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アナザーワールドへようこそっ!  作者: mitsuzo
第三章「春期(スプリングシーズン)へようこそっ!」 【行間2】
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第三章  【060】




  【060】




 サラ・スカーレット先生……『メガネツン女史』の『ムカついたらすぐに魔法発動するクセ』により一時的な緊張状態が起こったが、それは『いつものこと』という『ここまでテンプレ』くらいのイキオイで説明された俺は、逆に、『この国のトップ、余裕有り過ぎ』と思うと同時に、『あれだけの攻撃魔法や防御魔法を簡単に発動できるくらいの力を持っている』ことに驚かされた。


 とは言え……さっき見た『あれだけの魔法』が、この世界では『普通』なのか『すごい』ものなのかは、まだこの世界のことを知らなさ過ぎる俺の『主観』でしかないので早計かもしれないが。


 その後、サラ先生の『いつものクセ』も一旦収まり、改めて、学校アカデミーの理事長である元・側近魔法士ボディーガードのカルロス・ワイバーンからの説明が始まった……やっと。



「……今回の『不正侵入者インベーダーの捕縛失敗』の件、それにはエックハルト・シュナイデン氏が協力し先導したということが、現場で負傷した地区境警備隊ちっきょうけいびたいの報告によりわかっています。我々もあのエックハルト・シュナイデン氏が謀反を起こすなんて、とても信じられないことなのですが……ですが、それは事実なんです」

「カルロス……あなた、本気でそう思って言っているのですか? あの『エックハルト・シュナイデン』ですよ? 『第一次種族間戦争ファースト・スピーシーズ・ウォー』を終結させた、このアナザーワールドの『英雄五傑ファイブスター』の一人ですよ?」

「わかってます。わたしだって、『英雄五傑ファイブスターのエックハルト・シュナイデン』が謀反なんて到底信じられませんし、それに報告した現場の地区境警備隊ちっきょうけいびたいの者たちもその目で確認してはいるものの信じられないというお話でした。だから、我々は、こうしてサラ先生……いや、サラ……あなたの意見が聞きたいのです!」

「……カルロス」


 二人は、周囲を置いてけぼりにするほど熱の入った話をしていた。


 そんな二人の横で、先ほどのサラの魔法を簡単に防御した『側近魔法士ボディーガード室長』であるロマネ・フランジュが補足説明をしてくれた。


「エックハルト・シュナイデン……その男は、この世界で『英雄五傑ファイブスター』と呼ばれる称号を持つ者で、いわば、我々人間族の代表のような人物なのです」

「に……『人間族の代表』って、そ、そんなにすごい人物なんですか?」

「はい。なんせ、十五年前に起きた『第一次種族間戦争ファースト・スピーシーズ・ウォー』を終結させた『英雄五傑ファイブスター』の一人ですから」

「『英雄五傑ファイブスター』……?」

「はい。『英雄五傑ファイブスター』とは、『第一次種族間戦争ファースト・スピーシーズ・ウォー』を終結させるため、各種族が『種族』という垣根を越え、互いに協力し終結させたのですが、その時の人間族からの代表がこの……エックハルト・シュナイデンなのです」

「は、はあ……」


 何だかよくわからないが、とにかく『すごい人』ということだけはわかった。


「そんな『英雄五傑ファイブスター』のエックハルト・シュナイデンが謀反を起こすなど到底信じられないのはサラだけでなく、カルロスや我々も同じこと……なので、今回、そのエックハルト・シュナイデンの弟子にあたる『サラ・スカーレット』に会って、何か心当たりがないか聞き出そうとしたのが今日の『もうひとつの本題』だったのです」

「な、なるほど……」


 さっきはサラ先生の『クセ』のおかげで多少混乱はしたが、これが本来の目的だったわけか。


 つまり、それほど、この『エックハルト・シュナイデン』という人物の謀反というのは考えられないことだったということか。



「……でも、それって別の言い方をすれば、『エックハルト・シュナイデンの謀反という脅威であって欲しくない』と言っているようにも聞こえますけど」



「!? シ、シーナッ!?」

「……」


 俺とロマネよりも少し離れて話を聞いていたシーナが、冷静な、極めて冷静な顔つきで、ロマネを凝視しながら話に入ってきた。


「ロマネさん、少し気になる点があるんですけど……」

「……何ですかな?」


 ロマネもまたシーナのクールな指摘に対して動じることなく、こちらも極めて冷静な顔つきで、かつ、シーナよりも深い洞察の目が入った表情でシーナを見つめ返す。こちらも別の意味で『一触即発』っぽい展開になっていた。


 ちょっと置いてけぼりを食らっている俺と女王陛下のリサは、しょうがないので、とりあえず、『カルロスさんVSサラ先生』『シーナVSロマネさん』を肴に、リサが入れてくれた紅茶とそこにあったお菓子で『紅茶の時間ティータイム』を愉しんでいた。


「それにしてもハヤトも大変ね……シーナみたいな勝気な妹を持って」

「いやいやいや、それよりもリサのほうが大変そうだよ……あ、この紅茶、おいしい!」

「でしょ? これ、最近みつけた私のお気に入りなのっ! いっぱい飲んで」

「ありがとう、あ、このお菓子もおいしいや」


 そんな俺とリサの『ほのぼの紅茶の時間ティータイム』を他所に、『カルロスさんVSサラ先生』『シーナVSロマネさん』はどんどん展開していった。



――『カルロスさんVSサラ先生』の現場から



「サラ……エックハルト・シュナイデン氏はどうしてこんなことをしたんだ? 何か心当たりは無いのか?」

「あるわけないだろ?! 私だって今日、今、話を聞いてビックリしているくらいだぞ! それよりも、その地区境警備隊ちっきょうけいびたいの現場の報告は正しい情報なのか?」

「ああ、間違いない。報告はその現場……北地区ノース・エリア地区境警備隊ちっきょうけいびたい全員の証言だからな。しかも、その証言はわたし自らが確認をした。わたしの目にはその証言者たちが嘘をついているようには見えなかった」

「ふん、そんなの……カルロス、お前の目が節穴なだけじゃないのか?」

「煽るなよ、サラ……今はそんな茶々を入れるような話じゃないぞ?」

「茶々ではないよ、カルロス。実際、わたしはお前のことは信用していない。それはお前もわかっているだろ? わたしはお前のことをまだ許したわけじゃないし、これからも許すつもりはない」

「……サラ」


「……なあ、リサ」

「ん? 何だ、ハヤト?」

「カルロスさんとサラ先生ってどういう関係なの?」

「やだ、ハヤトったら……おませさん」

「ええっ……な、何、そういう関係?!」

「ふふ……知りたい?」

「も、もちろん」


 俺は、カルロスさんとサラ先生の二人の関係に興味津々で少し興奮していたが、それ以上に、この国の女王陛下であるリサの口から『おませさん』という言葉が出てきたことに別の興奮も覚えていた。


「二人はね…………タダの元・師弟関係よ」

「し、師弟関係?」

「そっ。元々、エックハルト・シュナイデンの弟子は二人いて、それがサラ先生とカルロスさんなの」

「な、なーんだ……そういうことか」

「何? 何? どういう関係だと思ったの?」

「い、いや、リサの言い方だと、二人は、その、恋人同士だったのかな……なんて」

「やーだー、もう、ハヤトったら!…………エッチ」

「は、はっ……?!」

「まあ、確かに二人とも美男美女だし、ハヤトがそう考えるのも無理ないけど……」

「い、いや……リサが変な言い方したからで……」

「何? 何か言った、ハヤト?」

「あ、い、いえ……」


 あ、あれ~? リサってこんな強引なキャラだったっけ? ちょっと主導権を持ってかれてるこの感じ……まるでシーナじゃないか。


 て言うか、もしかしたら、それって相手のキャラうんぬんじゃなくて、俺自身が女性からは『イジリやすい男』に見られているってことなのか? い、いや、そ、そんなはずはない! 俺はちゃんと芯を持ち、男気のある、超硬派で頼りがい満載の……、


「ちょっとハヤトッ!……人の話はちゃんと聞くっ!」

「は、はいっ!」


 俺はリサの強い口調に思わず、姿勢を正した。


「ふふ、ハヤトって良いよね……何だか、つい、イジリたくなるわ」

「リ、リサ……あのな~」


 ま、まずい!


 このままではリサの中に『イジリやすい男』という称号レッテルが張られてしまう!


 ここは食い止めねば……!


「でも、わたくし、そんなハヤトが……好きですよ」

「えっ?!」

「ふふふ……なんてね、冗談です」

「じょ、冗談……な、なーんだ、ハハ……」

「ふふ、そっ、冗談、冗談」


 というわけで、リサの中で俺は『イジリやすい男』の称号が与えられたのでした。





  「更新あとがき」




おはようございます。



「書きたいのに時間が取れない」……そんな毎日に日々追われている『なろう作家』の皆様、お互い頑張りましょうね


mitsuzoです。



更新しましたが、まだ話がそんなに進んでいなくてごめんなさい。


今週はできれば「二回更新」できるよう頑張りたいと思います。


……と言いつつ、いつもの「言うだけ」の可能性は否めませんが。



というわけで、本日も読んでいただき、ありがとうございました。


<(_ _)>( ̄∇ ̄)

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