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爆笑三姉妹〜陽翔・結音誕生から、燈真・灯乃、彩羽・悠翔誕生まで  作者: リンダ


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20/30

さおりと小春のお腹に赤ちゃんが

爆笑発電所リスタート特別編・ふわもちぷにすけスペシャル2047

「ぶはぁ&うんばぁ、笑顔の連鎖ふたたび」


時:2047年6月(初夏)

場所:福岡・博多区 小倉家スタジオ兼ホール


出演:

M&Y(青柳光子・柳川優子)

ふわもちぷにすけ(青柳陽翔&柳川結音・1歳)

春海(11歳)

宗像大輔&宗像美咲

春介

ファイブピーチ★メンバー

美鈴・優馬夫妻



◆オープニング


(BGM:「うにゃマンボー2047 Remix」)


光子:「みなさ〜ん!お久しぶりっちゃねぇ!笑いの灯、完全再点火ばいっ!」

優子:「いろいろあったけど、笑いは生きとるけん。今日も“ぶはぁ”と“うんばぁ”で心を明るくしよ!」


春介:「今日は“リスタート”やけど、“リスート”って書いてもええくらいやで!」

春海(11歳):「それギャグとしてはギリやな。」


光子:「そのギリ感が小倉家クオリティやね〜。」

優子:「ギリで踏みとどまって笑いに変えるのが、うちらの生存戦略たい。」



◆ステージ:ふわもちぷにすけ再登場


(照明がやわらかく落ち、スクリーンにベビーカメラの映像。陽翔と結音がステージ中央へ)


陽翔(1歳):「ぶはぁ〜!」

結音(1歳):「うんばぁ〜!」


(会場、悲鳴に近い歓声)


優子(ぱっぱ〜):「今日も出たねぇ〜、うんばぁ砲っ!」

光子(まんま〜):「ぶはぁとの二重奏やね!今年の紅白、これで行こか!」


春海:「紅白より先に、保育園の先生が混乱するやつやろ。」

春介:「連絡帳、“今日もぶはぁでした”って書かれる未来が見える。」



◆宗像兄妹、登場


美咲:「うにゃ〜、だいしゅけおにいしゃん、みしゃきもぶはぁしたい〜」

大輔:「おう、練習した“トリプルぶはぁ”いくで!」


美咲・陽翔・結音(声を揃えて):「ぶはぁ〜!!」


(紙吹雪と歓声)


光子:「ちょ、目が眩しぃ〜!笑いの閃光弾やん!」

優子:「爆笑通信史上、最年少ユニットの完全シンクロ誕生っ!」


春海:「この三人、将来ステージ荒らすタイプやね。」

春介:「すでに荒らしとる。」



◆ファミリーMCコーナー


美鈴ばんばぁ:「あらあら、もうみんな、立派に喋るようになって。まんま〜もぱっぱ〜も板についとるねぇ。」

優馬(じい〜):「孫に“じい〜”って呼ばれる日が来るとはのぅ…。わし、公式ニックネーム決定やな。」


春介:「大輔くん、久しぶりやな!今日は“ぶはぁ世代交代式”たい。」

大輔:「任せとけ!おれ兄ちゃんやけん!」


美咲:「みしゃきも、おねえしゃんみたいに、ぶはぁする〜!」


春海(少し笑いながら):「そのうち“ぶはぁ指導員”とか出来そうやね。」

光子:「国家資格みたいに言うな。」



◆スペシャルステージ

「ぶはぁ&うんばぁラプソディ 〜Re:Smile〜」


(照明が金色に寄り、会場が静かに手拍子)


ぶはぁで笑って うんばぁで包もう

まんまの手から ぱっぱの笑顔へ

じい〜とばんばぁ 見守ってる

未来に渡そう ぶはぁうんばぁ


(サビで陽翔・結音・美咲が声を出し、会場が一体になる)


春海(客席を見渡しながら小声で):「……なんか、ほんとに笑顔増えとるね。」

春介:「それが爆笑発電所やろ。」



◆エンディングトーク


光子:「笑いはね、時々止まることもある。でも、止まってもまた始められるんよ。」

優子:「みんながこうして“おかえり”って笑ってくれた。それが一番のご褒美やね。」


美咲:「みしゃき、またぶはぁする〜!」

陽翔&結音:「うんばぁ〜!」


春介・春海・大輔そろって:「ほな全員で――ぶはぁ&うんばぁっ!」


(観客総立ち。拍手と笑いに包まれてフィナーレ)



◆エピローグ


会場の外では、爆笑発電所女性部や各地の支部の中継が流れ、

「笑いのエネルギー、全国同時送電中!」のテロップが輝いている。


美咲がカメラに向かってピースしながらひとこと。


美咲:「みんな〜、また笑お〜ねぇ〜!ぶはぁ〜!」



◆配信後Q&A


オンライン配信のチャット欄には、世界中のコメントが殺到していた。


「ぶはぁ&うんばぁ最高!」

「美咲ちゃん天使!」

「質問!美咲ちゃん、一番好きな人はだ〜れ?」


スタッフ:「美咲ちゃん、みんなが聞いてるよ〜。一番好きな人はだ〜れ?」


会場が静まり返る。


美咲にっこり:「ん〜っとねぇ……だいしゅけおにいしゃんも、すき〜」


(歓声)


美咲:「でもねぇ……まんま〜も、ぱっぱ〜も、ばんばぁも、じい〜も、みんなすきっ!」


春海(胸を押さえて):「あかん、心臓もたん。」

春介:「名言くる空気や。」


美咲(胸に手を当てて):「いっちばんすきなのは……

“ぶはぁ”と“うんばぁ”のときに、みんなが笑うおかお〜。」


会場に拍手が広がる。


光子(目を潤ませながら):「……それ、名言すぎるやん。」

優子:「“笑うおかお”が好きって言葉、今年のベストワードに決定やね。」


スタッフ:「最後に一言どうぞ!」


美咲(手を振りながら):「みんな〜!これからも、たのしく、ぶはぁ〜してねぇ〜!」


その瞬間、「笑うおかお」という言葉はSNSで一気に広がり、

爆笑発電所の笑いは、再び世界へと広がっていった。




爆笑発電所リスタート特別編・ふわもちぷにすけスペシャル2047


続き「笑うおかおのうた」制作〜秋のテレビ特番へ



◆翌日:小倉家スタジオ控室(反省会という名の雑談会)


紙吹雪の残骸がまだ床の隅に転がっている。

昨日の余韻が残るまま、机の上には差し入れと、誰かが書き散らしたメモ用紙。


優子(スマホを見ながら):「やばい。“笑うおかお”が、国内だけじゃなくて海外にも流れとる。」

光子:「コメントの言語が増えすぎて、もう“ぶはぁ”が世界共通語に見えてきた。」

美鈴:「よかことやねぇ。笑顔は翻訳いらんけん。」

優馬:「わしの“じい〜”も、いつか世界に輸出されるかもしれんのぅ。」


春介:「世界輸出する前に、家の中の掃除せん?」

春海(11歳):「まずそこからやね。」


そこへスタッフが駆け込んでくる。


スタッフ:「あの、緊急で……テレビ局から連絡です。『“笑うおかお”をテーマに、新曲作りませんか』って。」

光子:「来た。」

優子:「来たね。」

春介:「ほらな。言葉って、世の中が拾うときは一瞬やけん。」

春海:「でも、あれ美咲ちゃんの言葉やろ。ちゃんと大事にせな。」


光子は一拍置いて、うなずいた。


光子:「美咲の言葉を、みんなの歌にする。」

優子:「タイトルは決まっとる。『笑うおかおのうた』。」



◆制作会議:作詞(光子)と作曲(優子)と、現場の混沌


スタジオのホワイトボードに大きく書かれる。


「笑うおかおのうた」


その下に、候補フレーズが並ぶ。

“ぶはぁ”“うんばぁ”“まんま”“ぱっぱ”“じい〜”“ばんばぁ”。


春介:「文字にすると情報量すごいな。」

春海:「一歩間違えたら、幼児語の辞書やね。」

優子:「違う違う。これは“家族の音”やけん。歌は音から始まるっちゃ。」

光子:「歌詞は、笑いを押しつけんようにしたい。しんどい日にも寄り添うやつ。」


美鈴:「笑うのがしんどい日もあるけんね。でも、誰かの笑顔は見ていたい日もある。」

優馬:「わしはそのとき、孫の写真を見て生き返る。」

春介:「じい〜、急にいいこと言うやん。」

春海:「そこで“ぶはぁ”言わんの、成長やね。」


光子がペンを走らせる。


光子:「“笑うおかお”が好き。

それって、相手を笑わせたいって意味じゃなくて、

相手が笑える場所が好きってことやろ?」

春海(小さく):「……うん。昨日、会場がそうやった。」

春介:「笑いが“勝ち負け”じゃなくて、“戻ってこれる場所”になっとった。」


優子:「よし。曲は、最初は静かに始める。

途中で“ぶはぁ”“うんばぁ”を入れて、最後はみんなで歌えるようにする。」

春海:「え、子どもたちの声も入れる?」

光子:「入れる。あの声が、この曲の“理由”やけん。」



◆レコーディング当日:天使とカオス


録音ブースの前に、小さな椅子が三つ。

陽翔と結音は、まだ歌うというより“そこに存在するだけで正義”。


優子(マイク調整):「はい、陽翔くん、いつものいくよ〜。」

陽翔:「ぶはぁ〜!」

結音:「うんばぁ〜!」

(エンジニアが無言で親指を立てる)


光子:「もう一発、今度は“優しめ”でいける?」

陽翔:「……ぶぁ。」

結音:「……んば。」


スタッフ:「可愛すぎて音割れしそうです。」

春海(11歳):「音割れって、機材が泣くんやね。」

春介:「機材も人間やけん。」


そこへ宗像兄妹がやってくる。

美咲は昨日よりさらに堂々としている。


美咲:「みしゃき、“笑うおかお”うたう〜。」

大輔:「おれも!おれ、兄ちゃんやけん!」


優子:「よし、ここ大事。美咲ちゃん、最後に一言パートあるけん、そこで言って。」

美咲:「うん。みんな、笑うおかお〜。」


春海がこそっと春介に言う。


春海:「この子、言葉がもう“歌”やね。」

春介:「そやな。声が、場の空気を変える。」



◆歌詞(番組用・短尺版)「笑うおかおのうた」


まんまの手のぬくもりで ぶはぁって息をして

ぱっぱの声のリズムで うんばぁって前を向く

泣きたい日は 泣いていい

笑える日は 分け合おう

小さな指がつないだ 未来のハーモニー

みんなで笑おう

それが 笑うおかおのうた


(間奏に、陽翔・結音・美咲の声)

「ぶはぁ」

「うんばぁ」

「笑うおかお〜」



◆テレビ局からの正式決定


スタッフが紙を持って戻ってくる。


スタッフ:「秋の特番、決まりました。タイトル……これで行きます。」


モニターに表示される。


『笑うおかおのうた

〜ぶはぁ&うんばぁスペシャル〜』


光子:「……その副題、強いね。」

優子:「強いけど、嘘はないけん。」

春介:「全国放送で“ぶはぁ&うんばぁ”。時代が追いついたな。」

春海:「追いついたんやなくて、引っ張っていったんやろ。」


美鈴は笑って、ぽつりと言う。


美鈴:「みんな、ようここまで戻ってきたね。」

優馬:「戻ってきた場所が、笑いの場所ってのがええ。」


光子はホワイトボードを見て、少しだけ息を吸う。


光子:「次は、全国に届ける番やね。」

優子:「うん。届けよう。“笑うおかお”を。」



◆秋・テレビ特番当日(導入だけ)


スタジオのライト。観客のざわめき。

タイトルCGが輝き、カメラが寄る。


司会者:「さぁ本日は、あの“笑うおかお”から生まれた新曲が、ついに初披露です!」


光子:「笑うおかおが好き、って言葉がね……こんな未来を連れてきたんですよ。」

優子:「今日は、ちいさな声も、ちいさな手も、全部含めて歌います。」


カメラが、マイクの前に並ぶ子どもたちへ。


陽翔:「ぶはぁ。」

結音:「うんばぁ。」

美咲:「みんな、笑うおかお〜。」


スタジオが、静かに温かくなる。

そして、イントロが流れ始めた。









爆笑発電所リスタート特別編2047


「ファイブピーチ★からのご報告」


時:2047年6月

場所:福岡・博多区 小倉家スタジオ兼ホール


「笑うおかおのうた」の特番収録が終盤に差しかかり、会場は温かい拍手に包まれていた。


司会者

「本日は本当に素敵な時間でしたね。さて、ここで――出演者の皆さんから、もう一つお知らせがあるそうです。」


客席がざわつく。


光子

「え?なに?うちら聞いてないんやけど。」


優子

「この流れ……なんかサプライズっぽくない?」


そのとき、ステージ袖から二組の夫婦がゆっくり歩いてきた。


大畑奏太と日向さおり。

そして、柳川翔太と大畑小春。


光子

「……あれ?」


優子

「この並び、ちょっと意味深やね。」


奏太は少し照れながらマイクを握った。


奏太

「えー……今日はこの場を借りて、皆さんにご報告があります。」


客席は静まり返る。


奏太

「僕と、妻のさおりの間に……」


一拍。


さおりが小さく笑って、手をお腹に当てた。


さおり

「赤ちゃんを授かりました。」


一瞬の沈黙。


次の瞬間――


客席

「わああああ!」


拍手と歓声が一気に広がる。


優子

「ええええ!?」


光子

「ちょっと待って、ほんと!?」


さおり

「はい。今、安定期に入ったところです。」


光子は思わず両手を上げた。


光子

「うわああ!おめでとう!」


優子

「これは嬉しいニュースやね!」


会場の空気が温かく膨らむ。


しかし、翔太が手を挙げた。


翔太

「すみません。実はもう一つ……」


客席

「え?」


小春が照れながら前に出る。


小春

「私たちも……」


翔太

「赤ちゃんができました。」


会場が一瞬止まる。


そして――


さらに大きな歓声。


優子

「えええええ!?」


光子

「ダブル!?」


春海(11歳)

「今日、情報量多すぎるやろ。」


春介

「爆笑発電所、人口増加装置やな。」


司会者

「なんと、ファイブピーチ★から同時に二つの嬉しい報告です!」


拍手が止まらない。


美鈴

「まぁ……本当におめでたい。」


優馬

「こりゃまた家族が賑やかになるのう。」


優子がマイクを取る。


優子

「これはもう……言うしかないね。」


光子

「うん。」


二人は顔を見合わせた。


光子・優子

「新しい“笑うおかお”が、また増える!」


客席がまた大きく拍手する。


さおり

「この子たちにも、笑いのある世界を見せてあげたいです。」


小春

「ぶはぁも、うんばぁも、ちゃんと覚えさせます。」


翔太

「それ英才教育なん?」


奏太

「うちの子、たぶん最初に覚える言葉それやろ。」


春海

「保育園で先生びっくりするやつ。」


春介

「“ぶはぁ語”ネイティブ誕生。」


客席がまた笑いに包まれる。


そのとき、最前列の陽翔と結音が声を上げた。


陽翔

「ぶはぁ!」


結音

「うんばぁ!」


優子

「ほら、先輩たちが歓迎しとる。」


光子

「未来の仲間に、正式な挨拶やね。」


ステージの中央で、四人は並んだ。


奏太

「これからも、家族として、音楽として、頑張っていきます。」


翔太

「そして、父親としても。」


さおり

「どうか温かく見守ってください。」


小春

「よろしくお願いします。」


拍手が長く続く。


その日、爆笑発電所のステージで、

新しい命の物語が静かに始まった。









爆笑発電所リスタート特別編2047


「マタニティマンボー、始動」


時:2047年6月下旬〜

場所:福岡・博多区(小倉家スタジオ/各家庭/桜ヶ丘レディース&マタニティクリニック)



◆翌朝:小倉家スタジオ控室「おめでたの余韻と現実」


昨日の拍手の熱がまだ残っているのに、現場は朝から現実に戻る。

差し入れの箱、番組台本、そして――誰かが書いたメモ。


「さおり:つわり対策 小春:睡眠確保 出演時間調整」


優子(メモを指でトントン)

「はい。ここから先は、笑いだけじゃ進まんけん。体が主役の期間に入るよ。」


光子

「“リスタート”の空気に甘えず、まず守る。お腹の中の新メンバーを。」


春介

「たぶん今一番強いの、赤ちゃんやけどね。」


春海(11歳)

「強いけど、繊細やろ。そこ間違えたらあかん。」


その言い方が、どこか大人っぽくて、周りが一瞬だけ静かになる。

光子は笑って、春海の頭を軽く撫でた。


光子

「春海、えらいな。ちゃんと“守る言い方”知っとる。」


春海(照れ隠し)

「別に。昨日の空気が良すぎただけ。」



◆さおり宅:つわりと「音楽の匂い問題」


午前。さおりはソファに横になり、クッションを抱えている。

奏太はキッチンから顔を出す。


奏太

「おかゆ、できた。匂い、大丈夫?」


さおり

「…今日は、白米の匂いが“強敵”やね。」


奏太

「白米が敵になる世界線、初めて見た…。」


さおりは笑いたいのに、笑うと気持ち悪さが上がる。

だから、息だけで笑う。


さおり

「ふっ…ぶはぁ…」


奏太

「今の、気合い入った“ぶはぁ”やった。」


さおり

「笑ったら、少し楽になる気がする…でも、笑い過ぎたら戻す。」


奏太

「笑いの適量、難しすぎるやろ。」


そこへ優子からビデオ通話。

画面の向こうで、光子も覗き込んでいる。


優子

「さおり、今日はどう?」


さおり

「波がある。午前はだめで、夕方ちょいマシ。」


光子

「それで十分。波に勝とうとせんで、波に乗る感じでいこ。」


奏太

「俺、曲作るの控えた方がいい?ギターの匂いとかある?」


さおり

「ギターは大丈夫。…でも、アンプ温まった匂いが今日はちょっと。」


奏太

「アンプ、敵かぁ…!」


優子

「敵、多すぎるけど、味方も多いけん。ここはチーム戦たい。」



◆小春宅:眠気と食欲のジェットコースター


同じ頃、小春はテーブルに突っ伏していた。

翔太は水を持ってきて、そっと置く。


翔太

「飲める?冷たいのにする?」


小春

「…今、氷見たら泣きそう。」


翔太

「氷で泣く…?」


小春

「わからん。自分でもわからん。」


翔太は笑いそうになって、慌てて口を押さえる。

小春が顔だけ上げる。


小春

「今、笑おうとしたやろ。」


翔太

「笑ってない!…笑ってないけど、愛おしさで顔が崩れただけ!」


小春

「それ、同じやろ。」


そこへ春介と春海が遊びに来る。

春海(11歳)は、部屋に入った瞬間、目で状況を確認するみたいに一周見た。


春海

「小春さん、今日は眠い日?」


小春

「うん…眠い日…」


春介

「おれは腹減る日。」


春海

「それは毎日やろ。」


翔太

「春海ちゃん、助かる。こういう時、ツッコミがあると空気が軽くなる。」


春海

「軽くしすぎたらダメな日もあるけどね。今日は軽くしてよさそう。」


小春は小さく笑った。


小春

「なんか…春海ちゃん、いま一番頼れる。」



◆小倉家スタジオ:番組側の「マタニティ運用」が始まる


夕方、関係者が集まってミーティング。

ホワイトボードにデカく書かれる。


「安全第一」

「体調優先」

「無理しない」

「笑いは添え物」


光子

「今日から“笑い”は主役じゃない瞬間も増える。そこを、ちゃんと作品にする。」


優子

「うん。笑わせるんやなくて、“笑える空気”を守る期間たい。」


春介

「で、俺らの仕事は?」


光子

「現場の“空気係”。いじり過ぎん、沈ませ過ぎん、気を張らせ過ぎん。」


春海

「つまり、ツッコミの温度管理。」


優子

「それ。春海、今の言い方プロやね。」


春海

「褒めても何も出らんよ。」


光子

「出るよ。安心が出る。」



◆桜ヶ丘レディース&マタニティクリニック:初めての“マタニティ期”実感


数日後。二組が同じ日に検診で揃う。

廊下には例の「安産ロード」。今日はまだ静かだ。


高松院長

「はい、まず言います。二人とも順調。ここからは体調の波があって当たり前。」


さおり

「波、あります。すごく。」


小春

「あります。意味がわからん波が。」


高松院長

「意味がわからない、が正常です。」


翔太

「名言だ。」


奏太

「先生、もう“爆笑外来”って看板出していいですか。」


高松院長

「出したら患者さん増えます。困ります。…でもちょっと欲しいです。」


優子

「先生、欲しいんかい。」


光子

「桜ヶ丘、だんだん“欲”が出てきたね。」


診察室から出てきた二人は、ほっとした顔をしていた。

さおりが、自然にお腹に手を当てる。

小春も、同じように。


春海(11歳)

「…同じ手の形になるんやね。」


春介

「お、詩人。」


春海

「違う。普通に感想。」


光子

「でも、ええ感想。」



◆マタニティ期間の合言葉


帰り道、優子が言う。


優子

「今日からの合言葉、決めよか。」


光子

「うん。」


さおり

「…“頑張りすぎない”?」


小春

「…“比べない”。」


翔太

「…“わからん日は、わからんでいい”。」


奏太

「…“笑える時だけ、ぶはぁ”。」


春海

「…“守る方が、強い”。」


一瞬、全員が春海を見る。


春海(照れ)

「何。今の、変やった?」


光子

「変じゃない。今の、めっちゃ大事。」


優子

「よし。決まり。マタニティ期間の合言葉は――」


全員(小さく笑って)

「守る方が、強い。」


そして最後に、陽翔と結音がタイミングよく声を上げた。


陽翔

「ぶはぁ。」


結音

「うんばぁ。」


さおりと小春が、同時に笑う。

その笑い方が、前より少しだけ柔らかい。




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