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アナザーワールドへようこそっ!  作者: mitsuzo
第四章「夏期(サマーシーズン)へようこそっ!」 【069】
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第四章  【097】

  【097】




 ガーギル・アーチボルトを殴り飛ばしたのは、もちろん、この男……二ノ宮隼人。


『金色の戦士』となっている二ノ宮隼人であった。


「そ、それにしてもハヤト様……何ですか? その金色の髪は?」

「ああ、これですか? これは、俺が力を出す時の『変身』みたいなものです。」

「『変身』……ですか?」

「はい、まあ気にしないでください。……それよりもリサは、女王陛下は大丈夫なんですか?」


 隼人は、ロマネが抱きかかえているリサの様子を窺う。


「は、はい、心配には及びません。リサ様は、今、少し気を失っているだけですので……」

「そ、そうですか。良かった~」


 隼人はロマネからリサの無事を確認するとホッと胸を撫で下ろす。


「それにしてもハヤト様……」

「ん? 何?」

「お、お一人で来られたのですか?」

「いえ、違います。生徒会長や他の何人かの学校アカデミーの生徒と、ジュリアや何人かの組合ユニオンの方々と一緒に来ました。今ちょうど、街の中で交戦していると思いますが、もう心配ないですよ。何せ、圧倒的な差で敵を蹴散らしていましたから」


 ニッコリと笑顔で答える隼人。


「ジュ、ジュリアとはまさか、ジュリア・フランヴィル総隊長ですか?」

「はい」

「お、おおおお……それは、何とも頼もしい」

「あと、生徒会長のヴィクトリア・クライフィールドもいますしね。もう最強ですよ、あの二人」

「お、おおお……」

「あと…………エックハルト・シュナイデンも一緒に来て戦っています」

「エ、エックハルト・シュナイデン!?」


 ロマネが、驚嘆の顔を浮かべ、さらに問いかける。


「い、いるのですか? 今、ここに……エックハルト・シュナイデンが?!」

「はい、います。ただ……」

「? ただ……?」

「ただ……姿を見たらビックリするかもしれませんが、ハハ」

「? どういうことですか?」


 ロマネが、隼人の答えにクエスチョンを浮かべる。


 とは言え、隼人もどう説明すればいいのか、わからず困惑している」。


(い、いや、どう理解させろってんだよ。『おっさん』が今、『幼女』となって生き返っているなんて……)


「ま、まあ、それは、後で本人から直接聞いてください。ちょ、ちょっと複雑な事情がありますので……」

「? は、はあ……? わかりました」


 後に、エックハルト・シュナイデンを見て驚くであろうロマネが容易に想像できた。


「さて……では、ロマネさん。これからみんなと合流しましょう」



「何を勝手に終わらせて……いる?」

「「!?」」



 突然、二人に『黒い炎』が襲い掛かってきた。


 隼人は、その『黒い炎』に特に動揺することなく、右腕で払いのけようとした。


 すると――。


「!? 何っ?」


 その『黒い炎』は弾け無くなるのではなく、払いのけようとした隼人の右手に絡みついてきた。


「ハ、ハヤト様……?!」


 さらに、その『黒い炎』は隼人の右腕から全身へとどんどん拡がっていく。


 隼人は、全身、『黒い炎』に包まれた。


「ふっふっふ、出て来ましたね、ハヤト・ニノミヤ。いや……………………二ノ宮隼人」

「?!」


 ガーギル・アーチボルトの口から、自分の『本名』が出てきたことに驚く隼人。


「な、何だ? お前は?」

「……自己紹介がまだでしたね、失礼しました。わたしの名はガーギル・アーチボルト。『闇属性の魔法士』です」

「や、闇属性? そ、それって……?」


(た、たしか、授業では、存在が確認されていない『属性』だって……)


「わたしは『神様』からこの力を授けられました」

「?!……か、神様、だと!」


(ま、まさか、その神様って……)


「隼人様のお気づきのとおり…………『新しい神様』のことです」

「?! あ、新しい神様だと!」

「はい……」


 隼人がガーギル・アーチボルトの言葉に困惑を隠しきれないでいた。


「お、お前の目的はなんだ……」

「目的……ですか? わたしの目的は……」


 そう呟きながら、ガーギル・アーチボルトは隼人に深く頭を下げる。そして……、


「……二ノ宮隼人を『闇の王』として君臨させることです」

「なっ……?!」


 すると、隼人に、両手を向けてガーギル・アーチボルトが叫んだ。


洗脳侵食イローション序の段!」

「!?」


 ガーギル・アーチボルトが魔法を展開。隼人に纏わり付いていた『黒い炎』がベルトのようになり、隼人の顔以外の全身を締め付け出した。


「な、何だ、これは?!」


 グググ……と、『黒い炎のベルト』はどんどん隼人を締め付けてくる。


「『洗脳侵食イローション』……それは、闇属性特有の魔法。効果は、相手を『洗脳し、意のままに操る』というものです」

「なん……だと?!」

「隼人様ーーーーー!!!!!!」


 ロマネが叫ぶ。


「わたしの目的は二つ。『この世界を征服すること』と、そして、『二ノ宮隼人を洗脳し、闇の王として君臨させること』です」

「せ、洗脳? や、闇の王……っ!」

「そうです。わたしは神から二ノ宮隼人、お前を闇の王として君臨させるよう命じられました。この『闇属性の力』を使って……」

「な、なぜ……俺を?」

「さあ、そこまでは知りません。別にそんなのには興味がありませんから。わたしが興味があるのはこの世界、アナザーワールドの支配……それだけです」

「ア……アナザーワールドの支配」

「そうです。わたしはこの世界の神となる。わたしをバカにし、排除したセントリア王国や側近魔法士ボディーガードの連中を殺して!」

「……」

「その為に、あなたのような『特別招待生』や、他の学校アカデミーの生徒、そして、組合ユニオンの連中も邪魔ですので、獣人族を洗脳し、襲わせたのです」

「!? あ、あれは……お前の仕業だったのか?」

「そうです。『組合ユニオン実習』は、セントリアから学校アカデミーの生徒と組合ユニオンの連中がいなくなる……そのチャンスを見逃さない手はないでしょう」

「こ、この……野郎」

第一次種族間戦争ファースト・スピーシーズ・ウォー終結の為、命を投げ出した『英雄五傑ファイブスター』の一人、エックハルト・シュナイデン……奴を、利用する手筈だった。しかし……『以前の神』の干渉により、それは失敗に終わった」

「『以前の神』の干渉……?」

「そうだ。『以前の神』は、エックハルト・シュナイデンを俗世から離脱させ、森へと移し、そこで結界を展開させた。そのおかげで、俺たち『闇の者』からは察知されないようにし、二ノ宮隼人が訪れる今まで、隠れる生活を送ることとなったのだ」


 ガーギル・アーチボルトがさらに続ける。


「そして、二ノ宮隼人がこのアナザーワールドに姿を現したのと同時に、『以前の神』が再度、エックハルト・シュナイデンと接触し、『今のような姿』に変わり、『管理者アドミニストレーター』としてアナザーワールドに顕現したのだ」

「?……今のような姿?」


 ロマネが再度、首をひねる。


(あ、ロマネさん。すみません、その話はまた後でしますね)と、隼人は心の中でロマネに呟く。


「……その後、『新しい神』が『以前の神』を消滅させ、今に至るというわけです。そして、『新しい神』は、二ノ宮隼人、あなたを今度は『闇の王』と君臨させ、『神殺し』を計画したのです」

「か、神殺し……だと?」

「そうです。『以前の神』の抹殺です。それが、わたしたち『闇の者』や『新しい神』の目的です」

「……な、なるほど、そういうことだったわけね」


 依然、『黒いベルト』は隼人を締め付けている。


「そういうことです。なので、あなたは、これからわたしの…………『操り人形』として生きていくので……!」

「全力でお断りします」

「!?」


 隼人が、ガーギル・アーチボルトに言葉を返した瞬間、金色のオーラが一瞬で『黒い炎のベルト』を弾け飛ばした。


「!? な、何っ?!」


 驚くガーギル・アーチボルト。


「何? じゃないよ。このくらいの魔法……神通具現化ディバイン・フォースの前では」

「?! ディ、神通具現化ディバイン・フォース……だとっ!? な、なぜ、お前が神通具現化ディバイン・フォースを……?!」

「えっ? なぜって……知らなかったの? あんた……」

「わ、わたしは、そんな話……二ノ宮隼人が『神通具現化ディバイン・フォース』を使うなんて聞いてないぞ! 『あの方』と同じ力を持つなんて……」

「あの方?…同じ力?」


 その時――。


 ドーーーーーン!!!!!


「「!?……」」


 突如、空から『黒い雷』がガーギル・アーチボルトを貫いた。


「…………」


 ガーギル・アーチボルトは、一瞬で、その場で黒炭と化した。


≪ガーギル・アーチボルト……しゃべり過ぎだ≫


「!? だ、誰だっ!」


 突然、空?……から『声』が響き渡る。


 その『声』は、低く、不快感や違和感、嫌悪感や憎悪感といった『負の感情』を喚起させるような、ずっと聞いていると『頭がおかしく』なりそうな……そんな『声』だった。


≪この世界では『初めまして』……だな、二ノ宮隼人。わたしが『新しい神』だ≫

「!? この世界……?!」

≪そうだ。そして、『今のお前』では、まだわからないだろうが、わたしはお前を…………以前から知っている≫

「えっ……?!」

≪しかも……地球にいた時代からな≫

「な、何っ……!?」


 隼人が目を見開き、驚く。


≪ふふ……まあ、よい。楽しみはこれからだ、二ノ宮隼人よ。とりあえず、ここは引かせていただくとしよう。また、すぐに会うがな……≫

「お、おい! ま、待てよ……! 俺はお前に聞きたいことがまだ……!」

≪まあ、そう焦るな、二ノ宮隼人…………………『ゲーム』はこれからだ≫

「ゲ、ゲーム……?!」

≪……さらばだ≫


 その『言葉』と同時に、あの『禍々しい声』が完全に消えた。


「な、何だよ、今の……? どうなってんだよ、一体っ!」


 俺は、しばらく、何もできず、その場で立ち尽くしていた。



  「更新あとがき」




おはようございます。


いよいよ2014年も終わりますね、


mitsuzoです。



更新しました~。



これが、2014年最期の更新となります。


去年の12月25日から始まったこの「アナザーワールドへようこそっ!」も、1年を迎えました。


正直、ここまで続けられるとは思いませんでした。


2015年は一旦、この「アナザーワールドへようこそっ!」は第一部を終わらせて、その後、また続きを書くか、新しいのを書くのかは未定です。


でも、何かしらは書きたいと思います。


読んでいただいた皆さん、ありがとうございました。


また2015年もよろしくお願いします。



というわけで、本日も読んでいただき、ありがとうございました。


<(_ _)>( ̄∇ ̄)


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