パート7
(51)プール
玄関を蹴り破る5人。そこはいきなりプール。その真ん中に浮かんでいる二雙のボート。
片方のボートの上に、Tシャツ姿のマッチョな美形。
マッチョ「んー?」
指先に光るプラズマ。
ノリコ「今度は私の番ね!」
突き出した手に握る紅いリップスティック。
(52)変身シーン
ノリコ「チェーンジ・リボーン、ルゥゥゥージュ・アァァァァーーップっ!」
テーマ曲が流れ、ルージュ・リボンにルージュ・アップ。
(53)51と同じ
リボン「どんな強い敵だって、どんな怖い敵だって、恐れないっ! ルージュ・リボンがお相手よっ!」
マッチョ「ふるえるぞハート、燃えつきるほどヒート、刻むぞ血液のビート!」
プールサイドからボートに飛び移るルージュ・リボン。
両者、ボートを足で操って、水面を走らせ始める。
リボン「あっ…!」
一瞬、足場が不安定でバランスを失いかける。
マッチョ「ふぉぉぉぉぉぉぉ…」
マッチョ男は、よそを向いたまま。しっかり立って微動だにしない完璧なバランス。指の
プラズマが拳に走り始める。
リボン「くっ…このままでは不利だわ! でも、負けないっ!」
ボートが円を描きながら次第に近づく。
左馬子「危ない、ノリコ!」
バランスに気を取られていたルージュ・リボンに、マッチョ男の拳から雷が…!
マッチョ「山吹色の超波動、サンダー・ブレイク!」
電撃が水面を走り、ルージュ・リボンをつつみこむ。
リボン「あぁあぁあぁあっ!」
全身に走る電気に、髪を逆立て、体を硬直させて苦しむルージュ・リボン。
電撃は一瞬だが、ボートの上に膝をついてしまう。
一瞥もせず、呼吸を整えているマッチョ男。
リボン「くっ…まずい、もう一発くらったら…よーし…!」
ボートを蹴り、宙に舞い上がるルージュ・リボン。
リボン「必殺っ、フェニックスアターーーックっ!」
両腕から紅の炎の鳥が現れ、敵に突進する。
炎がマッチョ男とボートを包み込む。
自分のボートに着地するルージュ・リボン。またバランスを崩しかける。
だが、白い色のプラズマがほとばしったと思うと、炎は水面に飛び散ってしまう。
リボン「うそっ…! 私の必殺技が…!」
マッチョ「ふぉぉぉぉぉぉぉ…」
マッチョ男の肩まで包み込んでいた両腕のプラズマが、とうとう胸で交差する。
マッチョ「バーニング・オーラ!」
上半身が白く光を放ち、その光の固まりがルージュ・リボンを襲う!
リボン「キャァァァァァァッ!!」
4人「ノリコ!」
高熱で、ルージュ・リボンのボートが燃え始める。炎の中に崩れるルージュ・リボン。
4人「ノリコぉ!」
炎の中で肘を突くルージュ・リボン。
リボン「負けられない…そうよ、私は、負けないっ!」
立ち上がるルージュ・リボン。
リボン「そうよ、もういちど…」
宙高く舞い上がる。
リボン「スカー…レットっ…サ・ン・ダ・ー・キィィィィック!」
全身から赤い稲妻をほとばしらせ、マッチョ男にキック!
さすがにこの衝撃は受け切れず、水音高く二人とも水中に落ちる。
麒麟「やったですぅ!」
リボン「あぷっ!」
水面に顔を出すルージュ・リボン。
4人「あッ!」
驚いて振り向くルージュ・リボン。
なんと、プラズマの力で水面にスックと立ってるマッチョ男。しかも全身に青白い光が走り始めている。
リボン「ひいっ…!」
必死の表情で泳ぎ始めるルージュ・リボン。
マッチョ「ふるえるぞハート、燃えつきるほどヒート、刻むぞ血液のビート! 必殺ぅ、スピリッツアタックゥ!」
青白い稲妻を飛び散らせながら、水面のルージュ・リボンにローリング・ソバットの連打。
リボン「きゃぁぁぁぁっ!」
4人「ノリコーーーーっ!」
リボン「あぷっ!」
衝撃に耐え切れず、水中に沈んでしまうルージュ・リボン。
マグ「あ…」
リーフ「ノリコーーーッ!」
泣き出してるルージュ・マグとルージュリーフ。
燃え盛るボートの上で、呼吸を整えてるマッチョ男。
リーフ「ノリコ…ノリコ! (キッと顔を上げて涙を拭い、)ノリコのかたきはこの私がっ!」
その肩をポンとたたいたルージュ・チェリー。
リーフ「エ?」
ルージュ・チェリーが指さした方を見るルージュ・リーフ。
炎を発しているもう一双のボートの縁に、がしっとつかまる手。
激しく肩で息をしながら、ボートによじ登ったルージユ・リボン、炎をバックに目をつぶって
仁王立ち。
リボン「負けない…負けない。私は、負けないっ!」
開いた目にも炎が。
マッチョ男、全身にプラズマを発しながら、初めてルージュ・リボンを凝視。
リボン「私は、負けないっ!」
ルージュ・リボン、勢いを付けてみたび宙へ身を踊らせる。
空中で激しくねじれるルージュ・リボンの肢体。その全身から炎が。
リボン「究極奥義ーっ、スーパー・スカーレット・フェ・ニッ・ク・ス、 ア・タぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁックっ!」
激しいひねり回転のまま、ルージュ・リボン、マッチョ男に激突。目もくらむ閃光が走る。
大爆発とともに、ものすごい水蒸気。おもわずうずくまる4人。
やがて水蒸気がはれてくる。
プールの水はすべて蒸発している。
その底に倒れているマッチョ男とルージュ・リボン。
マグ「ノリコちゃん!」
水のなくなったプールに飛び降りるルージュ・マグとルージュ・リーフ。
最後のプラズマが小さく宙に発散し、動かなくなるマッチョ男。
ルージュ・リボンに駆け寄るルージュ・マグとルージュ・リーフ。
ルージュ・ロータスとルージュ・チェリーもプールに降りてくる。
リーフ「ノリコ!」
ルージュ・リボンを抱き起こすルージュ・リーフ。のぞき込む3人。
ルージュ・リボン、うっすらと目を開け、わずかな笑顔で親指を立てて見せる。
リーフ「わっ!」
泣き出してしがみつくルージュ・リーフとルージュ・マグ。
ロータス「この程度で魂を使い果たしてたら、とてもわたくしたちのリーダーとは言えませんことよ。」
それでも鼻に指を当て、かるくすするルー ジュ・ロータス。
チェリー「さあ、権利書を取り返しに行きましょう!」
(52)野上会長の書斎
机の上に権利書。
野上会長「重役、よくやったぞ。これであの正義ぶって何かとこうるさい皇財閥に一泡ふかせてやれる。」
重役「会長、それでは例の件…」
野上会長「わかっておる、わかっておる。皇高校の跡地には、お前の会社を築いてやるわい。」
重役と野上会長、低くほくそ笑む。
ルージュ・リボンの声「そうは行かないわ!」
驚く野上会長と重役。
扉が激しく蹴り開けられる。足もとに埃を舞わせた5人の姿。
野上会長「なに? これはどういうことだ?」
重役「そんな馬鹿な! 屈強の用心棒が5人もいたはず…奴等はどこに…」
ロータス「ここにいましてよ」
絨毯の上に投げだされる、ぼろぼろのニンジャ男、白ラン男、カンフー男、ギリシア男、マッチョ男。
重役「ばっ…馬鹿な! 強化薬ハイ・スピードまで使ったこの5人が小娘に敗れるなど…ありえんっ!」
5人「ハイ・スピード!(驚愕)」
リーフ「野上会長、あなた、あんな悪魔の薬を…!」
野上会長「わしは知らんぞ。部下が勝手にやったことじゃ。」
ノリコ「部下の管理もできないで偉そうに言うんじゃないわよ! さあ、権利書を渡して、おとなしく降参したら?」
野上会長「ふ…やっぱり小娘じゃのう。これくらいで人を追い詰めたと思うなど…」
5人がはっと気がつく間もなく、手元のボタンを押す野上会長。
轟音と共に外壁が崩れる。
その向こうにヘリコプター。縄梯子につかまり、逃げて行く野上会長。
重役「あっ、会長…!」
残された重役を無視して去って行くヘリコプター。
マグ「諦めて降参するですぅ!」
重役「諦める?」
ふりむいて眼鏡を外す重役。
重役「勘違いしてもらっちゃ困るね。学歴や血筋や人脈だけで、この御時勢に財閥の重役になれると思ってるのかい?」
背広を脱ぎ捨てる重役。
重役「どうしても権利書がほしいなら、私自らが相手になってやめる…お前たちのそのまだ青い蕾の肢体に、『恐怖』という文字を刻みつけてやろう。」
ランニングシャツ一枚になる重役その体は、5人の用心棒に劣らぬ鍛練のあとと、百戦練磨の傷跡。スラックスの下には、タイガーストライブの野戦ズボン。
リボン「くっ…!」
突きかかるルージュ・リボン。だが、軽くかわされ、首にチョップをくらって倒れる。
リーフ「えーいっ!」
ロータス「くらいなさいっ!」
すかさず蹴りかかるルージュ・リーフと扇で叩こうとするルージュ・ロータス。
だが、どちらも受け止められ、
重役「ふんっ!」
ロータス「あっ…!」
リーフ「きゃぁぁぁっ!」
投げ飛ばされて壁に激突する。
チェリー「チェリー・ストーム!」
桜の花びらが重役の身体を覆う。
重役「ふんっ!」
気合いで花びらが散ってしまう。
ノリコ「な…なんて奴なの…!」
重役「ふっふっふ…久しぶりに若いときを思い出すぜ。ニューヨーク、ロスアンジェルス、九龍城、ネパール…アフガニスタン、フィリピン、湾岸…だが、敵は皆お前等よりもっとずっと強かった。」
お互いにかばい合う5人に、ずいと近寄る重役。
重役「…必殺、カイザー・ハリケーン!」
拳に大竜巻が発生し、部屋の家具をも巻き込んで5人を吹き飛ばす。
リーフ「くぁぁぁぁぁっ!」
チェリー「んぁあぁあぁっ!」
マグ「うわぁあぁあぁあぁんっ!」
ロータス「くぅぅぅぅぅぅぅっ!」
ノリコ「きゃぁあぁあぁっ!」
弾き飛ばされ、家具や壁ににぶつかり、ダメージの激しい5人。
瓦礫だらけの床に、震えながら必死に立ち上がろうとする5人。
重役「ふぅ、ふぅ、はぁ、はぁ…くそっ、息が乱れる…これしきで魂がつきてしまうとは…歳か…!」
ノリコ「! 奴の息が乱れた! 今よ!」
立ち上がった5人が一ヵ所に集まる。
ノリコ「合体奥義!」
5人「リボン・パープル・マグ・チェリー・リーフ・アタァァァーック!」
なんかよくわからないが、とにかく凄い必殺技。
重役「ぐっ、ぐぉぉぉぉぉぉっ!」
壁をぶち抜いて吹っ飛ばされる重役。
風圧で宙に舞った権利書。パシッと指で挟んだのは、ルージュ・リボン。
チェリー「やったわね」
リボン「任務、完了!」
(53)部室
5人「かんぱーい!」
パーティ中。
ノリコ「学園祭の展示も大成功だったし」
樹麗「権利書も無事でしたし」
麒麟「野上高校の評判、落ちてますしぃ」
左馬子「もう、いーことだらけっ!」
沙羅香「あら、でも気をつけないと、好事魔多しといいますわ」
ノリコ「またぁ、沙羅香ってばいつもそうやって調子を乱すんだからぁ!」
左馬子「そういや、報酬のケーキがまだ来ないわね」
その時、突然黒板が上がってモニターが現れる。
モニターには、美形らしき顔を白扇をひろげて隠した謎の男(じつは生徒会長)。
謎の男「やあお嬢様方。任務成功おめでとう。報酬の人間大ケーキは、たった今そちらに送った。まもなく届くはずだ。学園祭も無事に終わったし、後夜祭を充分に楽しんでくれたまえ。では諸君、また会おう。」
モニター、切れる。
黒板、下りる。
そのとき、部室の扉を叩く音。
ノリコ「はぁい?」
シェフ「レストランSUMERAGIから配達です」
左馬子が扉を開けると、巨大な箱。
麒麟「ケーキですぅ!」
シェフ「ここにサインをお願いします。」
ノリコ「はい。(サインする)」
シェフ「じや、どうぞごゆっくり召し上がってください」
シェフ、そそくさと帰っていく。
左馬子「さあっ、人間大ケーキだっ!」
樹麗「慌てるんじゃありません。まずはリボンをはずして…」
既に皿やフォークを並べている麒麟やノリコ。
だが、箱を開けた途端、硬直してしまった樹麗。
左馬子「どうしたの?」
のぞきこんだ左馬子も硬直。
麒麟「?…!」
ノリコ「??…!!」
沙羅香「?…あっ…、、、」
全員が硬直。
ケーキは、なんとふる○んの男性像の形。
ひらひらと落ちるメッセージ・カードに、
文面「特別注文で、大きく作ってもらった人間大ケーキだ。充分に味わってくれたまえ。
FROM 謎の司令」
<おわり>
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ルージュをひくあいだ
~ 「懲罰生徒会 シキルージュ」 のテーマ
(フルコーラス動画:https://youtu.be/QZ8WynQSR_Y)
♪ふりむかないで ルージュをひくあいだ
おんなの子はわずかな間まに 変・わ・る
ふりむかないで ルージュをひくあいだ
刹那の間まが 合わせた二枚の鏡
星降る 夜を切り裂く光
吹き抜けた 息のような夢
ショウインドー 映した後姿
手のひらに 靡なびく黒髪 Dancing over night
無意味に交差するいくつもの瞳
人が流されてゆく影のス・キ・マ
虹色したステンドグラス透かして
ひとつ ルージュの線が流れてく
♪ふりむかないで ルージュをひくあいだ
おんなの子は知らない間に変・わ・る
ふりむかないでルージュをひくあいだ
一瞬だけ 無限に続いた扉
逢うたび すれ違ってるふたり
夕闇に たたずんでる影
荒れ狂ってる 風の中でも待ってて
いつかほら きらめく星空の涙
無価値に刻んでく置き時計の針
時が流されてゆく声のハ・ザ・マ
見透せないレースの波ひるがえし
うすく ルージュの線が流れてく
(一番 くりかえし)
永遠とわに ルージュの線が流れてく