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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
36.白猫少女と原初神

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36-14.不可抗力(自作自演)

「……」


「グリア?大丈夫?

 そろそろルスケアの件、話し合いたいのだけど?」


「……」


 無言で首を縦に振るグリア。

それは大丈夫と言えないやつではなかろうか。



「都合が悪ければ日を改めようか?」


 出来れば週末までには何かしら答えを出したいから、いい加減話し合っておくべきではある。



「……」


 今度は首を横に振るグリア。

グリアも、今ここで話し合っておくべきだと考えているようだ。



「なら始めさせてもらうね?

 リリカ、あとよろしく」


「任されたわ!」


 シーちゃん船の会議室には、私、グリア、リリカ、ニクスが集まっている。

今回は一先ず最低限のメンバーでの開催だ。

一応、チハちゃんズ案件は極秘だからね。

それに、グリアも何か変だし。


 どうにもならなそうなら、改めて誰かに助けを求めよう。



「議題はルスケア全土に広まったアルカ教の解体方法よ!

 具体的な方法について、考えのある人はいるかしら!」


「ニクス、あの件は聞いてくれた?」


「ごめん。聞いてはみたけど、参考にならないよ。

 アムルはやっぱり細かい事までは覚えていなかった」


 ダメかぁ~。

かつてアムルがニクス教でやった、存在しない偽の神に差し替えるって方法が参考になるかとも思ったのだけど。


 とはいえ、信仰心の向け先が変わるだけで領民達はそのままなので、今回は特段有効でも無い。


 単に、私とは関係無くなるから、後は煮るなり焼くなり好きにしてねってなるだけだ。

一度は利用した手前、流石にそれはどうかとも思うけど、場合によっては選択肢に上げざるをえないだろう。


 それだけ、今回解決しなければならない問題の規模が大きすぎるのだ。

手段を選んでいる余裕など無いはずだ。



「私が解体を命じたら、素直に従ってくれると思う?」


「それは無いよ。

 信仰は上から強制されてもやめられないんだ。

 例え神本人の言葉だとしてもね。

 むしろ、言葉を貰えたと有頂天になって、増々信仰するだけじゃないかな?」


 やっかいファンってやつかしら?

「認知された上にDMまで貰えるとかご褒美じゃん」てやつ?



「私、あの領地の人達に大した事してないんだけど。

 昔何かの事件は解決したかもだけど、それ以外に恩恵を与えた事は無いはずよ。

 どうして信仰なんてものが続いているのかしら」


「領主、というか教主の手腕としか言いようがないよ。

 そういう方面に天性の才能があったんだろうね」


 詐欺師的な?

実体の伴わない宗教を広めてるわけだし。


 別に宗教を全否定するわけじゃないけどね?

でも私は何もしていないのだ。

確かに少し術を見せびらかしたりはしたけども、誰かの傷を癒やしたとか、悩みを解決したとかってわけでもない。

本当に、私を信仰する意味が無いのだ。


 まあ、それを利用したのは私達もなんだけども。

そこは勝手に私の名前で宗教を立ち上げられた事と、トントンって事にならないかしら?



「先ずはゴールを明確にしましょう。

 今回確実に成さねばならない事は、たった二つよ。

 一つは、私の名前を忘れさせる事。

 もう一つは、教主であるルスケア伯爵をストラトス侯爵の制御下に置く事」


 そのたった二つが厄介なんだけども。



「後者に関しては、私が出向いて命令すれば済むかもね。

 ルスケア伯爵本人にだけなら、今更私が声をかけたくらいで大騒ぎする事も……あるかもだけど、致命的な変化を齎す事はないでしょうし」


 とは言えそれは、前者次第だろう。

完全な解体を成し得るなら、後は私が口添えするまでもなくストラトス侯爵辺りが掌握出来るはずだ。


 逆にアルカ教自体はそのまま残し、崇める神の名だけ変えてもらうなら、ルスケア伯爵にだけそう指示する事も出来るかもしれない。



「真正面から、改名を要求するのって有効だと思う?

 私、今後はこの名義で活動しますって、適当な名前をでっち上げたりとか」


「それはあまり意味が無いよ。

 信仰ってそう単純じゃないんだ。

 アムルがそれを成し遂げた時とは状況も違いすぎるしね」


 単に私の名前が増えるだけってところかしら。

少なくとも、私が直接それを指示したのでは意味が無いのだろう。



「なら代理の巫女でも立ててみる?

 その巫女から言わせるの。

 神が名前を変えたから、今後はそっちを信仰してねって」


「巫女本人が自発的にやれば意味があるかもね。

 そこまでの過程のどこかで、アルカ自身が関わっていたら同じ話しだよ」


 また無理難題を。

アムルの状況を再現するならば、私への反意も抱かせないといけないわけか。



『私がやりましょうか?

 記憶を消して、かの地へ潜入しましょう』


「ダメよ。当然却下よ。ヤチヨ」


 ヤチヨにそんな感情向けられたら堪らない。

ヤチヨに限らず、他の誰にもそんな事させるつもりは無い。



「う~ん。後はどんな手があるかなぁ」


「……方法はあるとも。

 ニクス教に取り込む事は出来よう」


 グリアがようやく口を開いてくれた。



「どういう事?

 まさか、信者達を鞍替えさせるの?」


「いいや。そうではないのだよ。

 神ニクスと使徒アルカの関係性を公のものにするのだ。

 その上で、アルカ君が示すのだ。

 真に信仰すべきは神ニクスであると。

 つまりは、アルカ君自身が巫女の役割を務めるのだ」


「それだと結局、ストラトス侯爵に引き渡せないじゃない。

 ニクスの名前だって好きには……そっか。出来ないのね。

 既にニクス教は存在しているもの」


「ああ。

 侯爵にはニクス教の代表であるセレネ君を介して話をしてもらう事になるだろうね。

 そしてルスケア伯爵とはセレネ君が話を付けるのだ。

 これで間接的にではあるが、侯爵の影響下に置かれるわけだ」


「そんなの認めるかしら?

 侯爵が求めているのは、ルスケアの掌握よ?

 掌握と言うには半端な状況にならないかしら」


「その先に求めているのは国の安定だ。

 わけのわからない新興宗教に支配された土地が、信頼と実績のある自国の宗教の制御下に置かれるのだ。

 そう的外れという事でもなかろう」


 信頼と実績、ある?

五年程前まで真っ黒だったわよ?



「当然、侯爵にとって悪い話ばかりでもない。

 教会のトップである聖女とも友好的な関係が築けるのだ。

 なんなら、制御の負担をこちらで担ってもかまわない。

 宗教に関する問題は、専門家に任せてもらおう」


 セレネ達が間に入る事で生じるメリットを強調するのね。



「しかしまあ、教会本部とルスケアとでは距離もある。

 我々だけでは手が回りきらんだろう。

 侯爵にも助力頂けるなら幸いだ。

 直接的な統治に関しては侯爵に差配を委ねよう。

 落とし所としてはそんな所ではないかね」


 共同で運営していくという事か。

それも、侯爵に都合の良い形で。


 それにこれは、別に解体も諦めるわけじゃない。

何れ解体を成し遂げるための布石にもなるはずだ。

少なくとも、そう示し合わせる事は出来るだろう。



「良い案だとは思うけど、国取りにも関わってくる話よね?

 何れ教会本部を切り取るつもりなのに、ルスケアまで抱え込む事になっても問題無いの?」


「もちろんあるとも。

 だが、今ならまだ多少の調整で済む話だ」


「こんな言い方はあれだけど、騙し討ちする事になるんじゃないの?

 何れリオシア王国そのものと距離を置く事になるのだし。

 その時、残されたルスケアはどうするの?」


「今それを考えても仕方あるまい。

 国取りの件は別で考えたまえ。

 少なくともアルカ君に責が及ぶ事は無いと約束しよう」


 私だけでなく、セレネもグリアもニクスも、他の誰もが世界から否定される事の無いように立ち回って欲しいものだ。



「そう上手くいくのかしら。

 私と教会の関係だって表沙汰になるのよ?

 それに、ニクスがこの世界に与えられる影響力だってバレてしまうわ。

 使徒である私の力は、すなわちニクスの力と見られるはずだもの」


「切り取りそのものが不可抗力であれば問題なかろう」


「神も使徒も聖女も太刀打ち出来ない侵略者なんて、流石に荒唐無稽が過ぎるんじゃないかしら?」


「調整すべきはその部分だ。

 とは言え、奪還まで含めた国取り計画とするだけの話だ」


「侵略者対、勇者と使徒と聖女のパーティーって事?

 そもそも、それだと奪還後はリオシアに返さなきゃじゃないの?」


「使徒は戦わせん。返却もせん。

 国興しは侵略者に担ってもらう。

 対立するは、侵略者と勇者だ。

 奪還するは、国と聖女だ。

 神は勇者を示すだけだ。

 使徒は神の代行者として、勇者に力を与えるだけだ」


「詳しい事は……いえ、聞かない約束だったわね」


「今日は素直なのだね」


「邪魔してる自覚はあるもの。

 取り敢えず、グリアの提案してくれた方向性でもう少し考えてみましょう」

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