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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
35.白猫少女と新形態

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35-34.ホイホイ

「すっかり話し込んでしまったわね。

 付き合ってくれてありがとう、二人とも。

 それと、ごめんなさいね。折角の逢引中だったのに」


 ほんと、いつの間にか夕方だ。

結局お昼もご馳走になって、その後もひたすら話し続けていた。


 お陰で私とエルお姉ちゃんもすっかり仲良しだ。

私達三人は、よっぽど相性が良かったのかもしれない。

ここまで一切会話が途切れる事も無かった。


 私達はそろそろお暇しようと、エルお姉ちゃんの家を出て別れの挨拶を交わしていた。



「ううん。こっちこそ。

 いっぱいセフィ姉の昔話が聞けて嬉しかった。

 とっても充実したデートになったよ!

 次は約束通りうちに招待させてもらうね♪

 私達はこれから長老のところに行くから、ついでに許可も貰っちゃっていい?」


「あら。そこまでしてくれるのね。

 ふふ。折角だから一緒に行きましょう。

 あなた達のついでなら、お目通りも容易でしょうし」


 そう言えば、長老は本来この国のエルフ達でも気軽に会える人じゃ無いのよね。

人間の国と比べて規模の小さい国とはいえ、それでも領主貴族や王族みたいなもんだし。

普通なら面会の予約とか諸々必要なのではなかろうか。


 私は最初からルネルの客だったし、その辺りあまり気にしたことも無かったけど。


 ルネルは王どころか、神とか始祖に近い存在だものね。

本人はそんな扱いなんて嫌がるだろうけども。



「わかった。なら今日ももう少しだけ一緒だね!

 良かったね♪セフィ姉♪」


「うん……」


「セフィ?

 やっぱりお邪魔だったかしら?」


「あ!いや!そうじゃなくて!」


 何だろ。この反応。

さっきまで楽しげに話してたのに、なんだかモヤモヤしているようだ。



「もしかして寂しくなっちゃった?

 やっぱり今日はこのままお姉ちゃんのところに泊めてもらったら?

 レヴィの事は心配ないよ?

 私が責任もって見ていてあげるから」


「いや……えっと……」


 どうやらだいぶ心惹かれてるっぽい。



「デートの事気にしてるの?

 なら、また来週もデートしましょ♪

 今日の事は何も気にする必要は無いわ!

 むしろ、折角大好きなお姉ちゃんと再会出来たんだから遠慮なんてしていてはダメよ?」


「う~」


 何やら困っている。

デートの件だけでは無いようだ。



「国に留まる事を気にしてるの?

 そんなの、長老に聞いてみたら良いじゃん。

 どうせ良いって言ってくれるはずだよ?

 それともいっそ、今からエルお姉ちゃんの事攫っちゃう?

 ノアちゃん達の許可はもう貰ってあるから、うちの方は問題ないよ?」


「いつの間に……」


 そりゃあ、勿論あの会話の直後だ。

念話を送ってすぐにご返答頂いた。

それはそれとして、後で叱られる事も決定した。理不尽。



「セフィ姉の好きにして良いんだよ?

 その為に必要な事なら、私が全部やってあげる。

 もう二度とエルお姉ちゃんと離れたくないと言うのなら、私が口説き落としてみせるから。

 だから言葉にして、セフィ姉。

 セフィ姉はどうしたい?

 我儘を言うのは得意でしょ?

 いつもの調子で、好きな事を言って良いんだよ?」


「別に……いつも……そんなんじゃ……ないし……」


 本当に調子狂うわね。

まあ、調子が狂ってるのはセフィ姉の方なのか。


 普段いくら我儘を言っていても、予め引いておいた線からは決して出る事のないセフィ姉が、その線を越えてでも手を伸ばしたいと思っているのだ。


 ならもう、答えは決まっているようなものだ。



「エルお姉ちゃん。

 改めてお願いするね。

 今から一緒に長老に会ってくれる?

 エルお姉ちゃんを攫う許可を貰いに行くから」


「アルカ!?」


「あらまあ。ふふ。

 それはもしかしてプロポーズなのかしら?」


 エルお姉ちゃんは少し頬を赤らめながら、からかうような声音で返してきた。



「エル姉まで何言ってるの!?」


「うん。そうとってもらって構わないわ。

 勿論セフィ姉が落ち着くまでの数日程度の滞在でも構わないけど、私個人としても何時まででも居てくれるつもりで来てもらった方が嬉しいし。

 いえ、こういうので中途半端はダメよね。

 私、エルお姉ちゃんの事気に入ったの。

 だからプロポーズさせてもらうね。

 長老にもそのつもりで許可を貰いに行きましょう。

 どうでしょう?受けて下さるかしら?」


 私はエルお姉ちゃんの手を取って、片膝を付いた状態で手の甲にキスをした。


 下からエルお姉ちゃんの顔を見上げると、夕日に染まった顔がさらに真っ赤に染まっていた。


 やっぱりエルお姉ちゃんはこの手の話しに耐性が無いようだ。

冗談で言うのならともかく、本気で迫られるのには慣れてないっぽい。



「えっと……流石に突然過ぎるわ……どうしましょう……」


 さっきまでの余裕は何処へやら、しどろもどろになったエルお姉ちゃん。


 あかん。

場を収めようとしたら、むしろ混乱させてしまったっぽい。


 しかも家の前で騒いでいたので、近所の方達が何事かと集まりかけている。


 私は慌てて二人を連れて、エルお姉ちゃんの自宅の中に転移した。



 エルお姉ちゃんを座らせて落ち着かせると、セフィ姉が私の手を引いてエルお姉ちゃんから見えない位置に移動した。


 そのまま私を壁に押し付けて、私の顔の横に威嚇するように手をつくセフィ姉。

これは所謂壁ドンってやつかしら。

なかなか悪くないわね。

相手が本気でキレてるっぽいのでなければ。



「アルカ!」


 エルお姉ちゃんに聞こえないよう、器用に小声でドスの利いた声を出すセフィ姉。普通に怖い。


 なんか、さっきの私のプロポーズで目が覚めたようだ。

これは結果オーライというやつではなかろうか。

後はこの窮地を脱するだけね。



「落ち着いて、セフィ姉。

 何をそんなに怒ってるの?

 言っておくけど、決してエルお姉ちゃんの事を弄ぶつもりなんて無いわよ?

 それともデート中に口説いてしまった事を怒ってるの?

 今回ばかりはセフィ姉が怒るのは筋違いじゃない?

 私、何度も確認したよね?

 けどセフィ姉、止めようとしなかったじゃない」


「本気であそこまですると思うわけないじゃん!!

 私を焚きつける為の軽口だとしか思わないよ!普通!」


「私は本気よ。

 本気でセフィ姉の事を心配しているの」


「だからって!あんな事!」


「もしかして、私がエルお姉ちゃん取っちゃったから怒ってるの?

 違うわ。そんなつもりじゃないのよ?

 セフィ姉とエルお姉ちゃんが何時までも一緒に居る為には必要な事なのよ?」


「あくまでも私の為だって言い張るんだね!

 エル姉の事を私の為に利用してるんだね!

 そんなの最低だよ!」


「違うわ。そんなわけないじゃない。

 セフィ姉の為だからって、エルお姉ちゃんを利用して傷つけたりするわけないでしょ?

 私はただ、全員を幸せにしたいだけよ。

 セフィ姉が幸せになれるなら、エルお姉ちゃんの事も幸せにするし、エルお姉ちゃんが幸せになれるなら、私が何だってするつもりよ?」


「何でもうそこまで覚悟決まっちゃうのさ!

 どう考えてもおかしいでしょ!

 エル姉とアルカは出会ってからまだ数時間しか経ってないんだよ!

 しかもなんかエル姉まで満更でも無さそうだし!

 なんか妙な術でも使ってないよね!?」


「そんな事しないわ。

 そもそも、セフィ姉ならその程度見破れるでしょ?」


「とにかくもっと真剣に考えてよ!

 人の人生なんだと思ってるのさ!

 そんなホイホイ絡め取って良い訳ないでしょ!」


「……そうね。セフィ姉の言う通りね」


「だからって今更一方的に撤回したりしないでよ!

 エル姉の事傷つけたら許さないからね!」


「うん。任せて。

 必ず幸せにしてみせるから」


「もう!もう!もう!もう!

 そうじゃないでしょ!

 エル姉が自分から断るように仕向けるの!

 弄ばれたと気付かないように!」


「弄ぶつもりなんて無いってば……」


「人を惹き付ける何かがあるって自覚してるんでしょ!?

 それを禄に制御もせずに好き勝手迫っておいて、弄んでるのと何が違うって言うの!?

 ほんとにいい加減にしてよ!

 少しは自重しようと思わないの!?」


「思ってるわ。だから軟禁だって受け入れてるじゃない」


「何が受け入れてるよ!

 事あるごとに抜け出してるくせに!

 事情があったのはわかるけど、何時までも仕方ないとか言ってないで、真剣に対策してよ!

 アルカが本気なら出来ない事なんて無いはずでしょ!」


 出来ないこといっぱいあるよ?

流石に過大評価だよ?


 それと、今日セフィ姉とデートの為に外出したのも、その抜け出した内の一つだと思うよ?


 そもそも、結婚の事だって最初に言い出したのはセフィ姉じゃん。

本人的には、テンパってつい言っちゃったくらいなんだろうけどさ。

というか、普通に無かったことにしてるよね?

弄んでると言うのなら、私達二人ともじゃない?


 ああ。だからこそなのか。

自分の失敗を穿り返された気がして、余計ムキになっているのかも。

セフィ姉の子供っぽい部分が悪い感じに出てるわね。


 今このタイミングでそんな事指摘したりはしないけども。



「ごめんなさい……」


「私も協力するから!

 作戦考えるよ!」


「セフィ姉の目指す落とし所は?」


「プロポーズの件を無かった事にする事。

 数日後にエル姉に遊びに来てもらう事。

 今日はそこまででもう解散。

 以上!」


 どうやら寂しさは吹き飛んでしまったらしい。

これは良い事と言って良いのかしら。


 何にせよ、セフィ姉も調子を取り戻したようだ。

取り戻したというか、別方向に振り切れただけとも言えるけど。


 でもどうしよう。

今更エルお姉ちゃんへのプロポーズ撤回しろと言われても、流石に受け入れ難いものがある。

私としてももうその気になってしまっているのだ。

セフィ姉は勘違いしているようだけど、決して軽い気持ちなんかではない。

エルお姉ちゃんの一生を抱えるつもりで迫ったのは間違いない。


 イロハ、ハルちゃん、ハルカ。

協力よろ!



『『『やだ』』』


 なんでよ!?

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