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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
34.白猫少女と家族の秘密

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34-7.実力

今回もノアちゃん視点のお話です。




 メリアと訓練場に赴いた私は、中央で向かい合った。



「どこからでも」


「行きます!!」


 メリアは魔法で風の刃を形成して放ってきた。


 普通の人間の少女にしては、いきなり躊躇の無い攻撃をしてくるものだ。


 私の実力を知っているからなのか、察しているからか。

何にせよ、メリア自身にもある程度以上の戦闘経験があるのは間違い無さそうだ。



 私は炎の矢を放って、空中で風の刃を相殺した。


 この姿の時は、普段とは違う戦闘スタイルを模索中だ。

取り敢えず、一切動かずに炎の魔術だけで戦う方法を試している。


 当然、太刀は使えない。

あれでは、噂話程度でもアルカに伝わってしまいかねない。

同様の理由で普段の速度重視の戦い方もダメだ。


 ならばと、今のスタイルに落ち着いたのだった。

あまり得意ではない遠距離攻撃も練習出来るし、この試みは悪くない。



 メリアは一発では通らないと気づくと、無数に風の刃を放ってきた。

私も対抗して、同数の炎の矢を放っていく。

互いに一歩も動かず、ただただ魔術の応酬を続けていく。


 確かにこれならAランク以上は間違いないだろう。

威力も速度も申し分ない。

なんなら、Sランクとも渡り合えそうだ。


 とはいえ、フィリアスの戦い方とは程遠い。

出力も技術も何もかも。


 これを演技でやっているのなら、本来の実力は相当なものだろう。

ハルに近いか、それ以上の実力者である可能性が高い。



『ダメね。

 全然視えない。

 やっぱり妙な阻害がかけられているわね』


 ルチアでも見破れないようだ。

既にその時点で、私達を上回る手札があるのだと証明されたようなものだ。


 なんだか面白くない。

アルカの差し金にせよ、そうでないにせよ。


 在野に私達が知らない強者が眠っているのなら、真剣に対応方法を考えるべきだ。

そうではなく、アルカの企みに過ぎないと言うのなら、無駄に気苦労をかけさせられている事になる。


 面白くない。


 そっちがその気なら、私も本気になろう。

このまま待っていても本気を出す気は無いだろうし。



 今度はこちらから攻撃を仕掛ける事にした。

先程までとは反対に、私の放つ炎の矢をメリアが風の刃で相殺していく。


 少しずつ威力と数を増やしながら、メリアの様子を観察していく。


 最初こそどうにか付いてきていたメリアだったが、段々と険しい表情を浮かべ始め、次第には額に汗まで流し始めた。


 どうしよう。

そろそろ止めるべきだろうか。


 本当にフィリアスでないなら、無駄に弱いもの虐めをしているだけになってしまう。


 それに、相手の目的も不明なのだ。

本当にただの新人冒険者なのか、どこぞの回し者なのかすら判明していない。


 狙いが私自身ティアの可能性だってあるのだ。


 最近登録したばかりなのに、急激にランクを上げているカリアさんの懐刀となれば、ギルド本部が目を付けていてもおかしくはない。


 まあ、いくらなんでも流石に行動が早すぎるけど。

王都からテッサまでの移動時間を考えれば、あり得ない事だろう。


 とはいえ、下手に怪我でもさせてしまえば妙な言いがかりでも付けられるかもしれない。


 当然そんなヘマはしないけれど、メリア本人が自分から当たりに来れば、万が一の危険もある。

眼の前に居れば多少は気配も読み取れるが、読み取り辛いのは変わらないのだ。



「そこまでだ!!」


 突然、カリアさんの声が割って入ってきた。

その言葉に従い、私達は互いに魔術を止める。


 メリアは地面にへたり込んでしまった。

荒い息で地に手を付き、大量に汗を流している。



「やりすぎだ。馬鹿者」


「これが本気なら大したことない。

 他の人に頼んで」


「はぁはぁ……まだ!……いけます!」


「ダメだ。

 これ以上は認めん。

 ティア、話がある。付いてこい」


 再びカリアさんと会議室に向かう。

メリアも慌てて付いてこようとしたところで、カリアさんに静止させられた。



「今はいい。少し休んでいろ」


 渋々頷いたメリアを残し、私とカリアさんだけで歩き出した。



「で、どうだ?

 気付いた事はあるか?」


「なにも。

 邪魔されたから」


「今は私達二人だけだ。

 普段の話し方には戻さないのか?」


「余計なこと言わないで。

 用心必要。あの子の気配気付けない」


「そうか。

 お前でもか。

 試験官達も似たような事を言っていた」


「それでも精々Aランク。

 大したことない」


 Sランクとも渡り合えるだろうけれど、上位勢に勝てる程でもない。



「頼む。お前以外に見てやれるような奴はいないんだ」


 見張れる奴はの間違いだろうに。


 まあでも。

確かに放ってはおけない。

私も、疑問が残ったままでは安心できない。


 かと言って、無条件でというのは頂けない。

少し釘を差しておく必要があるだろう。

カリアさんに一方的に利用されないようにする必要がある。



「報酬」


「ああ。当然手当は出そう。

 普通に教育を斡旋する場合もあるからな。

 ギルドにだってその手の制度はあるんだ」


「違う」


「ならば何が望みだ?」


「何も。私が満足するもの考えて」


「……アルカの昔話でどうだ?」


「……必要ない」


「感触は悪く無さそうだな」


「これ以上下らないこと続けるなら話終わり」


「冗談だ。席を立つな」


「最後のチャンス」


「…………でどうだ?」


「……仕方ない」


「そうか。ならばそういう事で頼む」


「今回だけ」


「まったく。可愛気のない奴だ。

 どうしてこうなってしまったんだ。

 ほんの数年前までとは別人じゃないか」


「あなたのお陰。鍛えられた」


「それは……悪い手本を見せてしまったな。

 何にせよ、子どもの成長とは早いものだな」


「子供じゃない」


「そうだったな。今は"ティア"だしな」


「気を付けて。

 どこから漏れるかわからない」


「ああ。我らの悲願の為だ。

 私も気を引き締めよう」


「じゃあ行ってくる」


「今日もランク上げの為の依頼だな。

 メリアも付き合わせてしまえ」


「厳しくいく」


「任せよう」

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