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第四章 カラス退治

「クー、カラスの巣を探りに行きましょう」

「くぅ?」


 私がこう提案したのにも訳があります。釜茹で亭のお客さんが噂していたのを聞いたのです。この街を治める御領主の姫様のペンダントがカラスに持ち去られたらしいと。カラスは光物を好みますが、この時期は巣作りの季節。つまりカラスの巣材として持って行かれた可能性が高いのです。これを手に入れて御領主の所に持って行けば、結構な褒美がもらえるでしょう。今までのようなカツカツの、その日の収入に一喜一憂するような生活からおさらばすることができます。安定っていい言葉ですね。


「分かった。やる」


 いい返事です。

 さて、肝心のカラスの巣ですが今までカラス狩りをしてきた経験上、そして私が空から偵察してきた結果から東の林にあることが分かっています。私の背中の翼は伊達ではないのです。

 ともあれ十分な数のパチンコの弾、万が一ケガした場合のための止血用のヨモギ。これらを準備してカラスの巣に向かいます。

 巣作りの季節は繁殖の季節。カラスは巣を守るために巣に近づく人間を威嚇したり襲ったりしてきます。ですから巣に近づいたらまずはパチンコでカラスを仕留め、安全になった所で木に登りカラスの巣を探ります。


「くぅっ!?」

「クー! 大丈夫ですか?」


 カラスからの攻撃は受けなくともこの木登りで足を滑らせ細かな傷を作ったりしましたが、幸い大きなケガではありませんでしたからヨモギで止血しておけば十分でした。カラスの巣には木の枝の他、針金や銅貨等の光物や紐、布切れ等が使われていて使えそうな物は回収して回ります。特に針金は拾い物でしたね。様々な用途に使えそうです。

 結局その日はペンダントは見つかりませんでしたが、倒したカラスと巣から得た戦利品を持って凱旋したのでした。増え過ぎたカラスの有害鳥駆除ができ、同時に倒したカラスは釜茹で亭で食用になる。無駄が無くて結構なことです。




 翌日は朝から雨。

 雨具を持たないクーはじっとして少しでもカロリーの消費を抑えるしかありません。収入がない日は食べない日、というのがクーの行動パターンみたいですけど。

「一日なさざれば、一日食わず」とは祖父が言っていた言葉でしたが、出典はどこにあるんでしょうね? いえ、祖父はこれを食事の支度が面倒な時の言い訳にしか使っていませんでしたので本来の意味からは程遠い使われ方をしていたのだと思いますけれど。

 まぁ、そんな非生産的なことをしていても仕方がありませんのでここは室内でもできることをしようじゃないですか。


「そうじゃなくて、クー、もっと先を曲げて……」


 クーに針金で釣り針作りをさせようとするのですが上手く説明することができません。こう言う時、この世界に触れることのできない我が身が歯がゆくなります。何しろ絵を描いて教えてあげることすらできないのですから。


「ああ、そうじゃなくて」


 クーの背後から作業を見守っていて思わず手を出してしまった、その時でした。


「ええっ?」


 針金を触っている確かな感触。これは…… クーの手の感覚? どうやら私は取り憑くことでクーの身体を使うことができるようでした。


「アーヤ?」

「ああクー、済みません。貴方の身体を勝手に使ってしまって」

「んーん。いい」


 逆にクーは心地良さを感じているようで私に身を委ねてきました。私にもクーの身体の感触は温かで、まるで体温の高い子供か小動物にでも触れているかのようでした。


「そうですか。それで良いならこのままで釣り針を作りましょう。きちんと覚えて下さいね」


 まずは昨日カラスの巣から取ってきた針金の先を釣り針状に曲げてあげます。釣り針の元の部分は細い棒に針金を巻いてアイと呼ばれる針と糸をつなげるための穴を作ります。


「アイの部分は石で叩き固めましょう」


 針金は焼きが入っていませんから加工は楽です。釜ゆで亭の軒先で石を片手に平らに処理します。

 そして、いよいよ焼き入れ。釜茹で亭の炊事場に失礼して、針先を竈の火で炙ります。まだ釣り針部分はカットしていませんから、針金の元をぼろ布で持っていれば火傷することもありません。十分に熱してから水を満たした木の桶に突っ込み、急冷。


「おー」


 ジュッと音を立てて冷やされる針金に思わず目を丸くするクー。これで焼き入れができました。後は針の部分を針金から切り離す作業ですが、先ほど石でアイの部分を叩きましたのでその辺はもろくなっています。何度か繰り返し折り曲げると簡単に切断できました。

 その後、河原から拾ってきた砥石でアイの部分をなめらかにし針先を尖らせます。針に返しがありませんが、最近のフライフィッシングではキャッチアンドリリースや事故を防ぐため返しを潰して使うことが多いというお話なので、あまり問題とはならないでしょう。私はキャッチアンドイート、釣った魚は食べるのが基本で他の釣り人に迷惑がかかるような釣り場には行ったことがありませんからよく分かりませんが。

 ともあれ、こうして釣り針を一つ作ったら今度はクーに作らせてあげます。自分自身の体を使って教えられたのが良かったのか元々物覚えが良いのかクーはいびつながら一人で釣り針を作ることに成功。


「できたー」


 こうしていくつもの釣り針を作ります。これだけでも川底に転がっている石をひっくり返し川虫を現地調達で捕まえてエサにすれば釣りができますが、ここは更に毛針、フライ作りに挑戦しましょう。エサ釣りと違って魚がフライに食いつく瞬間を目で見られる釣り方は緊張感があり、とても楽しいものですからね。

 まずは道具。以前、ゴミ拾いの際に拾った少しだけ糸の残ったボビン…… 木製の小さな糸巻きがありましたので、針金を組み合わせてボビンホルダーを作ります。これは糸巻きをはさんだ針金を中央部分でよじって糸通しの穴を作り、そこから糸を出して使います。

 それからハサミが必要なのですが、これはクーが持っていた小さなナイフで代用します。河原から拾った砥石で丁寧に研いでやれば何とか使えるでしょう。

 プライヤー…… ペンチも欲しいところですがここはクーの指先、爪先で代用。爪は最初で最後の道具と言いますが、適切に切り揃えられた爪は道具の代わりになってくれますから。


「針を固定しなければならないんですが、バイスがありませんから木切れにでも突き刺してやりましょう」

「ばいす?」

「ええと万力…… でもクーには分かりませんか。物を挟んで固定する道具のことですよ」


 この先は難しいですから、まずは私がクーの体を使って実演です。

 最初に針に糸で下巻きをして下地を作ります。そして鶏の羽根…… はありませんから、以前キジバトを捕まえた時に取って置いた羽根を取り付けます。疑似餌の虫の体に当たる部分に羽根をよりつけ巻いていきますが、この時、虫の羽になる部分を付ける場所を残しておくのがポイントです。キジバトの羽根を付けた場所で一回転してから、今度は前に隙間を空けて巻いていきます。この隙間からはみ出した羽根がふさふさした虫の胴体になるんですね。こうして糸を巻きとめたら一回、ハーフヒッチという結び方で止めておきます。

 次は虫の羽の部分を取り付けるのですが、今回は材料が限られていますからこれもキジバトの羽根をばらして整えた毛先を使って作ります。これを針と同じ長さに切り揃え、取り付ける時は糸をゆるく五回ほど巻いてからきつく締めてまた五回ほど巻きます。この時、少し後ろ側に巻いていくと羽が開きすぎません。

 そして糸で頭の部分を巻いて作って止めます。最後に無駄な部分をカットし形を整えて完成です。


「すごい……」


 出来上がったフライは道具や材料が足りなかったため私には満足のできる出来では無かったのですが、クーにとっては初めて見る物。その瞳は輝いていました。


「魔法の手?」


 私の手をまじまじと見詰め、そう問いかけます。


「何を言ってるんですか、それを作ったのはクーの手ですよ。さぁ今度はクーが作る番です」

「くぅ……」

「大丈夫、最初は私が手助けしますから」


 こうしてこの日は夕方になるまで二人でフライ作りにチャレンジしたのでした。

 クーが一人で作った物は何だか芋虫みたいな仕上がりになってしまいましたが、これはこれでありでしょう。結構、こういった物がスタンダードなフライよりも釣れたりすることが多々あるのがフライフィッシングの面白い所ですから。




 翌朝、空は綺麗に晴れ渡りカラス狩りには絶好の日和となりました。

 焦ってケガをするのも馬鹿らしいですから慎重に確実にカラスを倒しながら、その巣を探っていきます。クーは身軽で結構すいすいと木登りをしてカラスの巣までたどり着きます。最初は頼りなく運動も苦手なような印象のあったクーでしたが、ここしばらく体を動かし狩りを行ったためでしょう、動きが敏捷になってきました。ゲームで言うレベルが上がったという感じでしょうか。運動しているお陰で少しずつ体力、持久力も付いてきたみたいです。

 そうしてカラスの巣を確かめて行くのですが、


「あったー!」


 目的のペンダントをとうとう見つけました。

 しかしそれは、


「よりにもよってヒナが孵っている巣ですか」


 そう、それらしきものが巣の外側にはみ出しているのを下から見つけられたのは幸運でしたが、その巣では既にヒナが孵っていたのです。カラスは子供が生まれてからだと過剰なほどに神経質になり、少しでも巣に近づく者が居ると激しく攻撃してきます。クーのパチンコの腕前が上がっていると言っても、それは静止した的を相手にした場合の話。この場合、クーの有効射程内に入る前にカラスが襲ってきますから対抗手段が無いのです。


「アーヤ、どうしよう」


 接近を試みたものの、見事撃退されてしまったクーがカラスにつつかれた所を押さえながら涙目で相談してきます。


「そうですね。ここはやはり私が囮になるしかないでしょう」




 翼を翻し宙に飛び立ちます。

 一羽ばたきで上空へと到達するのが爽快ですが、物理的にはありえないですよね。天使の翼ということで、やはり何か特別な力を持っているのでしょう。純白の羽には日の光の反射だけではなく自ら光を放っているような美しさがありました。

 そしてくるりと反転、黒染めのセーラー服を翻し獲物を狙う鷹のようにカラスの巣をかすめ飛びます。反応して飛びかかってくるカラスを軽くかわして再度挑発。こうしてカラスを巣から引き離して行きます。

 その隙に、こっそり木に登ってカラスの巣に近づくクーを視界の隅に収めつつ縦横無尽に飛び回りカラスを翻弄。それにしても空を飛ぶって気持ちいいですね。

 でも、


「取ったー!」


 クー!?

 ペンダントを取れたのが嬉しかったのでしょう、思わず声を上げてしまうクー。それに反応してヒナたちが騒ぎ出しました。

 まずいです。親鳥の注意が巣の方に向かいます。


「クー、早く逃げて!」


 私の声に慌てて木から下りようとするクーでしたが、親鳥が戻る方が早いです。


「くっ、この!」


 クーが逃げる時間を稼ぐために繰り返し巣の側をかすめ飛びます。


「くぅっ!?」


 足を踏み外して木から落ちてしまうクー。


「大丈夫ですか、クー!」

「だ、だいじょうぶ」


 すぐに返ってくる返事にほっと胸をなで下ろします。


「とにかく撤退です。ここを離れましょう!」

「うん」


 こうして這々の体で私たちは逃げ出したのでした。




「クー、最後まで気を抜いてはいけませんよ。今回は大きなケガが無かったから良かったですが、いつもそれで済むとは限らないんですから」


 結果はどうであれ、駄目なものは駄目と叱ってあげることが必要です。


「ごめんなさい」

「次からは気を付けて下さいね」

「うん」


 クーが痛い目に遭いながらも何とか手に入れたペンダント。繊細な細工が施されていますから間違い無いですね。これを御領主の元に持って行けば褒美がもらえるでしょう。


「アーヤ、早く行こう」

「待ちなさいクー。御領主の館にそんな格好で行くつもりですか?」

「くぅ?」

「今日は釜茹で亭に帰ってお洗濯と体の手入れです。少しでも小綺麗にして行かないと下手をすれば門前払いになってしまいますよ」

「分かった」


 そうとなれば引き揚げです。まだ日は高いですからお洗濯をしても夕方までには乾くでしょう。未だ服を買えるほどのお金が貯まっていないせいで、クーは今着ているワンピースのスカート一着しか持っていませんからお洗濯をする場合は下着姿になるしかなく、どこにも行けなくなってしまうのが難だったりします。

 また、服のほつれた所も直したいですね。釜茹で亭のご亭主に頼めば針と糸ぐらいは貸してくださるでしょうか? 後はカラスの巣からは綺麗な飾り紐も見つかりましたから、これで丁寧に梳いた髪を括って行けば街娘ぐらいの外見にはなるはずです。


「アーヤ楽しそう」

「そうですね。クーみたいにかわいらしい子を着飾らせるのは楽しいですから」


 そう答えると真っ赤になって照れるクー。かわいいなんてあまり言われたことが無いんでしょうね。本当に初々しいです。

 けれども、


「……アーヤみたいに綺麗な人に言われるなんて、初めて」


 たどたどしく、つかえながらも真っ直ぐな想いを伝えてくれるクーに私の方が照れてしまいます。

 でも、あまりにも自然だったので忘れてたんですよね。夜、お湯をもらって体を洗うクーを見てクーが本当は男の子だったということを思い出し、愕然としたのは内緒です。




 そして翌日。

 継ぎだらけの服を少しでもごまかすため、釜茹で亭のエプロンを重ねて御領主の館を訪れます。

 しかし心配した通り、門番の人は簡単には通してはくれませんでした。


「アーヤ……」

「仕方ありませんね」


 ため息を一つついて気持ちを切り替えます。ざっ、と白い翼が日の光を浴びて輝きました。この辺りの人種には無い黒い瞳に黒い髪。黒染めのセーラー服はこの世界の人にはどのように映っているのでしょうか?


「私はアヤ。この子を守護する天使です。この子は私の加護を受けた選ばれし者」


 姿を現した私は門番の男性に告げます。


「この街の御領主にお目通りを」


 これぐらいの腹芸は私にだってできるんですよ。

 ……祖父にいい加減、鍛えられましたからね。




 天使を連れた子供が訪れたということで御領主の館はてんやわんや。これだから姿は見せたく無かったのですが。

 ようやくのことで御領主の元に通して頂きました。私とクーの両脇を固めるかのように老齢の騎士と年若い騎士が控え、正面には後見人らしきご老体を従えた若い女性がいらっしゃいました。この街の領主はご両親を亡くされたばかりの美人のご令嬢と聞いていましたから、この方がそうなのでしょう。


「本当に天使様……?」


 呆然と呟く御領主様に応えるよう、表情を整え翼をばさりと翻して見せます。ここは祖父に言わせると「たちの悪い」という私の外面の良さを最大限利用する場面でしょう。


「お初にお目もじします。私はこの子、クー・エルライナの後見を務めます守護天使、アヤ」


 優雅に見えるよう品の良さそうな物腰を演じますと、おおと声が上がりました。若い騎士さんが「美しい」などと呟いているのを何とか聞き流して。さすがに恥ずかしいですよ、それは。


「今日はこの子のために来ました。さぁクー、領主様に」


 私の所作に、完全に私のことを天使と信じて下さった様子の御領主様の前にクーを導きます。


「うん」


 クーはポケットから布に包んだペンダントを取り出します。


「これは私の……」

「はい、無くされたと伺ったのでクーが取り戻してくれたのです」

「それはありがとうございます。両親の形見だったのですよ」


 ペンダントのロケットを開けると、そこには家族を描いた精巧な肖像画が。本当に、大事な物だったんですね。


「でも、そんなに大切な物でしたら何故お触れを出したりして領民に取り戻すよう命じなかったのですか?」


 かねてから感じていた疑問を聞いてみます。


「それは……」


 口ごもるご令嬢に代わって、控えていたご老体が答えて下さいました。


「ご先代がお亡くなりになり急遽、お嬢様が跡をお継ぎになったのはご存知ですかな?」

「ええ、街の噂で聞き及んでおりますが」


 そう応じると、領主様自身がその後を継いで答えてくれました。


「そんな状況で私の不注意から無くしてしまったペンダントを探させるようなお触れを出しては、領主としての鼎の軽重を問われかねません。したくてもできなかったのです」


 なるほど、貴族というのも大変なものなのですね。


「でも天使様、貴方様が取り返して下さいました」


 そう告げる御領主様の、神聖なものを見るような熱のこもった視線を柔らかに受け止めてゆっくりとかぶりを振ります。


「いえ、私はこの子、クー・エルライナを導いただけ。すべてはこの子が果たしたことですよ」


 そう、私は少しばかりの助言をしたに過ぎません。すべてはクーがやり遂げたことなんですから。


「そうですか、ありがとうね」


 そう言って、クーの頭を綺麗な手で撫でて下さる御領主様。香水でしょうか、ふんわり香る花の匂いをさせた領主様に撫でられるクーはとっても嬉しそうで。

 でも、それを見てずきりと胸が痛みました。


「それではお礼をお届けしましょう。御逗留先はどちらで?」

「釜茹で亭、という宿屋にお世話になっています」

「では、後ほどそちらへ」


 内心の動揺を抑えながら表面上は穏やかに受け答えします。そして無事、面会は終わったのですが。




「私は駄目ですね」

「くぅ?」

「私はクーのやることに口を出すことしかできなくて」


 釜茹で亭への帰り道、抑えていた物があふれました。


「貴方の頭を撫でてあげることもできない」


 クーの頭へそっと伸ばしたその手も空を切るばかりで。

 でもクーはその手に自分の手を。決して触れられない手を重ねて見せてくれて。


「アーヤはクーの女神様だから…… だから……」


 言葉で表現するのが苦手なクーが必死になって伝えてくれたのは。


「アーヤが、いっとう好き」


 何にも代え難い、その一言。不器用なこの子の言葉に私は救われたのでした。




 後日、確かに御領主様からのお礼が釜茹で亭に届いたのですが……


「くぅ?」

「こ、小麦一年分?」


 届いたのは小麦の入った袋の山。どうやらこの領地、報償を現物支給しなければならないほど逼迫した財政状態にあるようです。それにしたって大相撲の副賞ではないのですから、こんなに一度にもらっても困ってしまいます。


「おう、こいつは上等の小麦じゃねえか。一体どうしたんだ?」


 釜茹で亭のご亭主も目を丸くしています。結局、この小麦は釜茹で亭のご亭主へ。その代わり半年間、宿代を差し引いてくれるということで話がついたのでした。収入が無くても住居が保証されるというのはありがたいことですが……


「この小麦があれば、ほれ、上等の白パンが焼けるからな」

「柔らかくておいしいよアーヤ」

「ハイジのパンですか……」

「くぅ?」

「いえ、何でもありませんよ」


 焼きたての柔らかな白パン。まぁ、クーが喜んでくれればそれが一番ですか。

 そういうことになりました。

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