表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

パート4

(24)生活指導室

  先生Aが、尊大な態度で座っている。

  その前に麒麟。

先生A「さあ、何の目的で皇学園の生徒がこんな所にきたのか、全部吐けっ!」

麒麟「ボール取りにきただけですぅ」

先生A「嘘をつくなぁ!(机を叩く)」

  びくっとする麒麟

先生A「(殆んど脅迫)いつまでもとぼけてると、趣味で研究し尽くした体罰を披露するぞ! どうだ!」

  麒麟、ぼろぼろと涙をこぼし、泣き始める。

先生A「泣いても無駄だ!」

  そこへ、教頭先生が入ってくる。

教頭「おや、何をしているのだね?」

先生A「あ、教頭先生、実は…」

麒麟「とても口に出しては言えないようなことですぅ!」

先生A「なっ、何を…」

教頭「(先生Aを止めて)お嬢ちゃんは誰だい? どこの生徒だね?」

麒麟「(ぐすぐすと泣きながら)朱雀小学校6年生の笹屋麒麟ですぅ。ボールがこの学校の中に入ったちゃって、取ろうとしたら、こんな所へ連れ込まれて、変なことされたんですぅ! こわかったですぅ!」

教頭「(怒りの形相)おい、お前!」

先生A「きょ、教頭!これは嘘です!でたらめです!」

麒麟「わたしの心には、一生消えない傷がついてしまったのですぅ! うぇぇぇん!(大声で泣く)」

先生A「きょ、教頭~!」

教頭「う~む、貴様、なかなか熱心な奴だと思って目をかけていたのだが、実は変態だったのだな! 裏切られたわい!」

先生A「きょ、教頭~!」

教頭「問題がおおやけになる前に発覚してよかった、これからすぐ職員会議だ!」

先生A「きょ、教頭~!(殆んど泣き顔)」

  先生A泣きわめきながら、教頭に引きずられて出て行く。

  麒麟、舌を出して泣き真似をやめ、舌をぺろり。

  麒麟、扉を開けて様子を見てから廊下へ出る。


(25)保健室

  左馬子、女生徒Cを連れて入ってくる。

左馬子「よかった、誰もいないや」

  女生徒C、気がつく。

女生徒C「あら、ここは?」

左馬子「ほ、保健室だよ。(こほん)、君は貧血で倒れたんだ。」

女生徒C「え…あ、あなたが運んでくれたの? (顔が「ポッ」)」

  左馬子、「まずい」という表情。女生徒Cをベッドに横たえる。

女生徒C「(思いっ切り誘惑口調)ねえ…なんだか不安なの、ひとりにしないで…」

左馬子「ああ、ちゃんとついてるから大丈夫だよ。薬をのまなきゃ…」

  左馬子、棚の中から「速効性睡眠薬」と書かれたビンを取り出す。

女生徒C「あら?それは貧血の薬じゃ…」

  左馬子、一瞬考えてから素早くビンの中身を口に含み、決心したように目をつぶって口移し

  で女生徒Cに飲ませる。

  女生徒C、最初はびっくりするが、すぐに左馬子の首に腕を回す。

  しばらくそのまま抱き合っているが、やがて女生徒Aは幸せそうな顔で気を失ってしまう。

  泣き顔の左馬子。

左馬子「(ひくっ、ひくっ)ファ、ファースト・キスだったのに…女の子同士で…しかも舌まで入れられるなんてぇ…え~ん」


(26)教室の前の廊下

  麒麟が一人出歩いている。

女生徒D「あら、あなたは?」

麒麟「林麒麟ですぅ」

女生徒D「あなた、小学生ね? こんな所へなにしにきたの?」

麒麟「お兄さんが忘れたおベントもってきたんですぅ」

女生徒D「お兄さんの名前とクラスは?」

麒麟「わかるんですかぁ?」

女生徒D「ふっ。自慢ではないですが、私はこの野上高校のほとんどの生徒のデータが頭に入っているのです(と、思いっ切り自慢。)」

麒麟「えーとね、林圭一っていいますぅ。」

女生徒D「えーと…林という人は、この学校に3人いるわね」

麒麟「(やっばー、という表情)それじゃ、これ渡しといてくださいですぅ。」

  と、訳のわからん小箱を渡して走り去る。


(27)一階の廊下

  女生徒Cの服を着た左馬子、涙を拭いて廊下へ出てくる。

  そこで、麒麟と出会う。

麒麟「あれ?左馬子ちゃん、目がまっかっかですぅ?」

  あせる左馬子。

左馬子「そ、それより、権利書の在り処は分かった?」

麒麟「う~ん、わからないですぅ」

左馬子「きっと校長室か、生徒会室ね。」

麒麟「それは、どこにあるんですぅ?」

左馬子「捜すのよ」

  その時、突然悲鳴。

女生徒Bの声「きゃーっ!変態っ!」

麒麟「あれはなんですぅ?」

左馬子「び、美術室よ。気にしなくていいわ。さ、捜しに行きましょう。」

麒麟「あれ?(鼻をひくひく)左馬子ちゃん、男性の臭いがするですぅ?」

左馬子「えっ!?」

麒麟「(疑いの目)左馬子ちゃん、泣いてたしぃ…これはもしかして‥‥‥」

左馬子「そ、そんなことよりっ、校長室を捜すのよ。私は生徒会室を捜すから!」

麒麟「はいですぅ」


(28)別の廊下

  麒麟、扉をあける。

  中は体育用具室。

麒麟「違ったですぅ」


(29)さらに別の廊下

  左馬子、扉をあける。

  ほうきとモップが倒れてくる。

左馬子「ここは生徒会室とは違うようね」

  しめた扉にはちゃんと「掃除道具箱」と書かれている。

  突然、腕輪が鳴る。

左馬子「(周りに人がいないのを確かめて)はい、左馬子です」

ノリコの声「綺麗が救急車をそっちへ送ったわ。皇財閥の息がかかった病院へ行く車だから、それに乗って脱出しなさい。麒麟もね。」


(30)別の廊下

麒麟「はいですぅ」


(31)もひとつ別の廊下

  左馬子、保健室へ急ぐ

  が、いきなり体操服姿の女生徒Cがやってくる。

左馬子「やばっ!」

  くるっと後ろを向くが、間に合わない。

  女生徒C、ツカツカとやってくる。

  冷汗をたらす左馬子。

女生徒C「あら? あなた…」

左馬子「(愛想笑い)あの、なにかご用でしょうか?」

  女生徒C、なめるように左馬子をじろじろ見る。

  とても気まずそうな左馬子。

  女生徒C、突然ぽん、と手を打つ。

女生徒C「あの、つかぬことを伺いますが、あなたのお兄さまか弟さまもこの野上高校へ来られてます?」

左馬子「え? あ、いえ、その…」

  左馬子、あせってポケットに手を突っ込む。

  コトリ、と落ちた名札。

女生徒C「あ、落ちましたよ。」

  女生徒C、名札を拾って凝視。

女生徒C「これは…私の名札…」

  左馬子、強く目をつぶる。

  女生徒C、左馬子を見る。

  左馬子、がばっと抱きつく。

  驚く女生徒C。

左馬子「(せいいっぱい低い声で)愛しい君の服を、ちょっと着てみたかっただけなのさ…」

  一瞬驚き、赤面して目がうつろな女生徒C。

  マジに困ってる左馬子。ふと気がついてポケットに手を。

  出てきたのは先ほどの睡眠薬。

  一瞬躊躇するが、口にほうり込んで、女生徒Cにキス。

女生徒C「んっ…」

  ものすごい濃厚なキス。(笑)

  左馬子、押し倒されるようにそのまま倒れ込み、側の扉が開いて部屋の中へ倒れてしまう。


(32)野上高校生徒会室

  しばらく濃厚なキス。

  びくっとする左馬子。

左馬子野心の声「イヤっ、手が…」

  ハッとおどろく女生徒C。唇を放す。

女生徒C「胸が無いのにあっちもない…」

  白目を剥いて倒れてしまう女生徒C。

  ムクリと起き上がる左馬子。ボロボロ涙をこぼす。

左馬子「胸がなくて悪かったなー!」

  ぐすぐすとないてしまう。

左馬子「セカンド・キスまで女の子に…」

  はっと気がつく左馬子。

  扉に「生徒会室」の文字。

  左馬子、すばやく見回す。

  奥に金庫。

  左馬子、金庫に駆け寄って触る。

左馬子「閉まってるわね。」

  そのとき、廊下から話し声。

  ハッとする左馬子。


(33)31と同じ廊下

  野上高生徒D、Fが話ながらやってくる生徒会室の扉際に倒れている体操着姿の女生徒Cに

  気がつく。

野上高生徒D「どうした? 貧血か?」

  野上高生徒D、F、ひざをついて女生徒Cを抱き起こす。

女生徒C「(うわごと)無いのに…無い…」

  ハッと気がつくふたり。女生徒Cを放して金庫に走り寄る。床に頭を打ちつける女生徒C。

  金庫を開けるふたり。中に一通の書類が。

野上高生徒D「大丈夫だ、権利書はちゃんとある。」

野上高生徒E「気をつけろよ。明日、学園祭のどさくさに紛れて例の方々がこれを取りにくるんだから。」

野上高生徒D「なに、いざとなれば、5人の屈強の男がなんとかしてくれるさ」


(34)窓の外

野上高生徒Dの声「ダイヤルを回しておけば大丈夫さ。数字が1、2、3、4だなんて、生徒会役員しか知らない。」

  排水パイプにしがみついて聞き耳を立てている左馬子。

左馬子「(小声)1、2、3、4か」

  その時、救急車のサイレンの音。


 (CF)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ