表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
33.白猫少女とパンドラの箱

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

881/1383

33-25.家族

 いつも通り朝食と見送りを済ませた私は、早速マリアさんのところへ向かった。


 結局クレアとは仲直り出来ていないけど、あの調子ならまあ、大丈夫だろう。

手痛い反撃も受けたことだし。



「おはよ、お義姉ちゃん」


「ああ。おはよう。

 では行くか」


 昨日と同じように案内してくれるマリアさん。

今日もずっと一緒にいる感じかしら。

一応、王族と冒険者が会うのだし、警護は必要よね。

名目上だけかもだけど。



「陛下には何時お会いするつもりだ?」


「出来れば今日中にお願いしたいわね。

 ツムギ、じゃなかった、ベアトリスとの結婚は正式に受け入れさせてもらうわ」


「そうか」


「悪いわね」


「いや。問題ない。

 姫殿下からも、アルカとの関係は聞いている。

 俄には信じがたい話だがな。

 だがまあ、アルカの事だしな。今更だ。

 それにしても、こういうのを因果とでも呼ぶのだろうか」


「私も驚いたわ。

 どうやらそうみたいよ。

 私には、強い因果の流れが纏わりついているみたい。

 そうして皆を引き寄せてきたの」


「ならばクレアにも、いや、エリスにもか。

 何かしらの役割があるという事なのだろうか」


「そうね。

 そうかもしれないわ。

 クレアは言わずもがな、エリスにも心当たりがあるの」


「それは……なんだ?」


「ごめんね。具体的な事は言えないんだ。

 けれど悪いことじゃないから。

 エリスには特大の加護がついていた事がわかったの」


 正確にはそれを受ける権利みたいなものだけど。



「加護か……」


「不安?」


「ああ。加護とは結局のところ、力の事だろう。

 ならば、力に相応しい責任も付き従うものだ。

 私もあの娘が力を得る事を望みはしたが、過ぎたものであれば不安も抱く。

 勝手なこととは思うのだがな。

 何にせよ、あの娘のこの先が、困難な道で無いことを祈るばかりだ」


「ごめん。それは約束できない。

 私と関わってしまった以上、大なり小なり力と困難は付き纏うから。

 でも大丈夫。

 エリスはとっても強い子だもの。

 それに寄り添ってくれる家族が沢山いるわ。

 私達だけでなく、マリアさんやこの国の人たちもね。

 きっと皆でなら乗り越えていけるわ」


「そうか」


 それっきり、マリアさんは口を開かなかった。

私達は沈黙したまま、城の敷地内を歩き続けた。



「お待ちしておりました、アルカ様」


 離宮の前には、ツムギとステラちゃん、それにマルセルさんとシルヴァン王子が待ち構えていた。



「今日は随分と大勢でお待ちでしたのね」


「申し訳ございません。

 兄様がどうしてもと仰られたので」


「先に行っておきますが、クレームは受け付けませんよ?」


 取り敢えず王子に向かって釘を刺す。

この件でクレアの事を持ち出されてもただ面倒なだけだし。


 けれど、それに答えたのはツムギの方だった。



「ご安心をアルカ様。

 既に話し合いは済んでおります。

 ただ少しばかり、不安が拭いきれぬだけのようです。

 私達の仲睦まじい姿を見れば、きっと兄様も理解して下さるはずです」


 この王子、ロリコンだけでなくシスコンでもあるのかしら。

いやまあ、それは今更か。

どう見ても、エリスの事も溺愛してる様子だったし。



「わかりました。

 ベアトリス様がそう仰るのなら」


「随分と他人行儀な呼び方だね。

 それで本当に仲睦まじいと言えるのかな?」


 ようやく口を開いたと思ったら、挑発するような言葉が飛び出てきた。

いやまあ、してるんだろうけど。

その割には、ジャブが弱い。



「これは失礼いたしました。

 王子殿下の前ですので、気を遣わせて頂いたのですが。

 まさかそのような事も察せられぬとは。

 もしや今日は体調が優れないのでは?

 日を改めてはいかがでしょうか」


「いえ。心配には及びませんとも。

 アルカ殿程に逞しくはありませんが、これでも体は丈夫な方です」


 シルヴァン王子の言葉に我慢できなかったのか、ツムギが足を踏みつけた。



「兄様!女性に向かって逞しいって何よ!

 そんな意地悪ばかり言うなら嫌いになっちゃうわよ!」


「いや、その……すまない。ベアト」


「私じゃないでしょ!アルカに謝りなさい!」


「……すまない。言葉が過ぎたようだ」


「いえ。事実ですので」


 この王子、本当に頭脳面が優秀なのだろうか。

私の前で、そんな様子を見せた事がない。

なのに、マリアさんもマルセルさんも、どころかクレアすらも、この王子の優秀さは信頼しているようだ。


 私にだけムキになりすぎているのだろうか。

それとも、これは全て王子の策略の内なのだろうか。


 ぐぬぬ。

この王子の為に思考など割きたくないのに。

つい余計な事を考えてしまう。

これがこの王子なりの嫌がらせなら、策略家というのも頷ける。



「本当にごめんね、アルカ。

 ってこんな場所で長話させちゃったわね。

 付いてきて。部屋に案内するわ。

 マリ姉とマル兄も一緒に来て。

 シル兄様はお引き取りを。

 今日はもう顔も見たくないわ」


「ベアト!?」


 絶望するシルヴァン王子を置き去りに、ツムギは容赦なく歩き出した。



「待って、ベアちゃん。

 あの人も入れてあげて。

 あの人が私に悪感情を持っているのは仕方のない事よ。

 それでもベアちゃんの大切なお兄さんだから、私もちゃんと話をしておくべきだと思うの。

 あの人もそのつもりみたいだし、もう一度だけチャンスをあげましょう?」


「まあ、アルカがそう言うなら。

 シル兄様!く・れ・ぐ・れ・も!

 これ以上、失礼のないようにね!」


「あっああ。すまない。感謝する」


 別にあなたの為じゃないわ。


 全部ツムギとクレアとマリアさんとエリスの為……って多いわね。


 この王子、何だかんだ皆から好かれているのよね。


 まったく。やり辛いったらないわ。

流石に私が悪い部分も無くはないんだし。



『どう考えてもアルカのせいじゃない。

 嫌味の一つや二つ、受け流してやりなさいよ』


 うちの天使ちゃんはやっぱり天使ちゃんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ