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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
34.白猫少女と家族の秘密

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34-16.雨後の筍

「アルカ様のお嫁さんって沢山いるんでしょ?

 何人くらいいるの?」


 勝手に私の手を握ったご機嫌なアニエスが、興味津々な感じで問いかけてきた。


 あの王様、一体どこまで話したのかしら。

私のプライバシー筒抜けじゃない。



「ええ。近々二十六人になる予定よ」


 ツムギ、ステラ、ミーシャまで含めてね。

あっという間に三十人も目前だぁ~。



「わぁ~!!いいなぁ~~!!」


 おっかぁしぃなぁ~。

子供から憧れられるような事は言ってないんだけどなぁ~。


 向けられる視線は純真な子供そのものなのに、会話の内容がダメ過ぎる。

これじゃあ、犯罪自慢してる近所のお兄さん的なやつと一緒だ。


 アニエス、お嫁さんは普通一人なのよ?

毎度の事ながら、私が言えたことではないけれど。


 取り敢えず、一旦話を変えてみよう。

この方向で話し続けるのは避けるべきだ。



「アニエスは趣味とかあるの?」


「趣味?

 好きな事……お茶会?」


 あら。意外と真っ当な答えが返ってきたわね。



「ベアちゃんともするの?

 ベアちゃんの作ってくれるお菓子、美味しいものね」


「う~ん。

 ベア姉とはあんまり。

 私はベア姉大好きなんだけど、ステラ姉が……」


「ステラ苦手なの?」


「ううん。ステラ姉も好きだよ。

 そうじゃなくて、最近はあんまりベア姉に近づけさせてくれなくなちゃったの」


 もしかして出禁くらってたの?

ツムギにセクハラし過ぎて?


 いや、でも。

この子別に、私の体を触ってくるわけでもないのよね。

手は勝手に握ってきたけど、まだその程度だ。


 セクハラされるっていうから、お尻や胸でも揉まれるのかと思ってたけど、どうやらそういうわけでもないらしい。

言葉でしてくるタイプなのかしら。

それとも単に、まだ距離があるからかな。


 別に触られたいわけじゃないけど。

私の体はお嫁さん達のものだ。

いくらアニエスが可愛い女の子だからって、気安く許したりはしないのだ。



「ちなみに、お茶会って普段なにしてるの?」


「でっへっへ~」


 あ、はい。そういう事。

好みの女の子侍らせて好き放題してるのね。

やっぱり物理的なセクハラも含まれるのかしら。


 まさかと思うけど、王様ったら厄介払いしたいとか思ってない?


 何にせよ、この子だいぶ問題児なのね。

お母様は教育を諦めているわけでもなさそうだったけど。



「そうなると増々うちに招くわけにはいかなくなるわね」


「そんなぁ!?」


 あ、やべ。声に出てた。



「アルカ様ぁ~!!」


「取り敢えず、私もアニエスのお母様と話してみるわ。

 今のところ受け入れるつもりはないけれど、色々ハッキリさせないと気持ち悪いし」


「何が気になってるの?」


「一番は王様の目論見よ」


「う~ん。

 そこはお母様と話しても無駄じゃないかな。

 それにお祖父様の事だから、理由はいくつもあるんだろうし」


「わかるのだけでも教えてくれる?」


「ハーレムに加えてくれる?」


「自分で考えるわ」


「嘘!嘘!冗談だから!

 えっとね!

 先ずはさっきも言った通り、ご褒美の件でしょ。

 それで、後は……たぶんナディ姉の事も頼みたいんだよ」


 アニエスの声から元気が無くなった気がする。

ナディ姉という子と何か関係があるのだろう。


 それにしても、また新しい子が出てきたわね。

今日はフラグ乱立しすぎじゃないかしら。



『絶好調ね』


『ハイペース』


 もう。笑い事じゃないのよ。



「ナディ姉ってどなた?」


「えっとね。

 お祖父様の妹君の娘なの。

 お祖父様の妹君はお体が弱くて早くに亡くなられてしまったのだけど、その娘であるナディ姉も同じように体が弱い方なの。

 私がナディ姉と親しいから、私経由で知り合いになってほしいんじゃないかな?

 私もアルカ様のハーレム入りが叶ったなら、ナディ姉の事を話すつもりだったし」


「悪いけど私は医者じゃないわ。

 診るのは構わないけど、必ず力になれるとは約束出来ないの」


「うん……」


 アニエスはすっかり意気消沈してしまった。



『王の企みのキッカケは、洗脳魔道具モドキを使われたツムギを連れ出した時のやつじゃないかしら』


 イロハって考察好きね。



『なによ。せっかくヒントあげようと思ったのに』



 ごめんごめん。

ありがたく聞かせてもらうわ。



『まったく。素直に聞きなさいよ。

 それで、あの時アルカが専門家に見せると言ったでしょ。

 アルカのところには高度な医術を持つ者がいると察して、今回の茶番劇を仕組んだんじゃない?』


 なんで今更?

素直に頼めば良いじゃない。



『借りを返しきれていないからよ。

 頼むためには、それなりに準備がいるんじゃないかしら』


 何よそれ。面倒くさいわね。


 まあでも、ありがとうイロハ。

おかげで、手っ取り早く終わらせる方法が見えたわね。



『それはどうかしら。

 アルカがそう動く事すら想定内なのでしょうし』


 何にせよ、アニエスの押し売りはそれが理由なのね。

律儀過ぎるのも考えものだわ。

適当に魔道具か金銭でも握らせておけばそれで良いのに。



『むこうはアルカがそれを望んでいないと察しているのよ。

 実際、金銭や魔道具を受け取ったところで、大して有り難くもないでしょ?』


 まあ、それはそうだけど。

だからって娘や孫達をホイホイ渡されても困ってしまうわ。

まるで邪神の生贄みたいじゃない。



『ふふ。そうね。

 その通りなのよ。

 あの王様は、アルカの事を神か何かと勘違いしているの。

 アルカが自ら使徒だと伝えてしまったのもあるけど、そういう事ではなくて、心の底から畏怖の念を抱いているのよ。

 だからこうして過剰に貢ぎ物を用意してくるの。

 それはそれとして、神の恩寵も享受したいの。

 多分、個人的な判断と王としての判断が混じり合った結果でしょうね。

 関わらずにそっとしておくのが一番なのだとわかっていても、ついつい手を出してしまうのでしょうね』


 それじゃあまるで私が麻薬みたいじゃない。



『気を付けなさい。

 行き着くところまで行けば、きっとこの国を狂わせてしまうわ。

 やっぱりあなたはあの地に引きこもっているべきなのよ。

 少し俗世に関わっただけで、こうまで引っ掻き回してしまうのだから』


 ならもうさっさと終わらせましょう。

全部差し引きゼロの状態にして、距離を置きましょう。



『いいえ。そうではないわ。

 引きこもるのは、あくまで理想論の話よ。

 こうして関わってしまったように、現実的な方法ではないの。

 それにアルカだってそんな事は耐えられないでしょ?

 真にやるべきは遠ざける事ではなく、距離感を掴む事よ。

 この国を練習台にしてしまいなさいな。

 壊し切る前に、丁度良い立ち位置を見つけなさい』


 無茶言わないでよ。

そんなの簡単に出来るわけ無いじゃん。



『その道のプロに聞いてみたら良いじゃない』


 プロってニクスの事?



『ノルンでも良いかもね。

 最後には滅びたとはいえ、それでもシイナを生み出せる程に進化した世界の管理者だったのだもの。

 きっと色々教えてくれるはずよ』


 そうね。

ミーシャはともかく二人は頼りになりそうね。

ミーシャはともかく。



『……!!……!!!』


 なんかまたノイズが走った。



『のいきゃん』

『ふかんぜん』

『もっとがんばる』


 程々で良いわよ?



「アニエス、お母様のところへ行く前に、先にナディ姉さんのところに行きましょう」


「いいの?」


「ええ。できる限りの事はさせてもらうわ」


「たぶんお祖父様は今この段階での接触は望んでないよ?」


「どうしてそう思うの?」


「アルカ様への借りが多すぎるから。

 一つ一つ精算しながら、近づけたかったんだと思うの」


「私に為政者のセオリーは関係ないわ。

 タダより怖いものは無いって考えもわかるけど、そうやって裏でコソコソ企まれるのは好きじゃないの。

 面倒な企み事は全部ぶち壊してあげましょう。

 だからお願い、アニエス。

 ナディ姉さんのところに案内してくれる?」


「うん!」

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