表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アナザーワールドへようこそっ!  作者: mitsuzo
第一章「アナザーワールドへようこそっ!」
14/104

第一章  【013】




  【013】




「何で、言い出しっぺのお前が『特別招待生』のことを知らねーんだよ?!」



「しょ、しょうがないでしょ! さっき兵士に見せたこの『紙』は『神』が用意したものだったんだから。あ、ちなみに今のは『神』と『紙』をかけたダジャレではないからね、お兄ちゃん」

「別に誰もそんなこと聞いてねーよ! て言うか、この後も、その『妹キャラ』そのままで行くんか?」

「うん。とりあえず、これからクセづけようと思ってるから、自分たち以外に人がいてもいなくても、これでしばらくはいくね。あ、でも、必要なときはキャラ戻ると思うから……ということで、よろしくお兄ちゃんっ」

「あ、うん」


 まあ、とりあえずシーナさんの好きにしてください。


「それにしても……わたしも、この『特別招待生』ってのが何なのかまでは知らされていなかったから、さっきの兵士さんの変わりっぷりには、すごく動揺したよ」

「何々だよ、一体。この『特別招待生』って……」


 俺とシーナは、神父とアイリに聞こえないよう、小声で言い合っていた。


「と、とにかく、これは『神』が用意した隼人を……じゃなかった、お兄ちゃんを学校へ入学するためのアイテムなんだから、とりあえず、これを使う以外に選択肢は無いよ、お兄ちゃん。だから、もう、あきらめて……腹を括れっ!」


 おい、最後、いつものシーナに戻ってるぞ。



 すると……、



「お、おーい、旅の人ーーっ!」



 声のほうを向くと、神父とアイリが「組み手」を終え、俺たちのほうへ走ってきた。


 特に、アイリは猛スピードで俺とシーナのところへすっ飛んで来た。



「ね、ねえ……君たち二人……『特別招待生』って本当?」



 ドキッ!


 き、聞かれてた! ま、まずい……ど、どうしよう。



 すると、後ろから神父がやってきて、


「こ、こらっ! アイリ! いきなり、そんな「不躾ぶしつけ」な質問するんじゃありません!」


 と、アイリを叱った。


 ナイス! 神父さん!


「コ、コホン。それで……その、『特別招待生』って本当なんですか?」



 やだ……、お父さんも「不躾ぶしつけ」!



 この親子、ある意味で「危険」だな。


 それにしても……どうしよう……こっちだって、この『特別招待生』ってのがどういうものか知らないというのに……どう答えればいいか。



 すると、ここでシーナがファインプレーを見せる。



「はい。実は……わたしと兄は兄妹で『特別招待生』として『王立中央魔法アカデミー』へ入学することになっています。ですが、このことを人に知られると、いろいろと不都合が増えるので、なるべく控えるようにしていたのです…………神父さん、黙っててすみませんでした」


 と、シーナが神父に向かって頭を下げた。


 シーナは、『特別招待生』のことは知らないと言っていた……でも、今、あたかも知ってるそぶりで話せているのは、さっきの兵士の態度や、この『特別招待生』という言葉ワードを踏まえて、カマをかけているからだろう。実際、シーナは今、神父に『王立中央魔法アカデミーに入学する』ということしか言っておらず、あとはこの言葉ワードから連想して、『それなりのこと』をちょっと付け加えているだけに過ぎない。



 しかし、どうやらそれだけでも『効果覿面こうかてきめん』だったようだ。



「や、やめてください! そんな……『特別招待生のシーナ様』にそんなことされたら、私のほうが困りますから!……だから、顔を上げてください!」


 シ、シーナ様……て、そんな『言葉遣い』が変わるほどなのか、この『特別招待生』というのは。


 大の大人が、初対面の女の子に対して、そこまで態度が変わるということは、『特別招待生』というのは、よっぽどの『扱い』なんだな。


「わ、わかりました……ですが、神父。これだけは約束してください」

「な、なんでしょう……?」


 と、言って、シーナは頭を上げ、


「わたしたち兄妹が『特別招待生』であっても、今後は普通に、最初出会ったときのように、『シーナさん』『ハヤトさん』でお願いします。これが、わたしが恐れていた『不都合』のひとつです。どうかお願いします」


 そう言って、シーナは再び、頭を下げようとした。


「わわっ! シ、シーナ様……やめてください」


 すると、すぐに神父がシーナが頭を下げようとするのを止めさせた。


「わ、わたしもシーナ様の意向を汲みたいのですが、如何せん、『特別招待生』というのは、この国……『セントリア王国』の『女王陛下』が直接お決めになった『勅令』ですから……」


 神父がしどろもどろで答えていると、


「ちょっと、ちょっとー、あんまりお父さんのこと、いじめないでくれる? シーナ様……」


 と、アイリが横から神父とシーナの間に入ってきた。


「だってさ、シーナ様がそんなこと言っても、女王陛下の『勅令』を破るようなことがあると、牢屋に入れられるのはお父さんなんだよ? だから、そんな『特別招待生』からそんなお願いされても、お父さんは、ただただ、困るだけなの、わかります?」


 と、アイリは『特別招待生』という、何かよくはわからないが、そんな『大きな特権』を持つシーナに対しても、言葉は選びつつも、真っ向から自分の意見をぶつけてきた。


 正直……男よりも男らしく見えた。


「ちょ、ちょっと待って、アイリちゃん。わ、わたしは別にお父さんを責めてるわけじゃないのよ? ただ、余所余所しくされるのが嫌だから、普通に接して欲しいと言っただけなの」


 と、シーナはアイリに弁解をした。だが、


「そうかもしれないけど、女王陛下の『勅令』を受けてる『特別招待生』なんだから、そんなことできるわけないじゃない?」


 と、ここでシーナが何か閃いたらしく、口元を一瞬、ニヤッとさせ、


「アイリちゃん、『特別招待生』のこと、詳しいんだね……どこまで知ってるの?」


 と、イタズラ口調でアイリに尋ねた。


 すると、アイリはにっこり笑って、


「知ってるも何も……わたしは『特別招待生に近い女』なんだよ! わたしほど、『特別招待生』のことを知っている人なんていないんだからっ!」


 と、自信たっぷりにシーナに宣言する。


「クスッ……それじゃあアイリちゃん、わたしとお兄ちゃんに『特別招待生』のこと、詳しく教えてくれる?」

「! い、いいですよ……っ!」


 シーナは、そう言って、あたかも『あえてアイリにしゃべらせて、『特別招待生』になる資格があるかどうか試してあげる』風な言い方で『挑発』した。そして、アイリもまた『シーナが、わざと自分に『特別招待生』のことを説明させて、その資格があるかどうかを試している』と察し、そのシーナの『挑発』に乗った。

 


 つまりは……アイリは、見事にシーナの作戦にハマったということになる。



 シ、シーナって、ただの『おバカ』なのか、それとも『全て計算している策士』なのか(さすがにそれは無いと思うが)、ちょっとよくわからなくなってきた俺は、戸惑いつつも、シーナという女の子に少し興味が湧いてきていた。




更新しました~。


今日は仕事が休みなので、お昼に更新~。


仕事休みでいっぱい「書き溜め」する予定でしたが、思ってた以上に進んでいない現状に、つい投げ出して、「2014年新作アニメ」を視聴するところで揺れていますww


まあ、そんなことをしたらいずれ「自分に返ってくる」ので、ある程度、安心できるくらいに「書き溜め」してから視聴したいと思います。


本日も読んでいただき、ありがとうございました。


<(_ _)>( ̄∇ ̄)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ