スス
その子が着替えて、居間を覗いた。袖口に隙間。…やっぱブカブカだな…。
「こっちに来て?」 話しかけた。…。怯えているのか…。それでも…「おいで?」 と声をかける。…すると、寝室から出てきて、フローリングに座ろうとした。
「こっちにおいで?」 手招きをして、炬燵へと入るように声をかけた。…恐る恐る、来てくれた。
炬燵の布団を捲り、入るように伝えた。正座をしている…。その子に名前を聞いた。
「…名前教えて?」
「……」
参ったな…。何も話さない。言葉が分からないのか?…。あ…なら?
俺は、炬燵から出て、鞄からノートとペンを取り出した。炬燵に戻り、ノートを広げ、ペンで文字を書く。平仮名。すると…。
「スス。」 と答えた。?それが名前か?またペンで文字を…
「ススちゃん?」 首を縦に振った。
…すす…?ん?アレこの子…。よく見ると、泥が着いたり、炭の様な汚れ…。それになんか、臭う。髪の毛が汚れて、頭皮からの臭いだった…。その臭いが凄まじい…(汗)堪らず…
「…お風呂、入る?ススちゃん。」 …?…
風呂を知らないのか?…どう書けば…入浴とか書いても…?…。最後に…
「温泉。」 漢字で書いた。すると…
驚いた顔をした。だけど…目が輝いていた…。これは、入る?でいいんだな?…俺は、炬燵から出て、居間から出でると、風呂場へと向かい、浴槽に湯を溜め始めた。温泉…いや、入浴剤を入れた。
あの子…あまり話せないけど、読める事は出来たな。なら…。居間へと戻り、炬燵に入ると、湯が溜まるまでの間、またペンを取り、ノートに書いて、その子に尋ねた。
「ドコからきたの?」
「……」 「いえは?」 「……」…なら…
「お父さんとお母さんは?」
「父様…いない…母様……いる。しらない。」
いる、知らないって??…ん??今、とと様?かか様?って。…アレ?…この呼び方、何処かで??