表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

あたしはわりと自由

作者: 歌川 詩季

 不自由がることないよ。

 あたしはわりと自由


 翼がはえてないかわりに背中には

 くまのぬいぐるみ型リュックを背負えるし

 しましまの囚人服以外にも

 クローゼットには並んでる


 上映中の映画館や病院の待合室でもなけりゃ

 鼻歌だって歌えるし

 お散歩ちゅうにみかけた犬や猫には

 好き勝手な名前をつけてやれる


 目玉焼きには お醤油でも ソースでも

 なんなら塩胡椒でも

 その日の気分で選んでやればいいよ

 ハムエッグにするか ベーコンエッグにするか

 さんざん悩んだすえに

 ソーセージをのせることだってめずらしくないもん


 だけどあたしは神様でも 大魔王でもなくて

 歯がゆさにむずむずさせた背中を()くことや

 悔しさに涙で水たまりをつくることや

 苛立ちで舌打ちのマシンガンを

 乱れ撃ちすることもあるんだけど

 それでも あたしはわりと自由なんだ


 なにひとつ不自由がなかったり

 ぜんぶ思いどおりになんなきゃいけないのが

 あたしの自由でもないし

 そんなことにこだわらずに

 できることを楽しむのこそがあたしの自由だよ


 だから あたしはわりと自由


 ポケットの小銭をはたいて

 おやつに駄菓子も買い(あさ)れる

 いくらなんでも

 駄菓子屋さんごと買い占められないことを

 不自由って(なげ)くなんてばかげたことはしない

 わりと、ですけどね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ