はなさない
アパートに着いた。駐車場に、山本が先に来ていた。
「よ。さっきはどうも。」
院長ならぬこの軽さと馴れ馴れしさ…。山本 和真。歳は俺より5歳上。山本病院の院長。俺はここで看護師をやっている。5年前から勤め始めた。山内は同級生で看護師。別の訪問看護事業所の職員だ。なんで、院長とこんなに仲がいいのかと言うと、飲み屋で知り合いになった。カウンターで1人飲んでいて山本から、声をかけられた。山内と山本は、元からの知り合い。山内が勤務している、訪問看護事業所は、山本病院と提携を組んでいた。山本病院で退院した患者を山内の勤務する、訪問看護事業所に依頼し、自宅で看護を受けられる様になっていた。
「悪い、はな見てて?掃除機かけたい。」
「?入れても大丈夫じゃ?」
「音にビビるかも。」 「大丈夫さ。見せた方がいい。」「 それも、そうだな。泣いたらよろしく。」
「あぁ。」 はなに声をかける。
「お家着いたよ?アニメは…」 「ん~」
…俺のスマホをガッチリ掴んで離さない(汗)
「観させとけば?」 「…一旦、止めて、中入ったら観させるよ。転ぶと悪いから。」「確かに。」
スマホをはなから、返してもらい、駐車場からアパートの玄関へ向かう。アパートは、1階の角部屋。玄関に着き、鍵を開けた。
中に入り、居間に向かう。はなは、山本の側に居させ、スマホを渡して、まだアニメを見せた。コートを脱いで、居間のクローゼットにかける。まだエアコンも付けてない寒い居間。エアコンをかけ、燻煙式殺虫剤を片付ける。掃除開始。時間は、18時半。炬燵を剥がし、カーペットから、掃除機をかける。かけ終わると、一旦、廊下に出す。はなは、驚いたものの、アニメに夢中だった…。フローリングもかける。寝室もかけた。ベットはハンディタイプの掃除機で。山本が炬燵を戻してテーブル用の除去シートで、テーブルを拭いてくれた。と…山内が来てくれた。
「悪い、遅くなった。なんか、手伝う?」 「大丈夫。ありがとう。もう終わる。」
「はなちゃん、大人しくしてるな?」 「スマホのアニメを見せてる。」 「なるほど。」
廊下も掃除機をかける。
全部が終わったのは、19時を過ぎていた。それでも早く終わった。掃除が終わり、洗面所で手洗いとうがい。はなも手洗いとうがいをさせた。居間に戻り、一息……。
「早かったな。」 「物が無いからね。」
「あ、夜メシ買いに…」 「コロッケとメンチカツ買ったが、食べないか?」 「食べる。」 「食べる。」
「メシあるから…レトルトカレー…」「いいな。」
夜メシの支度する。ようやく、エアコンがきいて、居間が温まってきた。山内がはなのコートを脱がせた。
「これ、どうする?」 はなが着ていたコート。
「クローゼットに入れ…いや、玄関にかけてくれ。」 「了解。」
山内がはなのコートを玄関にかけてきてくれた。その間もはなは、スマホを観ていた。




