異世界の常識と転生者の苦悩
はじめに
これを書いたのは、とある感想をいただいたからです。
これを説明すると感想欄が返信の文字で埋め尽くされるので、ここで書かせてください。
今回、異世界転生者の戸惑いを表現したのです。
前世ではこうだったよね。だったら行けるかな?という感じです。いわゆる転生知識チートというものですね。
主人公は上の立場ですので、皆に命令をくださければならりません。そこで表現として言葉に出てくるのが、前世で使っていた言い回しです。
例えば『五十歩百歩』という中国の故事にちなんだ言葉ですね。それが異世界で通じるのかという問題。
異世界に中華文化は存在しないことでしょうから、五十歩百歩と言っても、さて何の事を言っているのだろうとなります。
主人公は周りから、それは『どんぐりの背比べですか?』と訂正されることで、あ……通じないのかっとわかるのです。樹の実はあるでしょうからね。
それを繰り返していって、周りからはおかしな言葉を使うと認識されます。が、途中からは周りが理解していくのです。
これは現代でも新しい言葉が毎年生み出されて行って、人々に認知されて行くのと同じ現象です。
アニメ化になった「パリピ孔明」のパリピはパーリーピーポー(パーティーピープルの転)の略ですよね。日本独特の造語です。海外では通じないでしょうが、日本では「パリピ」と言えば、「集まって陽気に騒ぐのが好きな若者たち」と解釈されます。
それと同じように主人公の言動を周りが理解していく現象が発生し、「五十歩百歩」とポロッと主人公がもらしても、「どんぐりの背比べ」の事を言っているのだなと周りが理解して、指摘をすることがなくなってきます。
転生者が異世界の常識を学んで行くと同時に、周りが転生者の異界造語を理解していき、互いの理解度が歩み寄っていくという流れを表したのです。
ただそれが主人公の横暴のように捉えられたようですね。
主人公の独白で
私の説明の仕方が悪かったのか? 言葉不足だったのか?
時々こういう意思の疎通ができないことが起こる。
私が当たり前だと思っていることが、当たり前ではなかったと。
と表現しましたが
社会不適合者的な感想をいただきました。
これは異世界という別の場所で今までの知識が逆に邪魔になっているというシーンになるのですが、例を出してみましょう。
『いただきます』という言葉ですね。転生者は前世で使っていた『いただきます』という挨拶を食事の前にぽろりと漏らします。
宗教国家なら『何故神に祈りを捧げない! 神に感謝の言葉を述べるのは常識だろう!!』と怒るところですが、物語では大抵受け入れられています。
なぜか? 物語だからです。でないと異端審問にかけられてもおかしくないですからね。
神を信仰しない異端者め! お前はまさか魔女か!
と魔女狩りに発展するかもしれません。
よくある、異世界にジャガイモがあるのか論を書いてみると
転生者はジャガイモだ! これで飢えを凌げるぞっと喜んで領地改革に乗り出す。そして皆から絶賛される。
これ本当に?
一つ言うとジャガイモが入ってきて食べられたのは江戸時代。「ジャカルタからきたいも」ですね。それも罪人を使って安全の整合性をとりました。
そして、どう食べれば安全かがわかったから食べられているだけで、この罪人たちが存在しなかったら、もしかしたら日本ではジャガイモは定着しなかったかもしれません。幕府からジャガイモは毒があるから食べるなとお達しがでれば、それでアウトだからです。
では異世界ではどうでしょう? 毒物と認識されている可能性はないでしょうか?
そうすると転生者は毒物を栽培して領民に毒を食そうとしている悪役領主になる。
恐ろしいことですね。
『ありゃ……「タロ」じゃ。食べれば死に至る植物。そんな物を、わしらに食わそうとなさっている。領主様は恐ろしいお方じゃ』
と領民から恐れられることになるかもしれません。
そして異世界でラーメンを食べたい転生者は問題に直面することになります。
いいか。「メンマ」は竹だ! 誰があんなくっそ硬いヤツを食べようと思うんだ?
転生者はラーメンを作るのに周りからドン引きされながらメンマを作るのです。
『そんな物を食べるぐらいなら、パンを食え』
そう周りから言われるに違いないですね。
ですが物語では当たり前のように、転生者を手伝う人物がいます。なぜでしょう?
それは転生者を慕っているからです。
転生者が凄いのがわかっているとか、好きとか、興味があるなど理由は様々ありますが、転生者を否定する存在はそこには居ないのです。
おもしろいですよね。これは作るという事がメインだからです。
それに案外日本人は普通には食べれない物を食材にしています。
春の味覚の筍。アレ茹でただけで食べれてると思ったら大間違いです。エグくて食べれません。
山菜も同じですね。
京都の土産によく使われているニッキなんて木の皮です。
原産国では日本人は木をたべているのかと思われているという話を聞きます。
めっちゃ引かれています。
異世界の常識と、持っている知識の折り合いをつけるために、トライアンドエラーを繰り返した。そんな話を主人公の独白でまとめているのです。(抜粋は一部だけです)
この過程が社会不適合者ととらえられるのであれば、異世界転生者は異端者とされ、始末されていることでしょう。物語すら形を成しません。異世界転生ジャンルの崩壊です。
前世の知識が逆に邪魔になるという話だったのですが、厳しいものですね。
本文には事細かに書くと何の話やねんとなるので、主人公と周りとでは通じないところはありますが、腹心は理解しているというところで表現をしたのです。
自分の表現の無さなのでしょうね。
ということで異世界の常識と転生者の苦悩でした。