これが私の初恋
「おーい、ポメー。そろそろ朝の実習終わる、けど……」
ひょっこり顔を覗かせた橘が「ぬぉ?」と、声を裏返らせた。
「何? どうした? 腹痛い?」
オロオロしている。
心配してくれている。
そしてそんな橘のことを本当は……。
カナエちゃん。
どうかどうか、私に力を貸してくださいまし!!
涙をごしっと拭って、手紙をぎゅっと胸に押し付けて、橘を真剣に見つめる。
「橘」
「え……よくわかんねーけどなんか、ごめん」
「! ご、ごめんて」
「いや、すげー睨みつけてくるから、なんか怒ってんのかなーって」
(そっちか! てか見つめてたんすけど)
まさかのコクる前にフラれパターンかと、一瞬壮絶にパニクったじゃないか。橘め。
にしても、『ごめん』というフレーズの破壊力たるや。
やっぱ怖い。怖すぎる。
さっきの「ごめん」で、心臓の鼓動が一気に過激で危険な速度まで達してしまった。
末端神経が冷えまくる。くちびるも震えている。
バクバクと、死ぬほど緊張している。
緊張しすぎて吐きそう。
トクトクトク。
今ならまだ引き返せる。
トクトクトクトク。
今ならまだごまかせるぞい。と、ヘタレの私が囁いてくる。
トクトクトクトクトク。
私は卑怯者でヘタレだ。
自分より格上の女子が橘の彼女になれば、橘からの「ごめん」を聞かずして諦められると思っていた。
今も思っている。
てゆーか、それでいいんじゃない?
(いやダメだろ。負けるな自分。もこった頭がなんだというんだ!!)
カナエちゃん、これが私の初恋です!!
「橘好きっ!」
「……へ?」
「だから私は橘が好きっ!……です、なのでつきあってっ!……くれたら嬉しい、かもとか、思っていて。だからつまり……お試しで、いかがすか?」
ああ、意気込んだ告白がしなしなと先細っていく。
なんだこのカッコ悪い告白は。
「……」
橘は……無言。
驚いてる?
それとも……。
※※
ぶわーーーーっと激しい後悔が押し寄せた。
ああ、やっぱやめればよかった。
マジどうすんだこれ。どう落とし前をつけたら……。
「あのだから私は」
ぷっ。
橘がふきだした。
そして……。
わしゃわしゃ。
私のもこった頭を撫でながら、「なんだそりゃ」と橘は爽やかに笑ったのだった。
おわり
最後までお読みくださった皆様、本当に本当にありがとうございました(*^-^*)
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