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蝶を飼う  作者: 鮎川 了
第一章 黒い蝶
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見えない明日





 借金を残して父が居なくなったのは俺がまだ高校生の時だ。

 小さいながらも会社を経営していたわが家の、それが不幸の幕開けだった。事業の穴埋めをしようとあちこちから金を借りたらしく、取り立てに来る連中はいかにも町金が雇った柄の悪い奴等が多かった。

 代表取締り役が消えたのだ、“専務”とは名ばかりの経理担当の母はその後の対応や借金の返済に追われたが、気丈に振る舞っていた。


 しかしある日、その母も壊れた。

 母の精神を繋いでいたたった一本の細い糸。それが切れたのだ。

 従業員は全員辞めていたし、親類は既に他界していたり行方知れずになっていたり、頼れる者は誰一人として居ない。

 俺は通って居た高校も辞め、がむしゃらに働かなくてはならなくなった。

 しかし、高校中退で大した職にも付けず、稼いだ金は全て借金の返済と母の入院治療費に消えた。


 そんな生活をもうかれこれ十年も続けているのだ。

 夜羽と言う胡散臭げな女が持ちかけた“商談”に希望を持っても何の不思議も無いと自分でも思う。

 しかしそれは“庭師”とは名ばかりの“殺し屋”だ。

 人間としての一線を越えなければならない。 

 何の目的で人を殺さねばならないのかも疑問が残る。 


 この、明日の見えない毎日に一筋の光が見えたような気がするのは既に俺が母の様に“壊れてしまっているから”なのかもしれない。


 いいさ、どうせ今のままじゃ未来など無い。

 堕ちる所まで堕ちるのも一興。  











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