第四章 【070】
【070】
「え? え? フ、フレンダ? つきあってくれないかって……そ、それって?」
「えっ?」
「えっ?」
しばし、沈黙の二人。
――そして、
かああああああ……。
見る見る顔を赤くしていくフレンダ。
「ちょ、ちょっと!? ち、違います! 違いますわよ! そ、そういう『付き合う』という意味では、あ、ありませんっ!」
俺の言っていることに対して理解が追いつくと、フレンダは猛然と『拒否ラッシュ』を浴びせてきた。
「そ、そこまで拒否しなくても……」
いくらなんでも傷つきます、フレンダさん。
「あ、い、いや……べ、別に、ハヤトを否定しているわけではなく……つ、付き合うのが嫌とかそういうことでもなくて……その……」
「……えっ?」
すると、再度、頬を赤らめて、
「あ、いや、だから……と言って『ハヤトと付き合う』ということではなくて、あ~ん、もうっ! と、とにかく、そういう話ではなく『付き合う』というのは、わ、わたくしと一緒に『夏期になったら組合に付き合って欲しい』と言いたかったんです~っ!」
「?……ユ、組合?」
ふう……と、一気に捲くし立てたフレンダは一息つき、そして、
「はい、組合です…………えっ? も、もしかしてハヤト、あなた……組合ご存知ないの?」
ドキッ!
「は、ははは……」
笑ってごまかしてみた。
「笑ってもごまかせませんっ!」
しゅん……がっくりうずくまるハヤト。
「もう信じられませんわ! どうして『特別招待生』というエリートなのに、そんな『基礎の基礎』である『組合』のこともご存知ないのですか? 全く、考えられません!」
「ご、ごめんなさい……」
とりあえず、謝ることしかできませんでした。
「ふう、まあ、よろしいですわ。それじゃあ、まずはハヤトには『組合』のことを説明しますわね」
「す、すみません……よろしくお願いします」
「いいですか? 一度しか言いませんからねっ! ちゃんと、しっかり、耳の穴をキレイにして、集中して、お聞きくださいませっ!」
「は、はい~!?」
もう完全にフレンダのペースとなりました。
「『組合』とは、わたくしたち『学校の生徒たち』と、『一般の魔法士たち』とでパーティを組んで他種族との戦闘地域へ行き、王国のために戦う組織です。しかし、まあ、どちらかと言うと『王国軍のサポート役』というのが主な任務ですが……」
「それって、実際に戦争に参加するってこと?」
「まあ、大まかに言えばそうなりますわね。ですが、あくまで組合は『王国軍のサポート役』……なので、どちらかと言うと、王国軍が相手するほどのものではない敵の殲滅や、雑用を任されることが主です」
「ふーん……」
つまり、『王国軍』のパシリ的な? そんな感じかな?
「それに、わたくしたち一年生はいきなり『戦闘に参加する』ということは通常はありません。最初の一年間は『一般の魔法士』の後ろで見学するだけです」
「そ、そうなんだ。よかった……もしかしたら、いきなり『戦闘に参加する』なんてことになるのかと思ったよ」
「大丈夫ですわよ、いきなり『戦闘に参加』なんて行ったら命がいくつあっても足りませんわ。ところで、その、わたくしのお願いというのは、その『組合』での『パーティ』を一緒に組んで欲しい、ということなのです、けど、ど、どうかしら?」
「えっ? ど、どうって?」
「だ、だからっ……もうっ! 訓練のとき一緒にパーティを組んでくださいって言ってるんですっ!」
「う、うわっ!?」
フレンダは俺の耳の横で声を張り上げ、そう叫んだ。
「み、耳元でそんな大声で怒鳴るなよ……!」
「ふ、ふんっ! 鈍感なハヤトが悪いんでしょ? それくらい察しなさいよ!」
「な、なんだよ、それ……」
「と、とにかく、どうなの? 組合の訓練では一緒にパーティを組んでくださるのですか!」
「……べ、別に構わないけど」
「えっ? い、いいのですか?」
「ま、まあ、誰かとパーティを組んでやらないといけないんなら、少しでも、面識のある奴のほうがいいからな……」
「そ、そう、ありがとう。それじゃあ、組合の訓練のときはよろしくね、ハヤト」
「ちょ、ちょっと待てよ、フレンダ」
「な、何ですの?」
「どうして、組合の訓練でパーティを組むだけのことで、わざわざ、俺一人を呼び出したんだ?」
「べ、別に深い意味はないですわ。少しでも腕のありそうな人と一緒にパーティを組んだほうが良い成績が取れやすいでしょ? それだけですわ」
「そ、それなら別にここに呼び出すのに俺一人じゃなくても良かったんじゃ……」
「もう、いちいち細かいですわね、ハヤト……男のクセに」
「な、なっ……?!」
「とにかく、そういうことなので組合の訓練のときはよろしくね、ハヤト!」
「お、おい……フレンダ!」
そういうと、フレンダは魔法を使ったのか、もの凄い加速でその場から走り出し、去ってしまった。
「な、なんだよ、あいつ……」
俺は、フレンダがわざわざここまで俺一人を呼び出した理由に、どうしても納得がいかず、その場でしばらく呆然としていた。
「フレンダのやつ、何でわざわざ、こんな回りくどいことを………………何だか、ものすごーくイヤな予感がするぞ」
――そして、組合の訓練が始まったとき、俺のその「イヤな予感」は的中することとなる。
「更新あとがき」
おはようございます。
仕事がもう始まってしまい、もう休みが恋しい、
mitsuzoです。
さて、話のほうは夏期に突入し、次回からは「組合」の話へと移行していきます。
それにしても、狙ったわけではありませんが、話の季節と現実の季節がちょうどリンクしているので、何だか書いてて不思議な気分になります。
第四章は、さらに話が動いていくと思いますので、これからもお付き合い&お楽しみいただければと思います。
というわけで、本日も読んでいただき、ありがとうございました。
<(_ _)>( ̄∇ ̄)




