第四章 【094】
【094】
「なるほど……『袋の鼠』ということか」
下へと降りる階段や通路は、すべて、獣人、操られた側近魔法士と修道会の信者によって塞がれていた。
(ハッハッハ……ロマネよ、残念だが、貴様はここで陛下共々、死んでもらうぞ)
ガーギル・アーチボルトは、勝ち誇った声で叫ぶ。
「ロ、ロマネ……」
リサが、恐怖のあまり、ロマネの袖を掴んだ。
「……」
ロマネがそっと目を閉じる。そして……、
「ガーギル・アーチボルトよ……最後に聞かせて欲しいのだがよいか?」
ロマネが静かに問いかけた。
(なんだ? 命乞いか? クックック、いいだろう……聞いてやるぞ、ロマネ・フランジュよ)
ガーギル・アーチボルトが高笑いしながらロマネの問いに答えた。
「……貴様、この力、『闇属性の魔法』と言ったな? それは本当か?」
(ああ。わたしは、この『闇属性の魔法』を『神』から授けられたのだ)
「神……?」
(そうだ。まあ、お前にそんなことを言っても信じないだろうが、これはわたしの『セントエレナ様』への信仰心が起こした奇跡なのだ)
「それは、セントエレナ修道会、全ての者が『闇属性の魔法士』ということなのか?」
(そんなことはない。『闇属性の魔法士』は、このわたし……唯一のみだ。まあ、今となっては、セントエレナ様のご加護により得た『闇属性の力』があれば、もう、セントエレナ修道会など、どうでも良い。これからは、我、『ガーギル・アーチボルト』がこの世の神……支配者となるのだからな)
ガーギル・アーチボルトは自身の弁に酔いつつ、さらに話を続ける。
(貴様たち、二人を殺した後は、セントリア王国を統べ、すべての種族を支配し、わたしがこの世界の王として君臨するのだ)
「なるほど……。ということは、今回の反乱の件は『セントエレナ修道会』は関係ないということだな?」
(無論だ。もはや、わたしにとって、セントエレナ修道会は何の意味もない)
「そうか。では…………お前をみつけ、処分しても関係ないということだな?」
(なにっ?!)
そう言うと、ロマネは懐から2枚の『魔法符』を出し、魔法を発動させる。
「術者防御 レベル8!」
「火炎爆砕 レベル6!」
ロマネとリサを囲むように、虹色の膜が展開すると同時に、ロマネの身体が炎に包まれ、胸元に寄せていた両腕を一気に外へと拡げた。
瞬間。
ロマネを中心に、『炎の塊』が四方八方、上下左右へ飛び出した。
その『炎の塊』は、虹色の膜で保護されているロマネとリサ以外のすべて……敵はもちろん建物ごと、すべてを破壊していった。
ロマネとリサは虹色の膜に包まれた状態で、ゆっくりと地上へ足を着ける。
二人の周囲には、建物の瓦礫と一緒に、獣人、修道会信者、操られた側近魔法士が倒れていた。
(バ、バカな……! あれだけの数を一瞬で……)
「ガーギルよ……お前、少し、舐めすぎてはせんか? 側近魔法士室長を」
(……)
ガーギルから饒舌が消え、一瞬無言となり、そして……、
(そうだな、少し舐めてたよ、お前を。お前は、わたし自らの手で……葬り去る)
ガーギルがそう言い放った瞬間――ロマネとリサの目の前に、突如、『黒い渦』のようなものが現れた。
「!?……な、なに?!」
リサが、目の前の『黒い渦』に反応する。
「リサ様、わたしの側から離れないでください……」
そして、その『黒い渦』の中から、音も無くスーッとガーギル・アーチボルトが出現。
「ロマネ…………殺す」
「……」
ガーギル・アーチボルト……その顔は、人間のソレを超えた『形相』だった。
「『人』を捨てたか……ガーギル・アーチボルトよ」
ロマネ・フランジュとガーギル・アーチボルト、両者が激突する。
「更新あとがき」
おはようございます。
沖縄もグッと冷え込んでいます、
mitsuzoです。
更新しました~。
業務連絡でした~ww
というわけで、本日も読んでいただき、ありがとうございました。
<(_ _)>( ̄∇ ̄)




