表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アナザーワールドへようこそっ!  作者: mitsuzo
第二章「王立中央魔法アカデミー(セントラル)へようこそっ!」
36/104

第二章  【035】




  【035】




「『わからないけど力は使える』?…………どういうこと?」



 シーナはアイリの『どうして二人が『特別招待生』に選ばれたのか?』という質問に対して、『わたしたちは『魔法』以外の『力』を持つ存在で『天才児ニューエイジ』とも違う存在だから』と返答。しかし、その『『魔法以外の力』についてはわたしたちも知らない。だけどなぜか使える』という説明をしたため、アイリは『まったく訳が分からないよ状態』になっている。



 それにしても。


 シーナの対応を見る限り、どうやら『神通具現化ディバイン・フォース』のことは言わないつもりらしい。


 そして、シーナはアイリへさらに説明を続けていく。



「つまり、今のわたしとお兄ちゃんは、自分たちが持っている『力』の使い方だけはなぜか身体が知っているというか覚えているという状態にあるけど、その『力』の正体まではわからない…………そんな状況かな?」


 と、シーナ。


「そ、そうなんだ……。あっ! じゃあさ、あの二人に出会う前に見たあの『アポロニアの森』の中で見た『赤い光』って…………あなたたちの仕業?」

「うん。あれはお兄ちゃんが出した『大きな火柱』が原因。アイリが予想していた通りよ。最初は、この『力』についてあまり知られたくなかったし、アイリのこともよく知らなかったってのもあるから本当のことが言えなかったの。だから、アイリが『大きな火柱』って言ったときはビックリしたわ」

「やっぱりっ! あの『赤い光』は、わたしの見立てどおり『大きな火柱』が原因だったんだね?

「うん。ごめんね、隠してて」

「ううん、しょうがないよ。だって会ったばかりで何者かお互いわからない状態だったしね…………あっ! じゃ、じゃあさ、その『大きな火柱』って、わたしが予想したとおり、『10メートル級』だったの?」

「うん、ぴったし!」

「やったーっ! ふふん、やっぱりわたしの目に狂いはなかったってことね」

「うん。本当、すごいよ、アイリ」

「いや~それほどでも~…………て、ちょっと待って!『10メートル級の火柱』って、それ、誰が出したの?」

「? だからお兄ちゃん……」

「ええええっ! ハヤトが出したのっ!?」


 と、アイリが目を見開いてこっちを向いた。


「こっち見んなっ!」


 とは、言えるわけはなく(当たり前)、


「えっ? あ、いや~……まあ……。あ、でも、力の加減がまだうまくできてなくてさ、そのときは、つい、イキオイよく出し過ぎちゃって、シーナに怒られたんだけどね……ハハ」

「いやいやいやいや……! ハヤト、そんな『イキオイよく』で『10メートル級の火柱』って出ないから」

「えっ? そうなの?」

「当たり前でしょっ! わたしは『火属性魔法士』だから特によくわかるけど『10メートル級の火柱』ってそうとうなもんよ。わたしでだいたい『5メートル級』くらいだし……。あ、ちなみに、同じ年で『5メートル級の火柱』出せるのは数人しかいないからね。普通はわたしの年齢の魔法士だと『3メートル級』でも良いほうなんだから。まあ、ハヤトはわたしよりも3つ年上だけど、それでも『5メートル級』の火柱を出せるのは、おそらく数人レベルよ」


 と、アイリはガーッと一気に捲くし立てて説明。


「ふーん、そうなんだ……」


 一方、俺はアイリの言っていることがよくわかっていないこともあり、気の抜けた返事で応える。


 アイリは、そんな『気の抜けた返事』を出す俺を見て、大きくため息を吐きつつ、


「はああぁあぁ~……何で、そんな普通なのよ? あのね、わたしがあなたたちの気になるところは『そういうとこ』でもあるのよ」

「『そういうとこ』……?」

「そう。あなたたちを見ていると、まるで『この世界の人間じゃないみたい』に感じるの」


「「!?」」


 こ、これは……まさか、


 気づいたのか、アイリは?


「ど、どういうこと?」


 すぐさま、シーナが俺に代わり、アイリと話す。


「だって、そうじゃない。話を聞いていると、あなたたち『魔法のことをよく知らないみたい』なんだもん」



 うっ!


 やっぱり気づくよな、そこ。


『そういうとこ』=『魔法のことを知らないみたい』……てことか。


 しかし、シーナは即答で、そのアイリの質問に答える。



「そうね。でもアイリ…………言ったでしょ? わたしとお兄ちゃんは、『南地区サウスエリア』出身だって」

「!?……サ、南地区サウスエリア

「そう……『南地区サウスエリア』。わたしとお兄ちゃんがいた地区よ。あそこには……『魔法が存在しない』」



 !?


 ま、魔法が存在しない?


 そ、そうなのか? そんな場所があるのか?


 シーナは南地区サウスエリアと言った…………この間も、シーナは俺たちの出身エリアは『南地区サウスエリア』だと言っていた。


 つまり、その『南地区サウスエリア』には、俺たち『異世界の人間』を隠す上で、『都合の良い何か』があるってことなのか?


 シーナに早めに聞いときゃ良かった…………て言っても、それって今朝の話だし、それに、それまでシーナと会話する機会もそう多くなかったしな。


 とりあえず、ここはシーナにまかせて、話を合わせよう。



「ごめん、アイリ、語弊があるわね。より具体的に言うと…………『人間族が使う魔法は存在しない』」 


 シーナは、アイリに揺るがない自信で輝く瞳をまっすぐに向け、そう言い放つ。


「や、やっぱり、本当だったんだ…………噂には聞いてたけど……」

「噂……?」


 俺はアイリに尋ねた。


「うん。南地区サウスエリアには昔から『人間族が使わない魔法が存在する』って言われていたの」


 すると、シーナがすぐさま、アイリに問う。


「へーそうなんだ。わたしとお兄ちゃんは、これまでほとんど南地区サウスエリアからは出たことなかったから、そんな噂があるなんて初めて。ねえ、どんな噂なの?」

「え、えーとね…………まず、南地区サウスエリア以外の他の地区エリアはいろいろと交易が盛んなんだけど、南地区サウスエリアだけは、どことも交易を結んでいなくて、それでついた呼び名が…………『禁制地区フォビドゥン・エリア』」

禁制地区フォビドゥン・エリア……」

「そう。そして、その『禁制地区フォビドゥン・エリア』である南地区サウスエリアからの情報や品物は一切入ってこないんだけど、でも、それは、逆を言えば、南地区サウスエリアも一緒じゃない?」

「そ、そうだな……」

「そうなの。でもね、不思議なことに、南地区サウスエリアは他地区からの輸入に頼らなくてもやっていけている…………そんな地区エリアなの。すると、そこで皆が口々に噂をし始めたの…………『南地区サウスエリア……『禁制地区フォビドゥン・エリア』は、何か『特殊な魔法』を使って自活しているんじゃないか?』……てね」

「……なるほど」

「そして、その噂が人づてに流れて、いつしか南地区サウスエリアには…………『人間族が使わない魔法が存在する』っていう噂に変わったってわけ。でも、シーナの話を聞いてビックリだよ、本当にあるとは信じてなかったからさ、わたし」


 と、アイリは舌を出して、『テヘペロ』という『かわいい娘だけが許されるしぐさ』をしてくれた。


 ご褒美、ありがとうございます。


「……そうなんだ。じゃあ、アイリにはついでにちゃんと言っておくわね。この今言った『人間族が使えない魔法』というものの正体、それは…………『精霊魔法スピリット』のことよ」

「ス、『精霊魔法スピリット』……?」

「そう。そして、わたしとお兄ちゃんが持っている力は、その『精霊魔法スピリット』とはまた『別物』なの」

「ええええええーーーーっ!? べ、『別物』?」



 アイリ、思わず絶叫。


 顔や声に出さなかったが、俺も心ではアイリと同じ状況だった。


南地区サウスエリア』のこと、『精霊魔法スピリット』のこと…………シーナ、いつの間にそこまで。


 シーナのこの『半分真実』と『半分ハッタリ』を混ぜたような『交渉術』に、俺はただ感心させられるばかりだった。



「そう、『別物』。だから、わたしとお兄ちゃんは、この『力』の正体を暴くため、二人で南地区サウスエリアを出て、中央区セントラル・エリア」にいる『リサ・クイーン・セントリア女王陛下』へ相談に行ったの……そしたら、女王陛下から『この力は国としても重要な力だ』って認められて、それで、『王立中央魔法アカデミー(セントラル)』へ『特別招待生』として招かれたってわけ」

「そ、そうだったんだ……」


 アイリは、シーナの話に完全に…………飲み込まれたようだった。


「そういうことだからアイリ……ごめんね、いろいろ隠してて。でも、これがわたしとお兄ちゃんの『ここにいる理由』よ」

「そうかー……そうだったんだね…………わかったよ、シーナ」

「アイリ……」

「わたしもその『力』の正体、調べるの手伝ってあげる。こういうのは一人より二人、二人よりも三人……多いほうがいいものでしょ?」

「そうだね、アイリ……ありがとう、助かるわっ!」


 と、シーナは快諾。


「でもさ、その『力』……学校アカデミーでは秘密にするんでしょ?」

「うーん、そうしたかったんだけど…………生徒会のあの行動を見たら、どうしたらいいか、正直、少し迷っているところでもあるの」


 そう言うと、シーナはため息をついた。


「ふーん、そうなんだ……じゃあ、まさに今日のテーマ、『緊急生徒会対策会議』なんだね。よーし、それじゃあ、次はその本題の話をしましょ? ちょっと失礼……」


 と、アイリがおもむろに席を立つ。


「んっ? アイリ、どこ行くん…………痛てててっ!」


 俺がアイリに声をかけようとしたら、シーナに『頬つね』をされた(久しぶりっ!)。


「バカね、そんなの聞かないでよ。どうして、そう、鈍感なの?」


……んっ?


 あ、そうかっ!


 トイレ……ね。


「女の子がそんなの口に出して行くわけないでしょ? バカ」


 ごもっとも。


「それよりも……今の内にお兄ちゃんにも話があるの、今の『南地区サウスエリア』についての話よ」

「お前が、今朝、入学式前に『あとで説明する』って言ってたやつか?」

「……そういうこと」



 アイリがエチケットルームへ用事を済ましに行っている間、俺はシーナから『南地区サウスエリア』についての…………『真相』を聞かされた。







  「更新あとがき」




こんばんわ。


眠い~……もう一杯っ!


mitsuzoです。



さて、今日も更新しましたが、だんだんと話が広がりを見せつつある今日この頃。


できるだけ毎日更新できるようがんばりたいと思います。



というわけで、本日も読んでいただき、ありがとうございました。


<(_ _)>( ̄∇ ̄)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ