26-2.心変わり
「マ~ノン~♪」
「何よ、気色悪い声出して」
ふっふっふ。
そのツンツンはフリだってわかってるもんね~♪
マノンもずっとソワソワしてたの知ってるもんね~♪
挑発して虐めて欲しいのかな?
クックック!私はそんな手には乗らないわ!
マノンとの関係は私のペースで進めさせてもらうわ!
「それじゃ、行こっか♪」
「遠慮しておくわ」
「え?
あれ?聞き間違い?
それともどこの事かわかってない?
深層だよ?マノンが楽しみにしてた場所だよ?」
「わかってるわよ。もちろん。
けど、行く気は無いわ。
例の関係も解消よ。
悪かったわね。世話になってるのに脅迫なんてして」
「え!?いやそれはこまっ!」
「何?最後まで言い切りなさいよ」
ぐぬぬ!危ないところだった!
これは私から誘わせる為の作戦ね!?
マノンがまさかこんな手でくるなんて!
『別にそういう感じでも無さそうよ?
確かに昨日まではソワソワしてたけど、今はどう見ても平常心よ?
昨晩の内に思い直したんじゃない?』
そんなバカな!?
『いっしゅうかん』
『じらしすぎ』
『タイミング』
『のがした』
いやいや!
無いって!絶対無いって!
昨日帰る直前まで、どう見ても楽しみにしてたって!
『だからこそじゃない?
昨晩まで楽しみにしていたからこそ、それしか考えられなかったのよ。
その分考える時間はたっぷりあったはずよ。
ギリギリで思い直していたとしても不思議は無いわ』
でもわざわざ思い直す理由なんて……。
『そこは本人の言う通りでしょ。
アルカはマノン達の為に頑張っていたもの。
わざわざ分体まで派遣してずっと側にいたのよ?
マノンだって罪悪感を感じていたのかもしれないわ』
言うほど頑張ってなかったって!
一緒に遊んでただけだって!
『そこは謙遜する必要はないわ。
なんだかんだ、慣れない多重生活を続けていたのだもの。
アルカは十分頑張っていたわ』
ありがと!素直に褒められると普通に嬉しいよ!
けど今はそれどころじゃないんだよ!
『別に良いじゃない。
マノンがその気じゃないってだけよ。
欲求不満なら私が相手になるわ』
違うってば!絶対何かおかしいの!
それはそれとして後でお願いします!
『何よ。私よりマノンの方が良いって言うのね』
そんな事言ってないよ!
もう!行くわよ!イロハ!
深層に潜り込み、イロハと(ついでにハルちゃんと)散々イチャイチャした後、再びマノンの下に帰還した。
「残念ね。
私も楽しみにしてたのに。
まさかマノンに振られちゃうなんてね。
わかったわ。残念だけど今は我慢しておく。
マノンが成人したら、また楽しみましょうね」
「……アルカ、あなた今深層に潜ったわね?
いきなり落ち着きすぎよ。
一体何をしてきたのかしら?」
「マノンに振られたのがショック過ぎて泣いてきたのよ」
「うっ……嘘よ。そんな筈ないわ」
それが本当なんだな~。
イロハの胸の中でだけど。
あれ?
私、よくよく考えるとめっちゃ最低な事してない?
愛人に振られたからって、お嫁さんに泣きついてたの?
しかも、たっぷりイチャイチャしながら?
『今更気付いたの?』
ごめんなさい……。そしてありがとう……。
『はいはい。どういたしまして』
イロハは優しいな~。
「とにかく、これからもよろしくね、マノン。
マノンが成人するまでは、適切な距離感で仲良くしましょうね♪」
「……成人なんて待つつもりは無いわ。
言っておくけど、別にフッたわけじゃないのよ。
自分の行いを反省しただけ。
これでもあなたの事見直してるのよ?
というか、正直もう惚れてるの」
マノン!やっぱり!
私!信じてた!
『よく言うわ』
『イロハすてい』
「だから、正攻法で掴み取る事にしたわ。
前に言ってたでしょ。
ルカはお姉さま方に認められたから許されたんだって。
私もそれに習うことにしたの。
なら脅迫して愛人になるなんて論外だものね」
なるほど!それで!
そういう話なら納得だわ!
「だからアルカ。私に協力して。
お姉さま方との接点を作りたいの。
それくらいなら良いでしょ?
本当なら自分の力だけで頑張りたいけど、あなたの協力がないと私はここから出る事すらできないもの。
ついでに繋ぎを作るくらいなら協力してくれるでしょ?」
「もちろんよ!
そういう話なら何でもしちゃうわ!
応援してるからね!マノン!」
「ありがとう。
けど声が大きいわ」
「何騒いでるの?
マノ姉、何かするの?」
「ふふふ~張り切ってるのね~アルカ様~」
「何でもないわ、二人とも。
私は少し、アルカと出てくるわね。
そのままナディ姉さまのリハビリ続けてて」
「あ、えっと。
行くのはマノンだけよ。
私はナディとアニエスの側にいるから」
「え?」
そこで梯子外すのって顔で驚くマノン。
そう言えば、分体の事ちゃんと説明してなかったわね。
まあでも、行けばわかるから。
皆の下へは、ニクス世界の私が案内するわ。
まずはセフィ姉の所で一緒に訓練に参加してみましょう♪




