35-6.フュージョン
『アルカはん。うち名案あるんやけど』
「聞きましょう」
『アルカはんの分体、うちに貸してくれへん?』
「それよ!!
さっすがチグサ!!完璧な作戦ね!!」
『えへへ~』
『本当に上手くいくのかしら。
かえって目立ってしまうんじゃない?』
『いや』
『そうでもない』
「そうよ!
気配に関しては、アメリ達に持たせたのと同じ妨害装置を最大出力で使えば問題ないし、チグサなら私のフルモードも使えるわ!
何だったら、私が行くより確実じゃないかしら!」
私まだ、フルモード使いこなしきれてないし!
『確かにチグサはフルモードにも精通しているけれど、あくまで開発者としてでしょ?
そもそもの戦闘経験が極端に少ないじゃない』
いやまあ、確かにその通りなんだけどさ。
前回は実験に夢中になってサナにすら負けてたし。
なんなら、フィリアス最弱はチグサの可能性もある。
禄に訓練も参加してないし。
『チグサとシイナを補助につけて、別の誰かに操縦させるべきじゃないかしら』
なんか私の分体、モビ◯スーツ的な扱いされてない?
まあでも、それもそれで良い案だ。
そういう形でシーちゃんに手伝ってもらうくらいなら……いや、やっぱシーちゃんは無しで。
ヘスティロボの件は特殊案件だ。
そう簡単にシーちゃんを引っ張り出すわけにはいかない。
代わりにミーシャを付けましょう。
流石にミーシャに操縦は任せられないけど。
「というわけでニクス。
あなたに白羽の矢が立ったわ」
「何がというわけでなのさ。
やらないよ?
私今、結構忙しいんだよ?
いきなり召喚されるのは困るんだけど」
「早々にセフィ姉ほっぽりだして元カノに夢中だものね。
そろそろ誰がニクスの一番なのかわからせないとだわ」
「セフィの件は悪いと思ってるんだよ?
でもそれはそれとして、アルカにだけは言われたくない」
それはそう。
「悪いけど他を当たってね。
ああでも、誘ってくれたのは嬉しかったよ。
ノアとの対決なんて話じゃなければ、多少余裕がなくても付き合ってあげるから」
ニクスはそう言い残して、再び姿を消してしまった。
ちくせう!そんなに元カノが良いのか!
後でアムルとも話合う必要がありそうね!
『やっぱり、浮気ばかりしてないで自分だけ見てくれる相手の方が良いわよね』
ガチなやつは止めて!
今すぐニクス奪いに行きたくなるから!!
『はいはい。
それで?
あとパイロット役に適任なのは誰かしら』
パイロットって……もう完全にロボ扱いじゃん。
そう言えばロボと言えばヘスティよね!
意外と操縦だけは上手かったりしない!?
『操縦は比喩よ。
フィリアス以外に出来るわけないでしょ』
というか、よく考えるとニクスも無理じゃないかしら。
ニクス、私と同化できないし。
くっ!
ニクスなら技能面も完璧だったのに!
セフィ姉も同じく無理よね……。
セフィ姉なら、基礎スペックさえかさ増しすればいけるかもしれないのに……って!セフィ姉との契約忘れてた!
今ならフィリアスいなくても契約出来るんじゃん!
そうしたら、力だっていっぱいあげられるじゃん!
とは言え、流石にすぐに実戦レベルに使いこなせるわけでもるまい。
今は一旦置いておこう。
この件が落ち着いたら、真っ先にセフィ姉のところへ向かうとしよう。
「イロハ、遠隔操縦出来ないの?」
『無茶言わないでよ。
いきなりそこまで出来ないわ』
なんか既に魂の分化自体は習得したみたいな言い方ね?
『そっちもまだよ』
ほんとにぃ~?
『怒るわよ?』
ごめん。
『しかたない』
『ここはハルが』
『ダメよ。あなたは中立よ。
これが遊びだってんなら、ルールは必要よ』
『むう』
仕方ない。
こうなったらいっそ……。
『本気?
あの二人だって大した経験無いでしょ?』
『いける』
『チグサとミーシャ』
『ほじょする』
『まあ、良いわ。
なんか面白そうだし』
四人がかりで行けば、流石のノアちゃんだって……ね?
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『『ジャジャーーン!!
深海の神狼改め!
超ラヴェリルちゃんだーーーっ!!!』』
ノリノリね。この二人。
私も好きよ。ゴテ◯クス。
なんか可愛くて。
あと一応、チグサとミーシャも混ざってるからね?
私の分体も含めれば、五人でのフュージョンだからね?
『ラヴェリルって、今度はラブカとフェリルくっつけただけじゃない』
「まあ、ノアちゃんの前で名乗らせる気無いし……。
何かこの形態にも名前が欲しいって言うからつけてあげただけだし……」
あと一応、超は二人が勝手に名乗ってるだけよ……。
まあ、何にせよ。
取り敢えずこれで、対ノアちゃん用のスーパーエージェントが誕生した。
……本当に大丈夫かしら?




