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アナザーワールドへようこそっ!  作者: mitsuzo
第四章「夏期(サマーシーズン)へようこそっ!」 【069】
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第四章  【083】



  【083】




 俺は、また元の姿に戻り、フレンダとマルコのところへ戻って行った。


「フレンダ、マルコ。ケガはないか?」


 俺は、淡々とフレンダに声を掛けた。


「な、な、なな……」

「?……」

「な、何が、どうなっているんですの、あなたはっ?!」

「え、ええっ?!」


 フレンダが、堰を切ったかのように、大声で叫びながら詰め寄ってきた。


「ええっ?!……じゃないですわよ! それはこっちのセリフです! な、何ですか、今の力は?! というより、あの姿は何なんですか?!」

「あ、え、ええっと……ス、ストップ。タ、タンマ、タンマ?!」


 俺はフレンダの勢いに『一旦、落ちつこっ!』という体で宥めようとする。


「ストップじゃありません! これが、落ち着いていられますかっ!」


 で、ですよね~。


「わ、わたくしは……あんな魔法……見たことも聞いたこともありません。あなたは一体何者なんですか?」

「あ、い、いや、あれも魔法の一種……」

「うそおっしゃい! これでもわたくし、魔法に関してはかなり熟知しておりますのよ。その、わたくしでも、こんな魔法は知りません」

「うっ……」

「さあ、白状なさい。ハヤト……あなたは何者なのですか?」


 うーん、困った。


 まさか……『異世界者』とは言えないよな~。


 俺は、フレンダの質問にどう答えようか、悩んでいた……その時、


「フレンダさん! 今はそんな時ではありません!」

「「マ、マルコ……っ!」」


 マルコが、俺とフレンダの間に強引に入ってきた。


「今はそんなことよりも、他の生徒の救出に行きませんと!」

「きゅ、救出……? セントリアに戻るんじゃ……?」

「いえ。今なら、今のハヤト様の力なら、救出できるはずです!」

「た、確かに……」


 フレンダとマルコは俺を同時に見る。


「ああ……大丈夫。もう…………大丈夫だ! フレンダ、すまない。そのことは後でちゃんと話すから。今はとりあえず、ジュリアや、みんなのところに救出に向かおう」


 俺は、フレンダの目を強く見つめ訴えた。


「!?……わ、わかりましたわよ。そ、それじゃあ、終わったら、ちゃんと、お、教えるのですよ、約束ですよ?」


 フレンダは、少し頬を朱に染めながら、ハヤトに返事をした。


「わかった。必ず話すよ……ありがとう、フレンダ」

「べ、別に、お、お礼なんて……と、とにかく、約束ですわよ?!」

「よし、それじゃあ、急ごう!…………神通具現化ディバイン・フォース!」


 俺は、再度、『金色の戦士』を起動。


 そして、二人を両腕に抱えた。


「え、え?……ハ、ハヤ……ト……?」

「ハ、ハヤト様……?」

「しっかり捕まえてろよ、二人とも…………飛ばすぞ!」


 俺は地面を一蹴りした。


 ドンッ…………!?


「「え、え、えええええーーーーっ!!!!????」」


 俺は二人を両手に抱え、空を超加速した。


「な、なな、そ、空を、こ、こんな、速度……で……?!」

「ハ、ハヤト様……ス、スピード……出しす……ぎ……?!」


 俺は、二人には悪いが全速力でジュリアや皆がいるであろう『南東側の拠点』へ向かった。


「待ってろよ、ジュリア…………シーナ、アイリ!」



           ※



「おおおおおおりゃあああ~~~!!!!!」

「「「「「グガアアアアア~~~~~~!!!!!!!」」」」」


 大剣オーディンを一閃。目の前の数十の獣人族が吹き飛ぶ。


 そう――組合ユニオン総隊長ジュリア・フランヴィルである。


「皆の者、がんばれー! 今、セントリアに応援を遣わせた! すぐにやってくる! だから、決してあきらめるでないぞっ!」

「「「「「おおおおおおおおおおおおーーーーーーーーー!!!」」」」」


――『南東側の拠点』


 組合ユニオン総隊長ジュリア・フランヴィルは、隼人たちと別れた後、迫っていた敵を蹴散らし、『南東側の拠点』に着き、仲間と合流していた。


「ジュリア様! ご無事ですか!?」

「うむ、問題ない。エドガー、生徒たちは大丈夫か?!」

「はっ! 私の班の者は全員無事です」


 数十人の生徒を引き連れて、エドガー・バスティアーノが声を掛けた。


「そうか、よかった。サラは……サラ・スカーレットはどうした?」

「わたしはここだ、ジュリア」


 ジュリアの後方からサラ・スカーレットが声をかける。


「ふっ……相変わらず、しぶとい奴じゃ」

「ふん! それはお互い様だ、ジュリア」


 ジュリアとサラは同時に笑みをこぼす。


「ところでジュリア……お前の班のハヤト……」

「ジュリア様!……」


 シーナが、真っ先にジュリアのほうに駆け寄って声をかけた。


「んっ? お前はたしか……特別招待生の……」

「はい。シーナ・ニノミヤと言います。あ、あの、隼人は……お兄ちゃんはどこですか!」

「お前が特別招待生のシーナ・ニノミヤか。うむ、ハヤトやミラージュ家の娘、デルフォード家の男は無事だ。今、あいつらにはセントリアに応援を頼ませ走らせた。大丈夫、わたしの知る限りでは、ミラージュ家の娘もデルフォード家の奴も能力は高い。きっと戦闘経験・・・・の無いハヤトをちゃんとサポートして無事にセントリアに戻り、応援を呼んでくるはずだ」

「えっ?!……」


 シーナは、驚いた表情でジュリアを見る。


「?……どうした?」

「い……い、いえ……大丈夫です。ありがとうございました!」


 シーナは、一礼するとすぐにアイリたちのところへ戻っていった。


「シーナー! ハヤトたちは無事なの?!」

「シーナ! フ、フレンダ様はご無事なんですか?!」

「え? あ、う、うん。大丈夫よ。お兄ちゃんもフレンダもマルコも無事だって。今、セントリアに応援を呼びに言ってるみたい」

「そ、そう! よかった……みんな無事で」

「フ、フレンダ様、ご、ご無事なんですね? よかった……本当によかったです~~~~!!」


 アイリはホッと胸を撫で下ろし、ミラージュ家の分家貴族ベル・コリンズは地面にへたり込み泣きじゃくっていた。


「大丈夫よ、二人とも。フレンダもマルコも付いているんだから、きっと、お兄ちゃんたちがすぐに応援を呼んでくるわ」

「うん、そうだね!」

「あ、当たり前でしょ!? フ、フレンダ様は最強なんですからね! ふん!」


 アイリもベルも元気よく返答する。


「……」


 二人には笑顔で応えたシーナだったが、しかし、一人、困惑していた。


 どうして……どうしてあの人は、ジュリア・フランヴィルは隼人のことを、


『戦闘経験のない』


 と、知っていたんだ?


 もしかして、リサ・クイーン・セントリア女王陛下は『エックハルト・シュナイデンの捜索』を組合ユニオンにも声を掛けているのだろうか?


 いや、それはリサにとって何かと都合が悪いはずだ。では……ジュリア・フランヴィルだけが知っているってことなの?


 悩む。シーナは悩む


 しかし、シーナの悩みはこれだけではなかった。


 とりあえず、今はそれどころじゃない、か。それにしてもまずいわね、隼人がいないなんて。隼人がいれば、隼人の神通具現化ディバイン・フォースの力をわたしがうまく誘導できたのに……。


 シーナは周りを見渡す。


 周囲では、生徒も組合ユニオンの一般魔法士も自分の力を最大限に発揮し、獣人族の大群に対抗している。


「隼人の神通具現化ディバイン・フォースが期待できない今、わたしにできることか…………まあ、ひとつしかないわよね」


 シーナはフッと微笑して、キッと目に力を込め…………覚悟する。


『五回』しか使えない神通具現化ディバイン・フォースの発動を。


 それは、『五回』使った後、自分がどうなるのかを理解しての…………覚悟だった。


 シーナが両手を拡げ、目を閉じる。


「「シーナ……?」」


 アイリとベル・コリンズがシーナの異変に気づく。


 シーナは、二人が自分の異変に気づいたのを感じていたが、気にせず、精神を研ぎ澄まし、集中していく。


神通ディバイン……具現フォー……」



――その時だった。



「波ーーーーーーーーーっ!?」


 ドーーーーーーーーーン!!!!!


「「「「「!?……」」」」」


 突然、誰かの雄叫びがしたかと思うと、空から獣人族に向かって『巨大なエネルギーの玉』が突っ込んでいった。


「「「「「「「グギャアアアアアアアアアア…………!!!」」」」」」」


 獣人族の大群の中に突っ込んでいったエネルギー弾は、片っ端から獣人族を吹き飛ばしていく。


「なっ?! な、なんだ、今の巨大なエネルギー弾は!!」


 ジュリア・フランヴィルも驚きを隠せないでいた。


「ジュ、ジュリア様……! う、上を……!」

「上……?」


 ジュリアや、周りにいた組合ユニオンの魔法士、そして、シーナやアイリ、ベル・コリンズといった学校アカデミーの生徒たちも皆、一斉に空を見上げる。


「ジュリア! シーナ!」


「「「「「ハ、ハヤトっ?!」」」」」


 ジュリア、シーナ、アイリ、ベル・コリンズ、サラ、皆が一斉に隼人の名を叫んだ。


 フレンダとマルコを抱えた『金色の戦士』は、ジュリアたち、シーナたちのいる『南東側の拠点』に追いついた。





  「更新あとがき」




おはようございます。


台風も去って、なぜかやる気を出した、久しぶりの連続投稿の、


mitsuzoです。



記事更新しました~。


あっ! あと、「【アナザーワールドへようこそっ! 世界観】」の一部を変更しました。


「変更点」は、



精霊魔法スピリットを使える種族は、『妖精族エルフ』と『半妖精族ハーフエルフ』」



としていたのを、



精霊魔法スピリットを使える種族」は「半妖精族ハーフエルフ」だけ



としました。



これが、本来の「設定」だったのですが、調べたら間違っていたので訂正しました。


なぜ、気づいたのか?


それは、これから少し先の話で扱う情報ネタだったからです。


ということは……? 先の話で……? 半妖精族ハーフエルフの話が……?


まあ、予定は未定ですが、まあ、そんな感じです。



というわけで、本日も読んでいただき、ありがとうございました。


<(_ _)>( ̄∇ ̄)

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