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爆笑三姉妹〜陽翔・結音誕生から、燈真・灯乃、彩羽・悠翔誕生まで  作者: リンダ


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瑛一くん

※ここからしばらくは、美鈴が中心となって、博多南幼稚園でおきた、園児の虐待案件について、美鈴たちがどのように対処したか書いて行きます.生々しい暴言やDVが続きます.心が辛くなるなどの症状がある方は、お気を付けて読んでいただけならと思います。


博多南幼稚園・園長室にて


春のやわらかな光が園庭を照らす午後。

園長室のドアがノックされ、顔をのぞかせたのは――

年長ゆり組の担任、中原なかはら 里帆りほ先生・29歳。

笑顔が印象的な若い先生だが、今日はどこか表情が硬い。



シーン:相談


里帆「園長先生……ちょっとご相談がありまして」

美鈴「どうしたと? なんかあった?」

里帆「はい……実は、ゆり組の吉田瑛一よしだ えいいちくんのことで……」


里帆先生は、そっと手元のメモを見つめながら言葉を選んだ。


里帆「この一月ほど、表情がずっと暗くて……。

 前は元気いっぱいにお友だちと遊んでたのに、

 最近はおままごとにも入らず、砂場の隅でひとり、穴を掘ってるんです」


美鈴「……穴を掘る、ね」


里帆「はい。それも、まるで“何かを埋めるように”……。

 声をかけても、小さな声で“だいじょうぶ”って言うだけで……。

 お弁当の日も、ずっと菓子パン一個とか、コンビニのおにぎり一個とか。

 この間は、おかずも水筒もなくて……」


美鈴は、静かに里帆先生の話を最後まで聞いていた。

彼女の中で、経験と直感が、ゆっくりと灯をともす。


美鈴「……おうちの人とは、連絡とれとる?」

里帆「はい、連絡帳に何度か書いてるんですけど……返事はなくて。

 いつも“確認しました”のハンコだけ。文字は丁寧なんですけど……心がこもってない感じがして」


美鈴はそっと目を閉じ、ため息を一つつく。


美鈴「子どもが“ごはん”のサインを出しとるときは、心が“たべもの”を求めとるときやけんね。

 ……どげんかせんといかんね」


里帆「はい……。どうしたらいいでしょうか」


美鈴「まずは、私が直接話してみるばい。

 瑛一くんの目を、きちんと見て話してみる。

 そして――**“園は、君の味方ばい”**って伝える」


その言葉に、里帆先生の目が潤む。

園長・小倉美鈴。その声には、あたたかさと決意が混ざっていた。



ナレーション(地の文)


美鈴は立ち上がり、窓の外の園庭を見つめた。

ちょうど、子どもたちがブランコの列を作っている。

春風が、笑い声と不安のあいだを揺らしていた。


――子どもが笑えんとき、大人は立ち止まらんといかん。

 その小さな背中を、まず“見る”こと。

 それが、この園の園長としての、私の仕事やけん。






光の園に咲く涙(第二章)


― 静かな痛み ―


博多南幼稚園の夕暮れは、いつもより少し冷たい風が吹いていた。

園庭には、子どもたちの残した足跡がまだ柔らかく残っている。

美鈴は窓の外を見つめながら、机の上のメモを見返していた。


「おかあさんが、おとうさんを叩いた」

「てめーなんか出ていきやがれ、と怒ってた」


――家庭内暴力。

それも、加害が母親から父親に向かうケース。

まだ社会的に“見えにくい”現実。


(表面上は穏やかに見える家庭でも、

 内側では、声にならん悲鳴が上がっとることがある……)


美鈴は深く息をつき、受話器を手に取った。



第一節 電話


まずは母親へ。

だが、コール音だけがむなしく鳴り続けた。

留守番電話の機械的な声が流れるたび、美鈴の胸の奥に違和感が積もる。


二度、三度。

夜を挟んでも反応はなかった。


「……つながらんか」


次に、父親の番号へ。

ワンコール目で、かすれた声が応答した。


父親「はい……吉田です」

美鈴「突然すみません。博多南幼稚園の園長、小倉美鈴と申します。

 瑛一くんのことで、少しお話をうかがえればと……」

父親「……ああ……瑛一の、幼稚園の先生……ですか」


沈黙。

電話の向こうで、ため息がひとつ落ちた。


父親「……実は、いろいろあって。

 話すと長くなるかもしれませんが、明日、直接お伺いしてもよろしいですか」

美鈴「もちろん。園の応接室を用意しておきますね」


通話が切れたあとも、美鈴の胸には重たい予感が残った。

(“いろいろあって”――その言葉の裏に、何が隠れとるとやろか)



第二節 翌日の面談


翌日午前十時。

応接室のドアが、静かに開いた。

入ってきたのは、三十代半ばほどの男性――

背広の袖口が少し擦れており、疲労と不眠の影が顔に滲んでいた。


父親「吉田翔一よしだ・しょういちです。昨日は急にすみません」

美鈴「いえいえ、お忙しい中ありがとうございます。

 瑛一くんの様子が少し気になりましてね……」


湯気の立つ麦茶を差し出しながら、美鈴はゆっくり切り出した。


「最近、お弁当がとても軽くて。表情も少し暗いように見えます。

 何か、ご家庭で変化はありましたか?」


翔一はしばらく黙っていた。

やがて、麦茶を一口含み、静かに語り出した。



第三節 瑛一の家


「……瑛一は、私の連れ子なんです。

 前の妻は……若くして病気で亡くなりましてね。

 あの子がまだ三歳のときでした」


美鈴は黙って聞いた。

その目は、相手を責めず、ただ“受け止める”まなざし。


翔一は続けた。


「一年ほどして、今の妻と再婚しました。

 彼女はもともと明るい人で、最初は瑛一にも優しくしてくれて……

 でも、去年あたりから、だんだん……」


唇が震える。

翔一は両手を膝に置き、ゆっくり拳を握った。


「感情の起伏が激しくなって。

 些細なことで怒鳴ったり、物を投げたり……。

 私がかばうと、“あんたまで敵なの!?”と手が出ることも……。

 瑛一は、それを全部見てしまって……」


部屋の空気が凍りついた。

静かな応接室に、時計の秒針だけが響く。


美鈴は声を抑えて問う。

「……いま、そのような行為は、続いていますか?」

「……正直、落ち着いたり、爆発したりの繰り返しです。

 彼女も悪人ではないんです。ただ、何か抱えているようで……」


翔一の声は、どこまでも自責に満ちていた。

(この人もまた、傷ついている。

 そして、その痛みを、いちばん小さな瑛一くんが背負ってしまっている……)


美鈴は深くうなずいた。

「お話してくださって、ありがとうございます。

 ご家庭のことに踏み込むのは簡単じゃありません。

 けれど――瑛一くんを守るために、園としてできることは、全部します」


翔一は、はじめて少しだけ目を上げた。

その瞳の奥に、わずかな救いの光がともる。



第四節 美鈴の胸の中で


面談を終えたあと、美鈴は職員室に戻り、手帳を開いた。

ページの隅に書き添える。


“母親によるDVの可能性。父親は被害を受けており、子どもはその目撃者。

食事・情緒面の支援が必要。今後、児童相談所への報告も検討。”


手帳を閉じる指が震えていた。

だが、瞳は揺れなかった。


(この問題は、単に“夫婦げんか”やなか。

 心の痛みの連鎖や。

 止めんといかん――ここで、止めんと。)


窓の外、園庭では小さな子どもたちが「せんせー!」と呼んでいた。

その声が、美鈴の背を押す。


「よし。私が動こう」


園長として。

そして、ひとりの母として。



第五節 決意の灯


夕暮れ。

園舎の廊下を歩きながら、美鈴は思った。


(母親が加害するケースは、社会の中で“想定外”にされやすい。

 でも、痛みの向きに性別は関係なか。

 守るべきは、そこにいる子どもやけん)


ドアを閉める前に、もう一度だけ空を見上げた。

春の陽が沈みかけ、空は薄桃色に染まっていた。


「瑛一くん……明日は少しでも笑える日になるけんね」


美鈴の声が、空気に溶けていく。

その背中には、覚悟の光が宿っていた。









第三章 閉ざされた家の扉 — 訂正と証言


応接室の壁時計が十時を指した頃、ドアが静かに開いた。

入ってきたのは、やつれたスーツの男――吉田 翔一よしだ・しょういち

ネクタイは結び直した跡がくたびれていて、眠れていない目の下には薄い影。


翔一「昨日はお電話、ありがとうございました」

美鈴「こちらこそ。お忙しい中、来てくださって感謝します。……どうぞ」


麦茶の湯気が、わずかに揺れる。

翔一は両手で湯呑みを包み、言葉を探すように視線を落とした。


翔一「まず、はっきりお伝えします。暴力をふるったのは、妻です。

 最初は、彼女も瑛一にとても優しかった。

 “私があの子に新しいお母さんになる”って。

 でも、半年ほど前から……別の男の影が見えるようになって。

 SNSで知り合ったとか、出張で再会したとか、言い分はころころ変わりました」


指が震え、湯呑みの縁に小さく当たる。

翔一は深く息を吸い、続ける。


翔一「この一ヶ月は、朝早くから夜遅くまで家にいない日が続きました。

 “買い出し”“友だちと会う”……そう言って。

 僕が仕事を調整して、保育園(※幼稚園)への送り迎え、お弁当、洗濯、全部やりました。

 瑛一の前で“母親がいない”時間を作りたくなくて、できる限り、笑うようにして……」


(“笑うように”――その言葉に、無理を塗りこめた痛みが滲む。)


翔一「ある夜、帰ってきた妻に、『もうやめてくれ、家のことを見てくれ』と言いました。

 そしたら、平手で頬を打たれて。

 “あんた私に指図するつもり? わたしはガキ抱えてアップアップのあんたと再婚してやったんだぞ”って……。

 皿を流しに投げて割り、瑛一の前で続けざまに罵倒しました」


部屋の空気がきしむ。

美鈴は表情を変えず、ただ静かに相手の言葉に寄り添う。


美鈴「……そのとき、瑛一くんは?」

翔一「テーブルの下に隠れて、耳を塞いでいました。

 『お父さん、こわい』って――違う、僕じゃなくて**“この家がこわい”**って。

 抱き上げたら、体が硬くて、軽く震えてて」


声が掠れる。

翔一は唇を噛み、目頭を押さえた。


翔一「それでも、僕は……離婚が怖かった。

 また母親のいない子にしてしまうのが。

 あの子の前のお母さん(前妻)は病気で亡くなっている。

 “またお母さんがいない”って、言わせたくなくて。

 だから、ぎりぎりまで耐えようと……でも、耐えるほど、瑛一が壊れていく気がしたんです」


沈黙――秒針だけが進む。

美鈴は、ゆっくり頷いた。


美鈴「お話してくれて、ありがとうございます。

 いま、一番大事なのは――瑛一くんの安全と安心です。

 “お母さんがいる/いない”以前に、**“怖くない場所”**で毎日を過ごせること。

 その土台がないと、どの選択も、子どもの心に刺さってしまう」


翔一は小さく頷いた。


美鈴「園として、できることは全部やります。

 昼食や補食は、こちらでしっかり準備します。

 朝は“色カード”で気持ちを教えてね、という合図も始めます。

 しんどいなら、園長室に避難していい。

 担任・副担任・養護教諭、全員で見ます」


翔一「……ありがとうございます」


美鈴「それから――お父さん一人で抱えんで、よか。

 保健師さん、児童相談所の**“相談”**窓口と繋ぎます。

 “取り上げる”ためやなく、守るための連携です。

 母親が加害のケースも、ちゃんと扱えます。

 もし、今晩が怖いと感じたら、すぐ電話してください。

 189(いちはやく)、警察110、園にも。順番は問いません」


翔一の目に、わずかな光が差した。

「……守れますか、あの子を」


美鈴「守ります。

 ただ、私たちは“家族の代わり”にはなれません。

 だからこそ、お父さん――あなた自身も守る側に残ってください。

 “もう無理”と思ったときは、合図でよか。“助けて”と言ってください。」


翔一は、両手で顔を覆い、深く、長く、息を吐いた。

それから、かすれた声で「お願いします」と言った。

その声音には、ようやく“頼る”という選択をゆるす響きがあった。



園のアクション(物語の裏側メモ)

•食と安心:毎日、温かいスープ+主食+果物の補食を個別に用意。

•気持ちの合図:「緑=元気/黄=ふつう/赤=しんどい」カードを登園時に掲示。赤は即ケア。

•安全スペース:園長室の静かなコーナーを“瑛一の基地”として常時開放。

•職員合言葉:「青い傘」=不安サインを見たら、近い大人が即フォロー。

•外部連携:保健師・児相へ**“相談”**を実施(記録を添付)。

•夜の緊急:父へ緊急連絡票(189/110/園直通)を手渡し、**“順番より即時”**を共有。



夕暮れ、砂の上の誓い


面談を終え、園庭に出ると、砂場の端に昨日の小さな穴がまだ残っていた。

横に、誰かが作った小さな橋。

穴と穴を、そっとつなぐ一本の砂の道。


美鈴はしゃがみ込み、指で橋の縁を整えた。

(こわい穴を、つなぐ橋に変えるのが、大人の仕事やけん)


風がやさしく吹く。

桜の花びらが一枚、砂に落ちて、橋の真ん中で止まった。


美鈴「瑛一くん。ここは怖くない。

 明日も、明後日も、来年も――ここは君の味方ばい」


その小さな誓いは、夕焼けの色に溶けて、園舎の屋根を金色に染めた。






#05 橋をかける人たち — 作戦会議の日


夕暮れの園長室。窓の外には、真っ直ぐ伸びる通学路と、いつもの帰り道に置かれた子どもたちの自転車が並んでいる。

テーブルには麦茶とおにぎりの小箱。そこに置かれたのは、今日の“案件ファイル”──瑛一の様子をまとめたメモ、担任の観察記録、翔一さん(父)の面談メモ、連絡帳のコピー。


美鈴は一呼吸置いて、ドアを開けた。入ってきたのは、三人。

**小倉美香(長女/赤嶺姓)**が硬く引き締めた顔で、**光子みっちゃん優子ゆうちゃん**が、博多弁そのままに落ち着かないながらも目を輝かせている。優馬(夫)も、仕事着のまま同席する。


美鈴「来てくれてありがとう。今から短時間で、できることをばっちり決めるけんね。瑛一くんの“今日”と“明日”を守るために、みんなで動くとよ。」


光子(ぽん、とテーブルに手を置いて)「よか。うち達、なんでもするばい。子どもの笑顔がなくなるとか、考えられんとよ。」


優子きっぱり「お母ちゃん、任せとき。明日は朝からウチらが登園手伝うけん。」


美香(現実的に)「まずは“優先順位”やね。子どもの安全が第一。次に父親の支え、母親の通報・支援、外部連携。それから園の業務体制の整備。」


優馬(静かに頷き)「うちも連絡網と人手出す。必要なら外での見守りも手伝うばい。」


美鈴は資料を開き、皆の目を見回してから作戦を切り出す。



作戦会議(簡潔版) — 目的:瑛一の安全と家庭の再建に向けて、48時間〜4週間でできることを整理する


参加:美鈴(園長)、里帆(担任)/美香(保護者代表)、光子・優子(M&Y)、優馬(支援コーディネータ)



A. 【緊急・即時対応】(今日〜24時間以内)


目的:子どもの「今日」を安全に過ごさせる

1.登園時・降園時の“視認&チェック”体制

•誰が:光子(週3回朝)、優子(週2回朝)+里帆+副担任

•何を:登園時の気持ちカード確認(緑/黄/赤)、赤なら園長室直行。降園は必ず翔一(父)に面談で手渡す。

•実施:明日から開始。ツールは園で印刷・用意(園事務)。

2.給食/補食の個別提供

•誰が:給食担当と養護教諭で準備

•何を:温かいスープ+主食+フルーツを個別に用意。昼寝後もスナック有。

•実施:今日の昼から提供可能(園の備蓄で賄う)。

3.安全基地(園長室)運用開始

•誰が:園長室を“常時オープン”に。赤カードで即避難OK。

•何を:安心スペース(毛布・絵本・ぬいぐるみ)と“聞き取りノート”を常備。

4.父親への夜間連絡手段確認

•誰が:美鈴が翔一に“夜間緊急連絡カード”を手渡し(189,110,園直通の順は任意だが、即通報する旨を共有)。

•何を:夜に何か起きたら即連絡→園は警察・児相に相談する準備。

5.SNS・周囲対応は完全非公開

•誰が:美香が一任(家のプライバシー保護)。園から外には一切発信しない。メディア対策は必要時に法務相談後。



B. 【短期対応】(24時間〜1週間)


目的:外部支援と家庭の安全ネットを構築する

1.一次相談(行政・保健師・児童相談所)連絡

•誰が:美鈴が保健師へ“相談”の連絡(記録・観察日誌を添付)、その上で児相へ“状況相談”を行う。※「相談」であり強制措置を即意味しないことを説明。

•期日:明日中に連絡。

2.家庭訪問(複数名体制)

•誰が:園長+養護教諭+地域の相談員(可能なら保健師)で実施

•何を:非対立的に状況確認。由香(母)との話し合いは“支援の扉”として進める。暴力発生の事実確認は記録に残す。

•期日:保健師調整後、48時間以内を目安。

3.父親支援の具体化

•誰が:優馬が“父親支援”のローカルネットワーク(労働や食事、育児の代行)をコーディネート。

•何を:一時的な家事手伝い、食材支援、保育時間の調整の相談窓口を提示。

4.母親(由香)への支援窓口案内

•誰が:園が女性相談窓口、DV支援団体、カウンセリングの情報を渡す(強制でなく選択肢提示)。

•目的:母の加害は責めるより支援。根本問題(不倫・孤独・心理的要因)に寄り添う窓口。



C. 【中期対応】(1〜4週間)


目的:継続的な安全・家庭再建の道筋をつくる

1.職員チームの情報共有(週次)

•定期報告(里帆→園長→チーム)で子どもの経過を記録。児相・保健師との連絡ログを残す。

2.家族面談(父・母・園)(任意だが推奨)

•目的:子どもの安全計画(誰が何をするか)、支援受入の確認。

•注意:威圧的状況の場合は三者面談は避け、別ルートで支援を進める。

3.里親一時保護の検討(最終手段)

•条件による。児相と連携して「最短で安全確保」ができる体制を整える。

4.心理的ケア

•子ども:園カウンセラーとの面談(遊戯療法など)。同年代の安心グループ活動を導入。

•父母:個別カウンセリング紹介。



D. 【コミュニケーション&役割分担】(誰が何をするか)

•園長(美鈴):全体コーディネート・週次連絡・保健師・児相窓口対応・緊急対応

•担任(里帆):日々の観察・登園時のチェック・子どもの日誌記録

•養護教諭:体調・栄養管理・補食担当

•給食係:補食メニュー実施

•美香:外部支援(地域ネットワーク)、家庭への静かな相談窓口

•光子&優子:登園時の“顔見せ”サポート、子どもと遊ぶ時間の提供、父親への物資支援コーディネート

•優馬:人手・物資調達、週末の“見守りチーム”統括

•翔一(父):日々の子育ての継続、園に発生状況の報告



E. 【プライバシーと情報管理】

•子どもの情報は最小限の関係者のみ共有。外部へは家族の同意が得られるまで非公開。

•記録は鍵付き保管。ログは後で児相や行政に提出できる形でまとめる。



F. 【感情支援の計画(現場の“やり方”)】

•子どもには「小さな選択」を毎日与える(おやつの選択、絵本選び等)→自己効力感の回復。

•母親には“非難しない聞き取り”→まずは「話すこと」で安心を作る。

•父親には“感謝と確認”をこまめに伝える→孤独感の軽減。



会議の最後のやりとり(台詞)


光子(真剣)「うちら、明日朝6時半に園に行くけん。登園の時、まず顔見せする。瑛一の顔を見て“おはよ”言うだけやけん。」

優子ウィンクして「おやつも一個、多めに持っていくばい。あんた、好きなやつ持ってきて良かよ。」

美香(メモに走り書きして)「地域のNPOに連絡入れる。食材支援と家事支援のボラ出してもらう。うちの繋がりで調整するけん。」

優馬(低めの声で)「夜も見回りチームを作る。必要ならうちの会社の休み調整して回すよ。」

美鈴(静かに首肯)「よか。みんな、やれるだけやってくれんね。けど、何より瑛一の“今日”を守ることば忘れんでよか。」


全員が手を重ねる。短くて確かな誓い。

窓の外で、夕焼けが一瞬橙色に燃えて、そして消える。小さな橋を作る大人たちの影が、園庭に長く伸びた。



エピローグ(短い場面)


翌朝、光子と優子が一番乗りで登園する。二人は軽く走りながら、園の門を開ける。瑛一は砂場の端にいた。二人は少し離れてしゃがみ、同じ高さで「おはよう」とだけ言う。瑛一は目を伏せたままだったが、小さく頷いた。近くに置かれた温かいスープの湯気が、冷えた朝の空気を和らげる。


――小さな一杯が、大きな一歩になる。大人たちはそれを信じて、連帯して動く。









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