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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
33.白猫少女とパンドラの箱

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33-34.後始末

 自宅に戻った私は、自室には戻らず屋外に向かった。

自室ではまだツムギが寝ている。

後で話す必要はあるが、今はそっとしおこう。


 自宅から十分に離れた空き地で箱型魔道具を取り出し、再びシーちゃんを呼び出した。



「他の箱型魔道具を回収するわ。

 シーちゃん、各地に転移門を開いていくから、偵察機を放ってくれる?」


「イエス、マスター」


 私は箱型魔道具に手を添えて、世界各地に存在する同じ魔道具の場所に小型の転移門を開いていく。


 一、二、三、四……全部で七か。

今目の前にあるのと合わせて、八つの同型魔道具が存在していたようだ。


 私は小型転移門から各地の箱型魔道具を視界に収め、全てを収納空間に放り込んだ。


 それと入れ替わりに、シーちゃんの探索機を放って周辺の調査を任せる事にした。



「どうやら大半は人の居ない遺跡のようですね」


「もし人の痕跡があったら、ノアちゃんに任せましょう。

 とはいえ、例の失われた魔道具が見つかった場合は、人が居ても取り敢えず回収しちゃって。

 他にも怪しいの、特に複合魔石関連は根こそぎね。

 この箱型魔道具以外に、害になるものがあるかもだから」


「イエス、マスター」


「あ、でも、どっか国の宝物庫とかだったら一旦考えるわ。

 その場合は手を出さないでおいてね」


「はい……マスター、一つ気になるものが」


「なに?」


「こちらです」


 シーちゃんが指した転移門を広げて、シーちゃんと共に乗り込んでみた。


 中は想像以上に大昔の遺跡だった。

洞窟を利用して作られたであろう空間に、いくつもの魔道具が打ち捨てられている。


 シーちゃん曰く、数千年単位で昔のものだそうだ。

とすると、やはりこの箱型魔道具は六百年どころではない昔のものだったのだ。



「ご案内します」


 シーちゃんについて歩いていくと、妙に明るい空間が見えてきた。



「え?

 まさかこれ、生きてるの?」


「はい。この空間のシステムは今尚稼働中です。

 ですが、周囲に生命体の反応はありません」


「そっか。

 でもとっても見覚えのあるやつが見えるんだけど」


「肯定します。

 おそらく同様の役割を果たすものかと」


 明るい部屋の中央には、シーちゃんと最初に出会った時に見たものとそっくりな箱状の物体が鎮座していた。


 ようするに、コールドスリープ装置的なあれだ。



「また親戚?」


「いえ。それはありえません。

 ここに存在するのは、この世界の技術で産み出されたシステムです」


「そんな事までわかるんだ。

 流石シーちゃんね」


「それで、いかが致しますか?」


「どうしよっかね~。

 見なかった事にしちゃう?」


「得策では無いかと。

 おそらく、機能はあの箱型魔道具と同じです。

 ただ、この端末からしか繋がらない座標なだけでしょう」


 今度は共有ではなく、保存もしくは、封印を目的としたものらしい。

箱自体にも、なんかゴツい鍵がついてるし。


 何れにせよ、これも世界の外と繋がる装置だ。

ならば止めるしかないのだ。

また同じことが繰り返される可能性だってあるんだから。


 いやでも、どう見ても中身入りなのよね。これ。

しかも、うっすら透けて見えてる感じ、可愛い女の子だ。


 この子助けたらまた叱られるわよね……。

いや、まあ、助けなくても怒られるんだろうけど。

理不尽……。



「取り敢えず、ノアちゃん呼ぼっか」


 何にせよ先ずは相談だ。

それが大切な事だと、流石の私でも理解したのだ。



「それで呼び出したと。

 まったく。本当に次から次へとよく引当てますね」


「ごめんなさい……」


 自分が悪くなくても、やむを得なくても、先ず謝るのだ。

流石の私でも理解したのだ。



「仕方ありません。

 この人を目覚めさせて、装置を処理しましょう。

 それ以外に選択肢など無いのですから」


「うん。シーちゃんお願い」


 既に装置の解析を終えていたシーちゃんは、手際よく鍵を解除して蓋を開いた。



「……あれ?

 起きないわね」


 すでに世界の外とのリンクは途切れて、箱の中も通常の空間に戻っているにもかかわらず、少女はピクリとも動かなかった。


 これってまさか、コールドスリープじゃなくてお墓的なやつだった?

ピラミットのファラオのやつ的な。



「生命反応は問題ありません。

 というか既に目覚めていますね」


「この子、どうやら怖がっているようですよ?

 たぶん、死んだフリのつもりなのでしょう」


「あらら。

 ごめんね、お嬢ちゃん。

 私達怖くないよ?

 ここから出てお話しない?

 お菓子あるよ?」


 取り敢えずクッキーを一枚差し出してみた。


 甘い香りに釣られたのか、少女の肩がピクリと動いた。



「肉串の方がいい?

 なんだったら、魚もあるよ?」


 次々と収納空間から取り出して差し出してみる。

何れも、購入した直後から時間が止まっているものなので、未だ熱々の出来立てだ。


 そんな事をしていると、「ぐ~~」と可愛らしい音が響き渡った。

少女のお腹から。


 少女の頬が真っ赤に染まっていく。



「ほら~もう観念しなよ~

 とって食べないよ~?

 むしろ、いっぱい食べさせてあげるよ~?」


 もしかしてこの子言葉通じてないのかしら。

数千年以上前の子だし、そういう可能性もあるのかな。


 いや、そうでもないか。

人魚とか、ずっと人間と国交無くても言語同じだし。

エルフもそうだ。



「そう言えば、ハルちゃんも最初こんな感じだったよね。

 ハルちゃんはどう思う?

 取り敢えず抱きしめてみればいいかな?」


『きゃっか』


「なんでさ」


『このこ』

『ちがう』

『たぶん』

『ドワーフ』

『それも』

『ごこうれい』


 少女の肩が過去最大級の動きを見せた。

若干、目の間にも皺が寄っている。

ハルちゃんの物言いに、イラッときたらしい。



「ドワーフ?

 ドワーフ!?まっじで!?」


『うん』


「おそらく間違いないかと。

 少なくとも、人間種族の少女ではありません」


 へパス爺さんのとこに連れて行ったら、どんな反応を示すかしら。

まさか、ドワーフの女性が見つかるとは。


 というかドワーフの女性って、見た目少女のままなのね。

まあ、ルネルみたいに厳密には別の種族って可能性もあるけど。



「取り敢えず連れ帰りましょうか。

 いえむしろ、私世界に送ったほうがいいかしら。

 今は何かと立て込んでるし」


 ツムギとステラの件もあるし、クレアとも話をしなければならない。

この子?方?には悪いけれど、順番待ちをしてもらわなければ処理しきれないくらいの状況なのだ。



「まあ良いです。

 そうして下さい」


「うん。ありがとう、ノアちゃん」


 私が少女に手を伸ばそうとした所で、静止の声がかかった。



「まっ待つのじゃ!!」


 遂に目覚めたドワーフ(仮)少女(偽)は、瞬時に飛び退って私の手から逃れた。



「おはよ、お嬢ちゃん」


「お嬢ちゃんじゃないわい!!」


「膝震えてるよ?

 大丈夫。怖くないから。

 ほら、こっちおいで、お菓子食べよ?」


「いらんわい!!」


「マスター、取り敢えず拘束しても?」


「もうちょっと待ってて、シーちゃん」


「私は先に戻りますね。

 後はお願いします」


「うん。ノアちゃんもありがと~」


 付き合いきれないとばかりに、さっさと転移するノアちゃん。



「!?

 まさかお主ら!?」


 ?

ノアちゃんの転移に反応したの?

なんで?


 いや、今はそれよりだ。



「私はアルカよ。

 こっちはシイナ。

 あなた、お名前は?」



「……ヘスティ」


「よろしくね、ヘスティ。

 取り敢えず、これどうぞ。

 飲み物もあるよ?」


「……うむ、頂くのじゃ」


 あれ?

なんか素直になっちゃった。

なんで?


 ま、いっか。

取り敢えず、話は出来そうだし。

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