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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
34.白猫少女と家族の秘密

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34-17.診察

「あら~

 今日はお友達も一緒なのね~」


 ベットから上体を起こして、のんびりとした穏やかな声音で私達を迎えてくれたナディ姉さん。

本名はナディーヌというそうだ。


 年齢は私と近そうだ。

見た目は今日見た王族の誰とも似ていない。

色素の薄い髪と、病弱の割にはスタイルの良い美人さんだ。


 とはいえ、その真っ白な肌や部屋の空気から、この場を殆ど動けていないのだろうという事は伝わってくる。



「ううん!違うよナディ姉!

 友達じゃなくて婚約者!

 この人があのアルカ様なの!」


「あらあら。

 よかったわね~

 おめでと~」


「うん!」


「違います。

 ナディさんの診察をさせて頂きたく参りました。

 アニエスとは、依頼者と冒険者という関係でしかありません」


「ひどい!!」


「あらあら。

 またフラレちゃったのね~」


 また?



「今度こそ間違いないもん!

 アルカ様は私の運命の人なんだもん!」


『こいつ図々しいわね』


 イロハすてい。



「ふふ。なら少し手助けしてあげなきゃね~。

 アルカさん。

 診察をして下さるそうですが、王族の体はそう簡単にお任せ出来ないの。

 だから今だけ、アニちゃんのお嫁さんって事にしてね。

 そうすれば、私の家族も同然だから~」


 まあその程度なら。

微笑ましい優しさを無下にする程嫌なわけでもない。



「構いません。

 ですが、診察には私以外の者も参加しますがよろしいですか?」


「おっけよ~」


 あっさりしてらっしゃる。


 私はセレネを呼び出して、早速診察を始めてもらった。



「あらあら。

 可愛らしいお嬢さんね~」


「ありがとう。ナディさん。

 それじゃあ少し触らせてもらうわね」


「はいどうぞ~」


 ナディさんの手を取って、術を走らせるセレネ。



『アルカ』


『どう?』


『ハッキリ言って難しいわね。

 多少体調を良くする程度の事は出来るけれど、完治は無理よ。

 少なくとも私ではね』


『そう……』


『ナディさんは元々こういう体なのよ。

 付きっきりで治療を続ければ多少歩けるようにはなるでしょうけれど、そうでなければただ生きているだけで消耗し続けるわ。

 方法があるとしたら、フィリアスを同化させて身体自体を補強するくらいかしら』


『う~ん……』


『誰彼構わず受け入れるのは困るけれど、アルカが決断したのなら否とは言わないわ。

 よくよく考えて答えを出しなさい』


『うん。ありがとうセレネ』


『取り敢えず出来る事はしておくわね』


『お願い』


 それから一通りの処置を済ませたセレネは、あくまで一時的なものだからとナディさんにも念を押して帰っていった。



「すごいわ~

 こんなに身体が軽いのは生まれて始めてよ~」


 ナディさんは心の底から嬉しそうだ。


 そんなナディさんを見るアニエスも、涙を滲ませながら喜んでいた。


 そんな姿を見ている内に、私の心はあっさり決まってしまった。

本当に、我ながらどうかと思うけど。



『本当によくよく考えてた?』


『セレネと』

『やくそく』


 だってぇ~。



『いっそフィリアスだけ与えてみたら?

 出張任務って事にして』


 無茶言わないで。

目を離すわけにはいかないじゃない。



『取り敢えず、決断を下す前に一旦ツムギの下へ帰りましょう。

 王に話を通すにせよ、ツムギに相談してみるべきよ。

 勢い余って余計なこと言う前にね』


 はい……。



「ナディさん。そろそろ御暇させて頂きます。

 くれぐれも無理はしないでくださいね。

 セレネも言っていた通り、一時的なものでしかないのですから」


「ええ。

 わかったわ~」


「またね!ナディ姉!」


「ふふ。ありがとね~。

 アニちゃ~ん」


 アニエスを抱きよせて頬ずりするナディさん。

アニエスはそんなナディさんの行動に目を白黒させている。


 普段はそこまで派手に動く事も無かったのだろう。

驚きが過ぎると、今度は心配一色に染まった表情で、慌ててナディさんを落ち着かせ始めた。



「ダメだよ!ナディ姉!

 そんな風に急に動いちゃ!」


「大丈夫よ~

 元々これくらいはできるんだから~」


「それでもだよ!」



 流石のアニエスでも、ナディさん相手に邪な気持ちにはならないようだ。


『空気読みなさいよ』


 ごめん。つい。



 結局ナディさんがアニエスを離したのは、それから暫く経ってからだった。

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