36-13.歓迎
ヤチヨが三十人目のお嫁さんとして認められた。っぽい。
解せぬ。
私は恋人にする許可を求めようとしただけだったのに。
『ノアちゃん、実はヤチヨと……』
『はい。ヤチヨの件ですね。
良いですよ。認めましょう。
セレネ達も承諾済みですので後の事は今晩話しましょう』
ノアちゃんは何故か二つ返事で了承してくれた。
しかもセレネ達にまで根回し済みらしい。
恐るべし、ヤチヨん。
あれ?
というかもしかして、そこまでするって事は……。
『やっと気付いてくれたのですか?
私は最初から本気ですよ?』
……ごめんなさい。
でも、ヤチヨも悪ノリしすぎだったと思うの……。
『小春先輩みたいな百戦錬磨の人と一緒にしないで下さい。
私は先輩と違って一途なんです』
うぐ……。
『まあでも、別に恋人からでも構いませんよ。
小春先輩の望みなら付き合ってあげます』
いや、それは……その……。
やっぱ無かった事にして下さい……。
『そんな言い方ではダメです』
『私のお嫁さんになって欲しい』
『仕方ありませんね。
小春先輩の望みなら、叶えてあげるのもやぶさかではありません』
結局素直じゃないのね。
まあでも、もう曲解しないで受け止めるわ。
『最初からそう言えば良いんです。
改めて宜しくお願いしますね。小春先輩』
うん。こちらこそ。
『そもそも、今更伴侶と恋人の違いなんてあるの?
婚約者と伴侶もごっちゃになってるじゃない』
まあ、そのうん。なんとなくね。
私も別に、ちゃんと区別してるわけでもないんだけどね。
『小春先輩は我慢できませんから』
そうね。私のせいよね。
私の理性と建前は何時でも薄っぺらの紙切れだものね。
『そう卑下しなくても良いですよ。
エリスやレヴィ相手には、十分理性を働かせられているじゃないですか』
いや、流石にその二人に手を出してたら、理性云々以前の問題じゃないかしら……。
多分なにか、人として大切な物を失うやつだと思うの。
『マリアとセフィに申し訳が立ちませんからね。
案外ルビィに手を出す方が早いのかもしれません』
私を何だと思ってるの!?
『『ロリコン』』
そうだけど!
だけでもないでしょ!
『そうね。単に見境ないだけだものね』
『流石です小春先輩。
別に痺れも憧れもしませんが』
フィリアスって、吸血鬼よりス◯ンドの方が近いよね。
『正真正銘の吸血鬼よ。元はね』
その割には血を飲む子が殆どいないけど。
未だに好んで飲むのはヤチヨとコマリくらいだ。
ハルちゃんも快楽や甘える以外で興味を示さなくなった。
『まんぷく』
『いつでも』
それは何より。
『今晩もお願いします。小春先輩』
うん。もちろん。
今晩は私の血で新人歓迎会よ!
めっちゃ猟奇的ぃ♪
『私も久しぶりに貰おうかしら』
おけおけ~。
『ならハルも』
『おなか』
『あけとく』
ばっちこい!
『私も!私も!』
本気?
まあ、ハルカにもハルちゃん因子混ざってるし、もしかしたら美味しく感じるかもだけど。
『何でも挑戦だね!』
程々にね?
変な風にハマっても困るから。
『そうだね!
依存症になったら深層修行の時に困るもんね!』
ハルカは素直で良い子ね~。
『小春先輩には捻くれた後輩こそお似合いでは?』
自分で言う事じゃないわね。
『ききずて』
『アルカには』
『おとなのれでぃ』
『いちばん』
『ほうようりょく』
『さいじゅうよう』
まあ、うん。
その意見は的外れとも言えないけど、もしかして自分が当てはまると思ってる?
『つまり私ってわけね』
『ないない。イロハも無い。
どう考えても、大人のレディって柄じゃない』
ハルカ、ステイ。
流石にイロハも泣くわよ。
イロハはこう見えて、メンタルよわよわなんだから。
『良い度胸ね~。二人とも~』
『『ごめんなさい』』
『謝るの早すぎません?』
『いつも』
『こんなもん』
『それもそうですね』




