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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
35.白猫少女と新形態

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35-23.母娘と悪巧み

「む~~~!!!!」


『何を膨れてるのよ』


「わかってるくせに!イロハの意地悪!」


『別にアルカは気にしてないじゃない』


「そういう問題じゃないでしょ!」


『そうね。

 ハルカは負けず嫌いだものね』


「そうだよ!イロハがそう創ったんでしょ!

 だから悔しくて堪んないんじゃん!」


『……わるかったわ』


「謝んないでよ!

 別にイロハを責めたいわけじゃないんだよ!」


『ならどうしたいの?

 もう一度深層に潜って鍛え直してくる?

 アルカはああ言っていたけれど、私はいくらでも付き合うわよ。

 ハルカが望むだけ一緒に居てあげる。

 だから元気を出して。

 ハルカがそんな風に落ち込んでる姿は見たくないの』


「……ごめん、イロハ。

 大丈夫。深層に行く必要は無いよ。

 こっちで修行しなきゃ意味ないもん。

 アリスお姉ちゃんが言った通り、先ずは皆の事好きになってみる。

 大丈夫だよ!

 私はアルカの分け身だもんね!

 あっという間に皆の事好きになっちゃうもんね!」


『あまりやりすぎてはダメよ?

 アルカの立場を脅かす事になれば、私だって容赦しないからね?』


「ふふ。どうせ口だけのくせに。

 イロハが私と敵対出来るわけないじゃん。

 本当にイロハは素直じゃないんだから」


『……あなたこそわかっているのなら精々私を悲しませない事ね』


「もちろん!

 私がお母さんを悲しませるわけないでしょ!」


『だからこそ心配なんじゃない。

 無茶だけでなく、無理をしてもダメよ。

 あなたはすぐに』


「もう!わかってるってば!」




----------------------




「あら?

 戻ってきたのね、アルカ」


 楽しそうにお菓子を摘むノンビリモードのツムギが出迎えてくれた。


 ツムギ的には今朝送り届けられたばかりだものね。

私は色々ありすぎてだいぶ混乱気味だけど。


 この国ではアルカ呼びのルールが健在のようだ。

まあ、アレクシアさんもいるし当然か。



「いらっしゃい。アルカさん」


「どうも~♪

 アレクシアさん♪」


 アレクシアさんは寂しがってないかしら。

一応毎晩アニエスを帰してはいるけど、昼間はずっと私達のところに来てるし。


 まあ、厳密には私の中の世界にいるだけだから、今もここに来ていると言えなくも……いややっぱなんか苦しいか。


 何れはナディも悪巧みに加える事になるだろうし、その時にはアニエスとマノンにも付き合ってもらおう。



「今日はどうしたの?」


 私が座れるよう体を起こして隣を空けてくれたツムギ。

私が腰を下ろすと、すぐさま膝に頭を乗せてきた。



「手が空いたから様子を見に来たのよ。

 悪巧みは順調?」


「ぼちぼちよ」


 ちょっとお行儀悪いわよ。

せめてその手のクッキーは置きなさいな。


 私の視線に気付いたツムギが、食べかけのクッキーを私の方に差し出してきた。

躊躇なく口に含むと、驚きと嬉しそうな気配が伝わってきた。

本人も半ば冗談のつもりだったのだろう。



「随分と仲が良いのね。

 とても出会って数日とは思えないわ」


「ふふ♪

 アルカと私は赤い糸で結ばれた運命の相手だもの♪」


「何で赤い糸なの?」


「あれ?

 アレク姉様知らないの?」


 そう言えばノアちゃんも知らなかったのよね。

この世界にはそもそも存在しないっぽい。

というか私も由来まではよく知らないのよね。


 それからツムギとアレクシアさんと談笑も交えながら、今後の計画を共有してもらった。


 何だかこっちも想像以上に大事になっていたようだ。

いやまあ、王族絡みなんだから大事は大事なんだけども。


 ただなんというか、ぶっちゃけ既にクーデターに近い規模なのだ。

王族達かぞくの話し合いだけでなく、重臣たちをも巻き込んだ壮大な罠を仕組んでいるっぽい。


 そう罠だ。

皆が敬愛する偉大な王妃様が息子の訃報を聞いて慌てて帰国するというのにだ。


 流石に諸々申し訳なくなってきた。

いやまあ、別に私だけが悪いとは思ってないけども。


 当然ツムギもアレクシアさんも、サンドラ王妃を嫌ってこんな事をしているわけではない。

ただ単に、サンドラ王妃が掲げるであろう正しさに対抗するには、それだけ手段を選んでいる余裕が無いのだ。


 そうまでして得たいものが何なのかというと、ツムギ達流出組がこの国と仲良くし続けたいという話でしかない。


 なんとも回りくどい話だ。

ツムギ、ステラ、ナディ、アニエス、マノン、そしてエリスの実家と末永く付き合っていきたいというのは私達の希望だけど、国を一番に想うサンドラ王妃にとってはそんな事許せるはずがない。


 言い方は悪いけど、既にツムギ達はこの国の裏切り者なのだ。

いやもちろん、これが普通の婚姻だったらそんな話にはならないんだけども。


 そこで問題になったのは私の存在だ。


 私は国外の存在でありながら、シルヴァン王子から始まるこの国の王族達の相次ぐ離脱の全てに関与しているのだ。

客観的に見れば疫病神以外の何物でもないだろう。


 実質私に引き抜かれたツムギ達が裏切り者扱いされるのも無理からぬ事だ。


 まあ今のところ王妃本人がそう言ったわけではなく、王妃ならそう考えるだろうというツムギ達の想像に過ぎないのだけど。


 そういう意味でも本当に回りくどいというか……。

何にせよ空回りにならないと……あれ?

むしろ空回りになった方が良いのよね?

そうすれば王妃様との敵対自体回避出来るんだし。


 むむむ。

面倒くさい。


 いや、ほんと。

言っちゃ悪いけど、ただただ面倒くさい。


 もう腹割って話し合うだけじゃだめなの?

ツムギのしたいことって、ただ家族との決定的な決裂を避けたいだけだよ?


 つまりは、今後もお母様と仲良くしたいってだけの話だ。

今のままじゃ聞く耳持ってもらえないだろうという考えも、わからないでもないんだけどさ。


 でも私の感覚では、そうやって大事にして罠にはめる方が決定的な亀裂を生みそうだとしか思えないんだけど。


 いっそ今からお母様のところに言って話し合ってみようかしら。

私がサンドラ王妃に信頼してもらえるなら、全ての問題に目を瞑ってくれるかもしれないんだし。



「何か変な事考えてない?」


「他に方法無いのかなって」


「ダメよ、アルカ。

 ここは私達の国だもの。

 それにこれは私達家族の問題なの。

 頑固親父なんて向こうでも定番だったでしょ?

 母様はそれに近いってだけのはなしよ。

 少しばかり大げさに聞こえるかもしれないけれど、王族のお家事情としてはこれでも穏便な方よ?

 私達にとって家族の内輪揉めに過ぎないしても、王族としての責任がある以上、相応の規模にならざるを得ないの。

 本当にただそれだけの事よ。

 決して私達が憎しみ合うような展開にはならないわ。

 だから安心して見守っていて欲しいの」


「そう……わかった。

 ならもう余計な事は言わないわ」


「良かった。

 わかってもらえて嬉しいわ。

 ありがと♪小春♪」

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