈だ。記憶にない。

きっとシェールの勘違いだろう。


未来予知兼過去消失Ⅰ


日はとっくに暮れ、空は真っ暗になってしまった。エレクトリックは家に着くと制服を脱ぎ、風呂に入った。

風呂からでた時はスピアが寝間着を用意してくれていたので、着替えを済ませてリビングへ向かった。

「兄さん、紅茶飲む?」

「ん?あぁ。」

スピアがティーポットを傾けるといい香りが漂ってきて良い気持ちになった。

「そういえばシェール先輩から聞いたよ!また会議ちゃんとしなかったんでしょ!」

「(あいつ・・・スピアに言いやがって・・・)あぁ。」

「ちゃんとやらなきゃダメだよ!はぁ・・・。」

「んー・・・。」

ティーカップに口を付け返事をする。

スピアも同じく、砂糖を入れ紅茶を飲む。この時間帯はいつも兄弟でゆっくり学校の話をする。

「そういえば瑞葵がまた活動抜け出してどっかいっちゃってさぁ・・・。何があったんだろう・・・。」

スピアは眉間に皺を寄せ悩む。

一方エレクトリックは『あぁ、あの兄弟か・・・』とティーカップの中の紅茶を見つめながら思った。

「最近は兄さんといるって聞いたけど、二人で何してるの?」

少しビクッと肩を跳ねてしまった。

「・・・霧島が勉強を教えてくれってな。」

「あの瑞葵が勉強!?頑張るねぇ・・・今度何か奢ってあげようかな。」

スピアはふふふと笑った。


「なぁスカル。」

翌日。生徒会室で仕事をする。

今日は部活のみの日なので、皆熱心に取り組んでいる。

「なんだよ。口動かす暇があったら仕事しろ。」

「冷てぇなあ・・・。」

エレクトリックが拗ねる。それを見兼ねたスカルは仕方なくペンを置き、話に耳を傾けることにした。

「で、なんだ。」

面倒臭そうな顔をしている。

「俺、ある人の所に行かなきゃなんねーんだよな。で、俺が仕事ほおってその人の所に行ったら怒るか?」

「は?」

スカルは目を丸くした。そんなくだらない質問なのか、と思っているような顔をしている。

「だめか?」

エレクトリックが目を光らせ、スカルを見つける。

「・・・まぁ、人に会いに行く約束があるのなら行ってもいいが・・・すぐに戻ってこいよな?」

はぁ、とため息をつく。

「Ja.んじゃ、行ってくるわ。」

椅子から立ち上がり、扉を開け出て行った。


あるところ

「おい、きたぞ。」

「お、きたか。昨日はごめんな?」

律亜は昨夜、エレクトリックが寝ようとした所で頭の中に話しかけてきたのだ。それにエレクトリックは勿論怒った。

「・・・まぁ、お前達が住んでるこの空間じゃ時間もわからないだろうしな。許してやる・・・」

「いや、時計があるからわかるぞ。」

「・・・。」

エレクトリックの額に青筋が浮かんだ。無表情なので、威圧感が増している。

「ほ、本当にすみません・・・。」

今度は丁寧に謝った。

「はぁ・・・で、話ってなんだ。」

「おぉ、そうだそうだ。」

律亜が懐から分厚い本を取り出し、それをパラパラと捲った。

「お前、第三の能力があるの、知ってるか?」

「第三の能力・・・?」

エレクトリックが頭を傾げる。

「お前が自覚している能力は不死、力の限界を解放する。」

「そうだな。」

「この府箕県の人間で持てる能力は二つまで。だが、お前には第三の能力があるんだ。」

エレクトリックは目を丸くした。自分でさえ二つまでの能力しか備わっていないと思ったのに、第三の能力があるだなんて知らなかった。

「その第三の能力って・・・なんだよ・・・。」

「・・・お前、たまに見たこと無い光景とか、脳裏に映らないか?」

見たことない光景・・・?

「確かに、たまにあるぞ。戦闘してる時とかな。」

「それが、お前の第三の能力。『未来予知』だ。」

「未来予知・・・って、あの未来予知か・・・?」

律亜がクスッと笑う。

「それしかないだろ。冷静なお前でもそんなに戸惑うんだな。まぁ、そうだよな。同じ存在の俺も驚いた事だからな。

・・・で、その未来予知の代わりに何が失われると思う?」

エレクトリックは悩んだ。

「んー・・・。寿命?」

「お前、不老不死だろ。」

またクスッと笑う。今日の律亜は機嫌が良いようだ。

「何を失うか。それは・・・過去の記憶だ。」


何度か疑問に思ったこともあったんだ。過去の記憶が何もかもないという事を。

だが、昔スピアを幽閉した事だけは覚えている。

その前の記憶は・・・。


「だが、何らかの衝撃で思い出すらしいぞ。いきなり。」

律亜がまたペラペラとめくる。

エレクトリックは話の内容を整理した。

「つまり、俺は未来予知をするたびに過去を消すことになるが、何らかの衝撃で思い出すんだな・・・?理解した。」

「良かった。話はそれだけだ。」

帰ろうと思い立ち上がる。

しかし、エレクトリックは一つ疑問に思った。

「なぁ、俺とお前は同じ存在で、俺の能力も多少は受けついてるんだろ?」

「そうだ。」

律亜が立ち上がったエレクトリックを見上げ、首を傾げた。

「じゃあ、その第三の能力もお前に受けついでる事になるから、お前の過去も未来予知で多少は消えてるんじゃないのか?」

「・・・俺は過去の事は覚えていない。あ、それは未来予知の能力のせいじゃない。俺は一回死んでるんだ。」

「・・・それは初耳だぞ。」

そう、律亜が一回死んでいるということは今始めて聞かされた。ゾンビのような存在が自分と同じ存在だと思うと恐怖を感じる。

「ま、まぁ、こんな不思議な県だかあ、そんなやつらもいるよな・・・。」

律亜がクスッと笑う。

「如月山には昔不思議な奴らがいたらしいぞ?」

「お前・・・まさか、」

「おっと、俺は違う。俺は災害で死んだんだ。まぁ・・・全部あいつのせいだけど・・・。」

最後にボソッと呟いた言葉をエレクトリックは聞き取れなかった。

「?すまんもう一回言ってくれ。」

「ん?あ、いや、なんでもない。とりあえず話はそれだけ。お前も仕事があるんだろ?また副会長さんに怒られるぞ?」

律亜がヘラヘラと笑いながら言った。エレクトリックは仕方なくこの空間をでることにした。

「じゃあ、またな。また何かあったら言うよ。」

「あぁ。」

白い空間に扉の閉まる音が響く。


扉を抜けるといつも自分が勉強をしている図書館だった。

図書館に何故あの謎の空間に繋がる扉があるのか。何故その空間の中に人間がいるのか。少し疑問に思ったエレクトリックはそれについて探求することにした。

しかし、律亜は自分達の事を隠すようにしていた。

探求したら怒られるのだろうか。

「(・・・だが、あいつらは気付いてないな。黒崎兄弟とスピアと同じ存在の白鷺銀晶しらさぎぎんしょうについて調べるとするか・・・)」

そう思った瞬間、エレクトリックの目がギラリと光った。

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