パート3
(14)クレープ屋「HASUOH」
5人が集まっている。
左馬子、麒麟、ノリコは私服。ノリコ、クレープを食べまくる。樹麗、紅茶を飲みまくる。
樹麗「権利書がどこにあるか調べないと奪回はできませんね。」
左馬子「どうやって調べるの?」
麒麟「スパイにはスパイですぅ!」
ノリコ「(クレープをほおばりながら)直接調べるのが一番だわ。んぐんぐ。」
沙羅香「奪回は明日、学園祭に紛れてになりますね。」
ノリコ「(食べながら)なら、今日のうちに調べておかないと…」
樹麗「…今から乗りこみますか?」
ノリコ「(ほおばりながら)…やる!」
キリッとした表情ののノリコだが、ほっぺたにクリームがついてる。
(15)野上高校校門
校門、閉まっている。誰もいない。
ノリコ「やっぱり閉まってたか」
左馬子「ま、当然ね」
ノリコ「もうすぐ放課後だもん、すぐに開くわよ」
沙羅香「それまで待ってたらこの学校の生徒たちが出てきちゃうでしょう?」
麒麟「どうするんですぅ?」
左馬子「こういうときは…」
身軽に塀を飛び越え、中の樹木の葉の中に隠れる左馬子。
樹麗「素早いですわね」
ノリコ「ほとんどお猿さんだわ…」
麒麟「さすが左馬子ちゃん、だてに毎日遅刻してるわけじゃないのですぅ!」
左馬子「よけいなお世話よ」
左馬子、木から木に飛び移り、二階の窓から校舎に入る。
(16)美術準備室
窓から侵入した左馬子、静かに回りを見回す。
乱雑に置かれた石膏像や画材。
(17)廊下
野上高校の美術部員(男1、女2)が歩いている。男は典型的な美形。女はとりまきの感じ。
(18)美術準備室
左馬子、棚の影に隠れる。
(19)美術室
美術部員、入ってくる。
絵を描く準備をしながら。
男A「(思いきりかっこつけて)はっはっは、君たちと話していると退屈しないなあ」
女A「今日はどんな絵をかかれるんですの?」
男A「うん、この前の絵を完成させようかと思うんだけどね」
女B「わぁ、見ててもよろしいですか?」
男A「いいよ、見ていたまえ」
女A&B「きゃーっ」
男A「え~と、モデルの石膏像はどこだったっけ?」
男A、準備室へ入る。
(20)16と同じ
男A、準備室へ入る。
棚の影で丸くなって息を潜める左馬子。
男A、左馬子に背を向けて何か捜している。
左馬子、そっと棚から出てくる。
左馬子「(ささやくように)奥義、ウィローブランチ・キック!」
連続蹴りが男Aの後頭部にきまる。
左馬子「また、人を蹴ってしまった…」
崩れる男Aをあわてて抱え、音がしないよう静かに横にする左馬子。
左馬子「ごめんね…うふっ♪うふふっ♪」
左馬子、男Aの学生服を脱がせる(何故かうれしそうに)。
そして、それを服の上から着こむ。
左馬子、さっと髪をかき上げると、一見男(美形)に早変わり。
左馬子、窓からジャンプ。
(21)裏庭
飛び降りる左馬子。
廊下を歩って行く風紀委員(腕輪でわかる)が窓から見える。
左馬子、ちょっと考える素振りをしてから追って行く。
(22)15と同じ
ノリコ「左馬子、遅いわねえ」
麒麟「もう、待ちきれないですぅ」
樹麗「こういうときは…」
閉まっている校門を強引に開けてしまう樹麗。
ノリコ「あ、あの…」
樹麗「さあ、正々堂々と入りましょう。」
ついて行くノリコ、麒麟。
ついてこず様子を見ている沙羅香。
そこへとび出してくる警備員のおじさん(B氏)。
警備員B「こら、お前ら!何をしている!」
樹麗、とっさに木の影に隠れる。
ノリコと麒麟、逃げ遅れる。
警備員B「勝手にはいっちゃいかん!お前ら、どこの生徒だ?」
ノリコ「(あわてて)す、すいませーん、ボールが中にはいっちゃったんです!」
麒麟「そうなんですぅ!」
警備員B「とにかく、勝手にはいっちゃいかん!すぐ出なさい!」
ノリコ「あの、ボールだけ捜させてください。そっちのほうにころがってっちゃって…」
警備員B「だめだだめだ、すぐ出て行きなさい!」
麒麟「(泣き真似)エ~ン、大事な大事なボールなんですぅ!」
ノリコ「(真剣な表情で)お願いです、あれがなくなると困るんです! 捜す間だけ目をつぶってください! 一生のお願い!」
樹麗「(ひとりごと)たかがボールで何言ってんのよ、通じるわけないでしょうに…」
警備員B「う~ん、よし、わかった」
樹麗「あら(木の影でずっこける)」
警備員B「じゃあ、捜す間だけだぞ。早く捜しなさい。」
麒麟「え~ん、ありがとうございますですぅ」
ノリコと麒麟、ボールを捜すふりをするが、当然見つかりっこない。
だんだんいらついてくる警備員B。
警備員B「どうした、見つからないのか!」
ノリコ「は、はい、このへんに転がっていったんですが…おかしいなぁ(冷汗)」
警備員B、だんだん疑いの表情。
警備員B「本当にボールが転がり込んだのか? お前たち、まさか嘘をついてるんじゃないだろうな?」
ノリコ「と~んでもない!本当にボールが入ったんですよ!」
麒麟「ほんとに本当なんですぅ」
警備員B「うーん、どうもあやしい…」
その瞬間、警備員Bの後ろに近づいた樹麗が
樹麗「奥義、パープル・スラッシュ!」
警備員B、気を失って倒れる。
ノリコ「あ~あ、やっちゃった…」
とつぜん、チャイムが鳴る
麒麟「まずいですぅ」
樹麗「人が来る前になんとかしないと…」
ノリコ「どうしようって言うのよ?」
昇降口から出て来る野上高校の生徒たち。
あっという間に野次馬となって、その場を取り囲むように集まってくる。
ごっつい体型の先生Aが、三人の風紀委員をつれて出てくる。その後ろに、風紀委員の腕輪を付けた男装の左馬子。
左馬子「(ひとりごと)あっちゃぁ~」
先生A「これはいったい、何事だ?」
ノリコ「え~と、つまりですね…」
麒麟「ボールが中に入っちゃったんですぅ」
ノリコ「そうなんです。それを捜しに入ったんですけど」
樹麗「この人は、意地悪にも追い出そうとして、足を滑らせたって訳ですのよ。」
ノリコ&麒麟「(うなづいて)そうなんです」
先生A「ちょっと待て。(樹麗を見て)お前、皇学園の制服だな。なんでこんなところにいるんだ?」
まずい、と言う顔付きのノリコと麒麟。
樹麗「わたくしがどこにいようと、それはわたくしの自由ですわ。」
先生A「なるほどな、皇学園では生徒に、他の学校へ無断で入ってもいいと教育をしているのだな。はっはっは!」
樹麗、ムッとする。
樹麗「この学校の警備員は非常に態度が悪いですわ。こちらが礼をつくして頼んでも、汚い言葉使いで追い出そうとするのですもの。だいたい、警備業法という法律では、『警備員はプライベートに許される範囲で協力を求めることができるか、法的強制力はない』と明記されていますわ。」
先生A「むっ…」
左馬子、出てくる。
左馬子「先生、この人たちの言うことも一理あります。今回は許してあげたらどうでしょう?」
ノリコ「そうそう、そのとうり!」
先生A「う~む、うん?(突然気がつく)お前、風紀委員にお前みたいなのいたっけか? 何年なん組だ?」
左馬子(心の声)「やばっ」
左馬子「え~と…あっ!空飛ぶすずめっ!」
思わず皆がそっちを向いた瞬間に、左馬子は側にいた女生徒Cに当て身を入れる。
ノリコ、樹麗、麒麟の3人はこの隙にこそこそ外へ出ようとする。
すずめが電線に止まる。
先生A「すずめがどうかしたのか?」
左馬子「いえ、あの…あ、先生、この人が貧血のようなので、ちょっと保健室までつれて行きます!」
左馬子、女生徒Cをささえて走って行く。
先生A「う~ん、おかしな奴だ…(突然気がつく)あっ! こらっ、逃げるな!」
逃げ遅れた麒麟が捕まる。
麒麟「あ~ん、つかまっちゃったですぅ!」
(23)外の通り
ノリコ、樹麗、沙羅香。
ノリコ「麒麟がつかまっちゃったわ!」
樹麗「自分でなんとかするでしょ。」
(CF)