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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
34.白猫少女と家族の秘密

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34-40.秘密と選択

 ヒサメちゃんにナディの件を相談すると、あっさりと請け負ってくれた。

ヒサメちゃんは引き籠もり属性だから心配していたけど、別に人見知りというわけでも無いので要らぬ心配だったようだ。


 その後、ナディとヒサメちゃんの契約及び、ハルちゃんからヒサメちゃんへの引き継ぎが完了した。


 取り敢えずナディ、アニエス、マノンの三人はシーちゃんに任せる事にした。


 今日の所は船内の案内をしてもらう予定だ。

ナディの療養中は基本的にここで過ごしてもらう事になる。


 ナディがもう少し元気になったらレヴィとルビィをこっちに呼ぶのも良いかもしれない。


 一応マノンは、度々別行動する事にもなるはずだ。

私に付き合ってもらったり、訓練組に参加してもらったりするつもりでいる。

本人もそれを望んでいるようだし。



 私は皆と別れてリリカと話し合う事にした。

どうやらグリアの弟、メルクーリ先生の情報が集まったようだ。



『悪いお友達は例の組織の残党で間違いないわ。

 残念ながら本人も真っ黒ね』


『そう……ありがとう。

 その情報はノアちゃんに回しておきましょう。

 ハルちゃんが上手く誘導してくれる?

 私やリリカから伝えるわけにもいかないから』


『がってん』

『けど』

『いいの?』


 いやうん。良くないよね。やっぱ。

ちょっと思考停止過ぎたわ。

これはいけない。


 メルクーリ先生の罪を暴くにせよ、始末するにせよ、親である理事長には大きな影響を及ぼすはずだ。

場合によっては、連座で処罰されかねない。



『……どうするかなぁ』


『別にノアに任せなくても私がやるわよ?』


『う~ん。

 ギルドに突き出せば間違いなくノアちゃんの耳にも届くと思うのよね』


 かと言ってリオシアに捕らえさせるのも避けたいものだ。

言い訳のしようがなくなってしまう。



『いずればれる』

『アルカのかんよ』

『かのうせいたかい』

『そうかんがえる』


『まあ、ノアちゃんに怒られるのが怖いからって、ノアちゃんに嫌なことを押し付けてたら本末転倒よね』


『リオシアだって、警察組織くらいは存在しているわ。

 そこに最低限の情報だけ流して、任せてしまうのは?』


『……ダメよ。

 上手く処理しなければ、グリアの実家に累が及ぶわ』


『それは仕方のない事よ?

 リオシアが処断しようが、ギルドが手を下そうが同じよ。

 嫌なら秘密裏に始末するしか無い。

 当然、それならそれでやり遂げてみせるわ』


『……なら私が行くわ』


『ダメよ。アルカ様。

 それこそ本末転倒と言うものだわ』


『ハルも』

『みとめない』


『アルカ様。

 これは覚悟を決めなければならないものよ。

 見て見ぬふりをするのか、手を汚すのか。

 どちらにしたって、時間の問題なの。

 連中、相当派手にやっているもの』


 私は思わず頭を抱えてしまう。


 つい昨日、家族に一生明かせない秘密は作らないと決心したばかりなのだ。

だと言うのに、こんなの誰にも言えるわけがない。


 既に私は知ってしまった。

今更放置したって同じ話だ。


 後はどちらを選ぶかだ。

秘密裏に手を下して黙秘するか、公の機関に突き出してグリア達を悲しませるか。


 後者を選べば、ノアちゃんは私の関与に気づくだろう。

グリアも何れは察してしまうかもしれない。

そうなれば、逆に私は一時的な罪悪感は感じても、秘密を抱え込む必要はなくなるかもしれない。

……ダメだ。こんな考え方は。



『潰して頂戴。

 全ての痕跡を残さないように。

 ノアちゃんの目にも映らないように』


『承知したわ。アルカ様』


『待ちなさい』


『今更なによ。イロハ』


『別にアルカが背負う必要なんて無いわ。

 結局この話は、グリアの実家を守る為だけに下らない秘密を抱え込もうって事じゃない。

 メルクーリ家が取り潰されたって、グリアの母もうちで保護してやれば良いだけだわ。

 処刑されるってんなら、アリアのコネでも使って口出ししてやりなさいな。

 それすら叶わないなら、いっそ攫っても良いんだし。

 クレオンが犯罪者だと知ってクリスタもグリアも一時的には傷つくでしょうけど、それは何れ癒せる傷よ。

 それにそもそも、始末したって傷つきはするのよ。

 断罪されるか行方不明になるかの違いでしかないんだから。

 ここでアルカが手を下せば、それは永遠に消えない秘密キズとなるの。

 どちらがマシかなんてわかるでしょう?』


『……比較できるような事じゃないわ』


『出来るわよ。

 グリアとアルカのどちらが傷つくかなんて部分は脇に置いてしまいなさいな。

 そうすれば割に合わないとわかるでしょう?』


『アルカ』

『ハルも』

『はんたい』

『イロハの』

『いうとおり』


『そうね。

 イロハ様の意見が正しいと思うわ。

 ごめんなさい。アルカ様。

 けしかけるような事言って。

 私が手を下す分にはアルカ様の罪悪感も軽減出来ると思っていたけど、そんなのとんだ思い違いだったみたい。

 という事で、悪いけど先程の指示は拒否させてもらうわ。

 新しい指示をお願いよ。アルカ様』


『もう……リリカまで……』


『そもそも勝手に始末するなんて論外よ。

 アルカは支配者にでもなる気なの?

 気に入らない奴らは勝手に排除していくの?

 そんな事を繰り返していれば、何れ人の道を踏み外すわ。

 責任は然るべき者に取らせなさい。

 ギルドしかり、国しかり。親だってそうよ。

 子が成した罪が大きすぎれば、親に咎が行くなんて当たり前の事じゃない。

 それを判断して罰するのはアルカの役目ではないわ。

 国やギルドはその為に存在しているの。

 それが人間らしい生き方というものでしょう?』


『……そうね』


『その上で手を差し伸べてやりなさい。

 リリカもアリアも、その為の伝を持っているわ。

 アルカが下すべき指示は、その為の準備よ』


『……うん。リリカ。お願い』


『承知したわ!

 ギルド及びリオシアへの密告と、メルクーリ家への影響調査、必要なら保護ルートの確保。

 これらを任務内容として受諾するわね!』


『うん。完璧よ。

 ありがとう、リリカ。イロハとハルちゃんも』

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