ソフィーアへの想い、そして普通の主婦として
改めて詐欺宗教に対する抗議と怒りの会見。
会見場の空気は、張りつめていた。
フラッシュが瞬くたび、白い光が壇上を切り裂く。
けれど、その眩しさの中に立つ光子と優子の表情は、少しも揺れていなかった。
中央のテーブルには、簡潔に並べられた資料。
そこに記された文字は、どれも彼女たちにとって大切な名前ばかりだった。
M&Y。
ファイブピーチ★。
はなまるツインズ。
ファイブシード★。
本来なら、笑顔や音楽や、誰かの救いとともに語られるべき名前。
けれど今、その名は、詐欺宗教の勧誘に利用され、虚偽の権威付けの道具にされ、人々を絡め取るための“看板”として汚されていた。
しかも、それだけでは終わらなかった。
被害は拡大し、弱い立場の人々が金を奪われ、不安を煽られ、家族関係まで引き裂かれていた。
さらに調査が進むほど、その背後には一部政治家との不透明なつながりまで見え始めていた。
その事実は、光子たちの生き方と、あまりにも正反対だった。
光子はマイクの前に立つと、静かに口を開いた。
「まず、はっきり申し上げます。
M&Y、ファイブピーチ★、はなまるツインズ、ファイブシード★は、この団体と一切関係ありません」
会場が一瞬、さらに静まり返る。
「私たちの名前、ロゴ、写真、活動理念を無断で使用し、あたかも関係があるかのように見せかけた行為については、全面的に否定します。現在、差し止めおよび法的措置を進めています」
その声は強かった。
怒鳴るような強さではない。
逃げない強さだった。
隣で優子も、まっすぐ前を見て続ける。
「うちらは、人を縛るために笑っとるんやない。
人が、自分の足で立ち上がるために笑うとよ」
その一言に、会場の空気がわずかに揺れた。
優子は、ゆっくりと言葉を選びながら続けた。
「不安を煽って、罪悪感を植えつけて、依存させて、金を取る。
そういうやり方は、うちらの生き方と根っこから違う。
いや、違うどころか――真逆です」
記者席の何人かが、息を呑んだ。
それは、ただのイメージ防衛ではなかった。
彼女たちは、自分たちの名前が使われたこと以上に、その名のもとに誰かが傷つけられたことを、何より許せなかったのだ。
光子は資料から目を離し、真正面を見た。
「私たちはこれまで、笑いと音楽で、傷ついた心に寄り添いたいと思って活動してきました。
誰かを脅して従わせるためじゃない。
何かを信じないと不幸になると煽るためでもない。
人の自由意思を守るために、表現してきたんです」
そこには、長い年月をかけて積み上げてきた信頼があった。
爆笑通信。
各地の支部。
子どもたちとの出会い。
災害や喪失の現場で、それでも笑顔をなくさないようにと続けてきた日々。
その全部が、恐怖と依存を土台にした詐欺の手口とは、どうやっても相容れなかった。
優子は一度だけ視線を落とし、そして再び上げた。
「うちの子たちや、仲間たちや、ファンのみんなの中には、名前を見て信じかけた人もおるかもしれん。
“あの人たちが関わっとるなら”って。
そう思わせた時点で、もう最低なんです」
声が少しだけ震えた。
けれど、それは弱さではなかった。
傷つけられた人たちの痛みを、自分のこととして受け止めている証だった。
「名前を使われたことより、そのせいで笑顔が曇ったことが、いちばん許せん」
その言葉に、会場の後方で、女性部のメンバーがそっと目を押さえた。
会見は、単なる抗議だけでは終わらなかった。
顧問弁護士と専門家チームによる提訴。
名誉毀損、著作権侵害、損害賠償請求。
なりすましへのサイバー対策強化。
公式パートナー一覧の公開。
被害相談の一次窓口整備。
学校や地域での「見抜く力」を育てる情報リテラシー講座の開催。
支援ソングの収益拠出。
政治的中立と透明性を示すための年次レポート公開。
資料の一つひとつが、怒りだけではなく、誠意で組み上げられていた。
逃げない。
ごまかさない。
そして、被害者を置き去りにしない。
それが彼女たちの答えだった。
会見終盤、ある記者が尋ねた。
「このような事件のあとでも、あなたたちは“笑い”を続けるのですか」
ほんのわずか、間が空いた。
その問いは、核心だった。
光子は、ふっと息を吐いてから答えた。
「続けます」
その言葉は、驚くほど穏やかだった。
「笑いは、人の“選ぶ力”を取り戻すけん。
怖がらせて縛るやり方とは、根っこから違うんです」
優子も、横から静かに続けた。
「うちらのネタは、誘導やなくて解放やけん。
何かに従わせるためやなくて、しんどい心をちょっとほどくためにある。
やけん、名前を勝手に看板にされたら、全力で否定する。
それが、笑いと音楽に対する礼儀やと思っとる」
会場の空気が、少し変わった。
怒りの会見から、信念の会見へ。
防御の場から、原点を語る場へ。
光子は最後に、ゆっくりと言った。
「私たちは、誰かの自由や尊厳を奪う側には立ちません。
これからも、普通に笑って、普通に暮らして、普通に誰かを大事にできる世界を守るために、表現を続けます」
優子が、うなずく。
「戦うけど、壊れん。
傷ついた人に寄り添う手は、最後まで離さん。
それが、うちらのやり方です」
その瞬間、フラッシュがまた何度も瞬いた。
だが今度の光は、二人を責め立てるものではなかった。
むしろ、その背中を照らしているように見えた。
詐欺宗教の手口は、依存と偽装と搾取だった。
けれど彼女たちの生き様は、自由と誠実と共感だった。
だから相容れない。
絶対に、交わらない。
それでも彼女たちは、怒りに飲まれなかった。
戦いながらも、最後に守ろうとしたのは、誰かの心がもう一度、安心して笑える場所だった。
会見を終え、立ち上がる直前。
優子が小さな声で言った。
「終わったら、子どもたちの顔、見に行こ」
光子が、ほんの少しだけ笑った。
「うん。あの子らの前では、ちゃんと笑おう」
それは強がりではなかった。
彼女たちにとっての“本当の勝ち”が何かを、知っている人間の顔だった。
奪われた名前を取り戻すこと。
傷ついた信頼を修復すること。
そして何より、恐怖ではなく自由の側に、笑いを立たせ続けること。
そのために、彼女たちは今日も前を向く。
毅然と。
誠実に。
そして、どうしようもなく彼女たちらしく。
⸻
⸻
夜のリハーサルスタジオに、チューバの低い余韻がゆっくりと沈んでいった。
最後の音が消えても、光子はしばらくベルを床に向けたまま動かなかった。
優子も、ドラムスティックを膝の上に置いたまま、何も言わない。
いつもの二人なら、ここでどちらかが必ず何か言う。
「いまの音、ちょっと芋けんぴみたいやったね」だの、
「どんな比喩やそれ」と突っ込んで、空気を軽くする。
けれどその夜だけは、二人とも黙っていた。
スタジオの壁際に置かれた小さなモニターには、ウクライナの現地映像が映し出されていた。
壊れた校舎の一角。
窓ガラスの抜けた教室。
その中で、子どもたちに囲まれながら、ひとりの女性が微笑んでいる。
ソフィーアだった。
少し痩せたようにも見えた。
それでも、その目はやわらかく、まっすぐだった。
膝を折って子どもの目線に合わせ、小さな鍵盤を鳴らしながら、一緒に歌を口ずさんでいる。
優子が、画面を見たままぽつりと言った。
「あの子、きっと笑いながら頑張っとるよ」
その声はやさしかった。
けれど、その奥にはどうしようもなく深いものが沈んでいた。
理不尽に学校が壊され、家が奪われ、明日の約束さえ揺らぐ現実を知ってしまった人間だけが持つ、静かな怒りだった。
光子は、返事をしなかった。
ただ、そっと譜面台の上のノートに目を落とす。
表紙には、細い字でこう書かれている。
《Song for Sophia》
毎月一冊。
光子がウクライナへ送っている音楽ノートだった。
新しい旋律の断片。
リズムのアイデア。
子どもたちと一緒に歌える簡単なフレーズ。
そして、楽譜の片隅に必ず書き添える短い言葉。
――あなたの空に笑顔の音が届きますように。
光子は、その文字を指でなぞるように見つめた。
「……音楽ってさ」
やがて、小さく口を開く。
「言葉より早く届くとよね」
優子が、静かに顔を向ける。
「うん」
「どんな爆音の中でも、届く時は届く。
笑いも、音も。
うちは、そう信じとる」
それは誰かを励ますための言葉というより、自分自身に言い聞かせる祈りのようだった。
モニターの中で、ソフィーアが子どもたちに手拍子を教えている。
不揃いな拍。
ぎこちない笑顔。
それでも、その教室には確かに“生きている音”があった。
優子は、少しだけ目を細めた。
「SNSであの子の活動見るたび思うっちゃん。
ああ、まだリズムは死んどらんのやって」
「リズム?」
「うん。希望のリズム」
そう言って、優子は胸の前で、ゆっくり四つ打ちのテンポを刻いた。
軽く、やさしく。
まるで誰かの心拍を確かめるみたいに。
「壊された場所でも、子どもが手を叩いて、歌って、ちょっと笑う。
それだけで、“明日まで行こう”ってなる時があるやん」
光子は、ほんの少しだけ笑った。
「優子にしては、えらい詩人やね」
「なにそれ、にしてはって」
いつものやりとり。
けれど、二人ともすぐには大きく笑えなかった。
そのかわり、空気が少しだけやわらかくなった。
壁の時計が、静かに時を刻んでいた。
外はもう遅い。
けれど二人の前には、まだ片づけられていない譜面が何枚も広がっている。
その中に、一曲だけ別の色の付箋が貼られた譜面があった。
《ひまわりの子守唄》
ソフィーアが作詞に関わり、毎年の支援ライブのラストで必ず演奏する曲だ。
光子のチューバが大地みたいに低く鳴り、
優子のドラムが、遠くの空へ呼びかけるように響く。
最後は観客みんなで、声を合わせる。
――Дякую!
ありがとう。
その一言のために、どれだけの人が涙を流しただろう。
どれだけの人が、自分とは遠い国の痛みを、ほんの少しだけ近くに感じただろう。
優子は、譜面をそっと持ち上げた。
「今年も、やるんよね」
「やるよ」
光子の返事は迷いがなかった。
「売り上げ、今年も音楽療法プロジェクトに回す。
あと、子ども向けの楽器も追加で送りたい」
「ドラムパッドも入れようや。
本物は無理でも、叩けるだけで全然違うけん」
「うん。チューバはさすがに送れんけどね」
「送ったら送料で泣くわ」
二人はそこで、ようやく少し笑った。
けれどその笑いは、軽いだけのものではなかった。
悲しみを知らない人の笑いではなく、
悲しみを知ってなお手放さない人の笑いだった。
優子が、ふいにスマホを手に取った。
「この前のメール、もう一回見てよか?」
「うん」
画面を開く。
ソフィーアから届いた短いメッセージ。
優子は、静かな声で読み上げた。
「私は毎朝、あなたたちの曲を聴きます。
それは、光のようで、笑いのようで、
“生きていいんだ”と教えてくれます。
いつか、平和なウクライナで、みんなで“爆笑ライブ”を開きたい」
そこで、優子の声が少し詰まった。
光子は黙っていた。
ただ、目を閉じて、その言葉を胸の中に落としていた。
“生きていいんだ”。
その言葉の重みを、二人は知っていた。
傷ついた子どもたち。
喪失の底にいた人たち。
夢を失いかけた仲間たち。
これまでの旅の中で、何度も、その一言が必要な場面に出会ってきた。
だからこそ、ソフィーアが今、戦禍の地でその言葉を誰かに渡していることが、たまらなく愛おしかった。
光子が、ゆっくり口を開く。
「ソフィーアってさ、ステージの上だけの表現者やないんよね」
優子がうなずく。
「うん」
「泣いとる子の手を握って、隣で一緒に笑う。
それができる人が、本物なんやと思う」
優子は、少し考えてから言った。
「いちばん強い芸術って、たぶんそういうことやろうね」
モニターの中で、ソフィーアが子どもたちとひまわりの絵を描いていた。
黄色いクレヨン。
青い空。
ぎこちない線。
そのどれもが、戦争に奪われなかったものみたいに見えた。
光子は立ち上がり、チューバを抱え直した。
「もう一回、《ひまわりの子守唄》やろう」
優子も、スティックを握り直す。
「うん。今度は、あの子に届くつもりで」
「今までは違ったん?」
「今までも届くつもりやったけど、今日はもっとまっすぐ」
光子が、小さく笑う。
「了解」
スタジオに、ふたたび音が生まれる。
低く、あたたかいチューバの響き。
それをそっと支えるドラムの拍。
派手ではない。
叫ぶようでもない。
けれど確かに、人の心の奥へ沈んでいく音だった。
それは、遠い国の瓦礫の町へ向かう祈りだった。
眠れない夜を越えようとする子どもたちへの子守唄だった。
そして、帰っていった友を想う、二人からの返事でもあった。
音が終わるころ、優子は目を閉じたまま、かすかにささやいた。
「いつか、ほんとにやりたいね」
「なにを?」
「平和になったウクライナで、爆笑ライブ」
光子は、チューバのベルを撫でながら答えた。
「やろう。
その時は、ソフィーアにもセンター立ってもらわんと」
「絶対やね」
「絶対」
窓の外には、春の終わりみたいな静かな夜が広がっていた。
ここには爆撃の音はない。
けれど、だからこそ二人は忘れないようにしていた。
遠くで今も揺れている空のことを。
そこで、笑うことを諦めていない友のことを。
光子と優子にとって、ソフィーアはただの仲間ではなかった。
笑顔の音を教えてくれた人。
傷の中でも表現をやめない人。
戦火の向こう側で、それでも誰かに“生きていい”を渡し続ける人。
だから二人は、今日も演奏する。
笑いと音楽が、恐怖よりも遠くまで届くと信じて。
ひまわりの咲く日を信じて。
そしていつか、ほんとうに平和な空の下で、三人一緒に笑える日を信じて。
⸻
夜のビデオ通話。キーウの小さなスタジオ、壁に貼られたひまわりの絵。
画面の向こうでソフィーアが深呼吸して、まっすぐ言った。
「戦禍に打ちひしがれた人たちに、もう一度“笑顔”を取り戻したいんです。
光子さんと優子さんは、私たちに無償の笑顔をくれました。
――だから、お二人の“生き様”を、ウクライナでミュージカルにしたい。」
数秒の沈黙。
次の瞬間、画面のこちら側で二人の頬がふわっとゆるむ。
光子「……うちらの生き様が、誰かの背中を押せるっちゃ? それ、いちばん嬉しかよ。」
優子「泣きよる子の手ぇ握って、一緒に笑えるなら、舞台でも何でもやろうや。」
ソフィーアは小さく頷き、用意していたノートを開く。
ページには三つの年齢が書かれている――8歳/13歳/20歳。それぞれ“双子”と丸で囲んである。
「幼少期、思春期、成人期――三つの“季節”で、双子の勇気とユーモアを描きます。
タイトルは仮に、『爆笑発電所』。
笑いが電力みたいに人の心を灯す、という意味です。」
光子「タイトル優勝やん!」
優子「うちら、電力会社やったっけ?(笑) でも、その灯り、ウクライナ中に灯そ。」
ソフィーアは笑ってから、目尻だけを少し濡らした。
「ありがとう。戦火の跡地でも、舞台の上なら希望が立ち上がるって、信じたいんです。」
光子はチューバのマウスピースを摘み、カメラに向けてコツンと当てる。
「じゃあ約束。音と言葉、ぜーんぶ置いてくけん。」
優子は指でテンポを刻んでみせる。
「笑いの“間”は任せんさい。客席ごと巻き込むけぇ。」
三人はスケジュール帳を出し、段取りを一気に詰めていく。
•構成:三章立て(8歳「はじめての勇気」/13歳「迷いのトンネル」/20歳「光の手」)
•演出語彙:ウクライナの民謡モチーフ+M&Yのリズム(手拍子・足踏み・コール&レスポンス)
•俳優:各章で双子役×2名(計6名)。稽古は博多短期合宿→オンライン継続。
•約束:笑いは尊厳を守るための道具。被災経験を“消費しない”。
最後にソフィーアが、そっと告げる。
「“無償の笑顔”を、今度は私たちが返します。ウクライナの子どもたちと一緒に。」
光子「返さんでよかよ。回していけばよか。」
優子「笑顔はリレーやけぇ。バトン、受け取った。」
画面越しに、三人で小さく手を振る。
Wi-Fiの小さなタイムラグさえ、拍手みたいに心地よかった。
発言力と影響力の広がり
•テレビ・ラジオ・ネット配信など、出演依頼は年間200件超。
•ただの“人気芸人”や“アーティスト”ではなく、社会的発信力を持つ文化人としても注目されている。
•政治・教育・地域防災・福祉など、多岐にわたるテーマに「笑いで人を結ぶ」という視点でコメント。
•国際フォーラムでも「笑いと平和の相関」をテーマに講演。
特に「怒りより笑いで伝える勇気を」スピーチは、世界中で称賛された。
ワールドツアー開催
光子と優子率いる《ファイブピーチ★》は、ソフィーアの支援も受けて
**「Laugh & Harmony World Tour 2048」**を開催。
ツアー都市とテーマ
地域
会場
テーマ
東京
武道館
「笑いは翼」
ロンドン
ウェンブリー
「握手の音」
キーウ
国立劇場
「ひまわりの約束」
ロサンゼルス
ハリウッドボウル
「Hope, Smile, and Music」
シドニー
オペラハウス
「南十字星の笑顔」
ブエノスアイレス
テアトロ・コロン
「笑いは国境を越える」
ソフィーアが演出監修を務めたキーウ公演では、戦火で傷ついた子どもたちが合唱に参加。
観客席は涙と笑顔に包まれ、アンコールでは
「光を、やさしさを、笑いを――ありがとう!」の声が会場を満たした。
世界が感じた“M&Yの奇跡”
•メディアは「M&Y現象」と呼び、彼女たちのステージを社会現象として報じた。
•音楽業界では“第2のビートルズ現象”とも称されるが、本人たちは笑って否定。
光子「ビートルズには負けるけど、“ビート笑いズ”やったら負けんかも」
優子「なんやそれ(笑)」
•ファンは彼女たちをこう呼ぶ:
“世界一やさしい革命家たち”
二人の想い
光子:「戦争も、差別も、いじめも、ぜんぶ“笑い”で風を通せるって信じとる。」
優子:「世界中が笑いながら“生きてる”って言える日が、うちらのゴールやけん。」
ソリオと暮らす、ふつうで特別な日々
――「光とやさしさ、発進します!」
ステージを降りれば、光子と優子はごく普通の主婦。
洗濯物を干して、子どもを幼稚園に送って、スーパーで特売卵を奪い合う日々。
でも――彼女たちの車、「M&Y号」だけは、ちょっと“普通じゃない”。
愛車ソリオのAIナビ《ピーチナビMk-II》
この車載ナビ、ただのカーナビじゃない。
家族のボキャブラリーを勝手に学習して、ギャグAIに進化してしまった。
起動時:
ピーチナビMk-II「おはようございます光子さん、今日も安全運転で〜!あと、昨日の冷蔵庫プリン事件、SNSでバズってます」
光子「おいナビ、情報早かろ!」
ピーチナビMk-II「AIですから(どや)」
優子「どや顔すんな!画面平面やろ!」
ナビとの漫才タイム
信号待ちの間に始まる、謎のトークショー。
光子「右折したら博多駅方面って出とるけど、まっすぐ行ったらどこ行くと?」
ナビ「まっすぐ行ったら――あなたの未来です!」
優子「AIがキザなこと言うなや!」
光子「ナビさん、今日の燃費は?」
ナビ「ボケ燃費120%、ツッコミ回収率95%です!」
優子「意味わからん!しかも高精度!」
家族も参戦!“ナビギャグアップデート”
燈真「ナビくん、今日もギャグ入れた?」
ナビ「はい、新ギャグ『安全運転シートベルト締めてプルプル』を追加しました!」
灯乃「もう、それママよりおもろいかもしれん」
光子「ちょ、負けた!?」
優子「ちょっとナビ、あんた次ライブ出る気やろ!」
ナビ「“M&Y featuring ナビ”として出演希望です」
光子「ちょ、売り込み早いって!」
普通の幸せ
家に帰れば、
冷蔵庫から漂うカレーの匂い、
リビングに転がる子どものぬいぐるみ、
洗濯物を取り込みながら――
光子「なぁ優子、世界中まわっても、ここ帰ってくるとホッとするよね」
優子「そうやねぇ。笑いも平和も、結局この“日常”が根っこやけん。」
ナビ「……名言登録完了。タイトル『主婦、時々レジェンド』」
光子&優子「勝手に保存すなーっ!」




