第四章 【076】
【076】
そうして、俺たち学校の生徒は皆、『組合員』のグループと合流し、一通り、挨拶を済ませていよいよ出発となった。
「ようし! それでは、これより『組合実習』を行う。各自、組合員を先頭についてこい!」
と、副隊長のエドガー・バスティアーノの号令を合図に俺たちは動き出した。ちなみに移動は皆一人一人が馬で移動している。
そして俺たち、隊長ジュリア・フランヴィルが率いるグループは一番後ろ……「殿」にいた。
「それにしても総隊長さん……」
「ん? なんだ?」
「「……?!」」
二人がギョッとした顔で俺の顔を見た。
「?」
俺は二人の表情に気づいたが、特に声をかけることなくジュリア・フランヴィルとの話を続けた。
「その~……総隊長が『殿』ってなんか珍しくないですか?」
と、俺はふとジュリア・フランヴィルに聞いた。
「ん? そうか? まあ、わらわは個人的に皆を率いて先頭を走るのが単純に嫌いだからな……」
「え、そうなの? で、でもさ、もし後ろから奇襲とかされて総隊長がケガでもしたらマズイんじゃ……」
さらに、二人がギョギョッ! とするがスルーして話を続ける。
「構わん。そんな『奇襲』に気づけないような実力ならこの命くれてやるわ。わらわに限って、そんなことは絶対にないので何も問題はない」
「へ、へえ~……」
マ、マジかよ、この『幼女』って、そんなに強いの……?!
と、俺が半信半疑の眼差しでジュリア・フランヴィルと会話していると、
「ハ、ハヤト! あ、あなた、さっきから言葉が過ぎるわよ! フランヴィル総隊長に謝りなさい!」
「……フレンダ?」
と、慌てた様子で俺にマジ注意をするフレンダ。
「あ、あなた……まさかとは思うけど、ジュリア・フランヴィル総隊長のこと……本当に知らないの?」
「えっ? あ、うん」
「う、うそでしょっ?!」
フレンダがいつにも増して激しく絶句していた。
「ハ、ハヤト様、そ、それは、あまりにも知らなさ過ぎかと……」
「えっ! マルコまでっ?!」
あのマルコでさえも、俺のそのジュリア・フランヴィルを知らないことにひどく絶句していた。
「そ、そんなに、すごいの? この人?」
「「当たり前ですっ!」」
「ひっ……ご、ごめんなさい」
思わず、謝る主人公。
「まあ良い、気にするな。ハヤトはこの調子で構わん」
「「……ええっ?!」」
ジュリア・フランヴィルの言動に驚く二人。
「い、いいのですか、フランヴィル総隊長どの……?」
マルコが確認をする。
「フ、フランヴィル総隊長……本当にあんな、バカの失言を許すというのでございますか?」
さらにフレンダも確認をする。
「うむ、一向に構わん」
二人の確認に、サラっと答えるジュリア・フランヴィル総隊長。
「「ええええぇぇえぇぇえぇ~~~~!?」」
その答えにマルコとフレンダは絶句から絶叫へ。
「あと、お前ら二人……わらわの事は『フランヴィル総隊長』とは呼ぶな。下の名前の『ジュリア』で構わん」
「「子vじゃオjふぉjだじょいふぁそじょあいおてkじょてじ!!?!」」
最終的に言葉にならない叫びを咆哮する二人だった。
「ハハハ……面白いな、お前ら」
二人の反応に笑う隼人。
「い、いやいやいやいや、ハヤト! あ、あなた、今、とんでもないことを言われているのに、どうして、そんなことがわからないのよ! しかも張本人のくせにっ……?!」
と、隼人の『現状を把握していない言動』に、イラッとするフレンダだが、しかし、どう突っ込めばいいのかわからないフレンダがそこにいた。
「ハ、ハヤト様、これほどまでとは……」
マルコは、得体の知れない何かを見るような、そんな顔で一言呟いた。
「ふむ。まあ、二人が驚くのも無理ないがな……」
と、ジュリア・フランヴィルが淡々と呟く。
「フ、フランヴィル様……そ、それは、さすがに無理です! フランヴィル様を下の名前で呼ぶなどと……!」
と、フレンダがすぐにジュリア・フランヴィルに対し進言する。
「ダメじゃ。わらわの下の名前、『ジュリア』で呼ぶのじゃ。これは命令じゃ」
「い、いや……それは、さすがに、フランヴィル総隊長……」
「『ジュリア』じゃ!」
と、ジュリア・フランヴィルがフレンダに眼光鋭く、威圧を持って一喝する。
「ジュ……ジュリア……様」
フレンダは、ジュリア・フランヴィルのあまりの迫力に、つい、下の名前で答える。
「おい……『様』がついておるぞ」
「そ、それだけは勘弁して下さい! あまりにも恐れ多いです!」
「そ、そうです……!」
フレンダとマルコにとっては、さすがに『様』を外すのはキツイようで、かなり深刻な顔で食い下がっていた。
「……ふむ。そうか、わかった。お前たちが言いにくいのなら仕方ない。『様』までは勘弁してやろう」
「「あ、ありがとうございます!?」」
フレンダとマルコはホッと胸を撫で下ろした。
「ハヤトは特に気にしなくてよいぞ。『ジュリア』と呼べ」
「わかったよ、ジュリア」
「フフ……その調子で頼む」
二人のそんなやりとりに、まだ実習がスタートとしているわけでもないのにグッタリしたマルコとフレンダがそこにあった。
「更新あとがき」
おはようございます。
今日から沖縄も涼しくなりました、
mitsuzoです。
ブログ更新しました。
できれば、このくらいの文章量で週2回更新できればと思っています。
というわけで、本日も読んでいただき、ありがとうございました。
<(_ _)>( ̄∇ ̄)




