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33-8.お誘い

 セレネと散々イチャイチャしてから深層を出て、ミヤコとソフィアとのお茶会を再開した。


 そこからは、国取りの件とは関係のない他愛のない話を続け、暫くするとセレネはソフィアを連れて教会へと戻っていった。


 本当は暫くチハちゃんズと一緒に研修を行うつもりだったのだけど、セレネが実地で十分と言い放って引き取ってしまったのだ。


 取り敢えず、セレネもソフィアを気に入ってくれてなによりだ。


 このまま上手く、グリアの身辺警護役についてくれるといいのだけど。


 国取りより、むしろそこの方が難題かもしれない。

まあ、セレネなら上手くやるわよね。


 その後はヒサメちゃんを呼んでお茶会をもう暫く続けた。


 ヒサメちゃんを帰した後は、運営委員会の子達とのお礼ぷちデートを済ませて、当初予定していたやるべき事は一通り完了した。


 後は、今日発生した追加の用事だ。

そろそろマリアさんのところへ行ってみるのも良いかもしれない。



『その前にニクスの件、済ませてしまいなさいよ』


 ニクス?

はて?……って!?

忘れてた!?


 私は慌てて抱き寄せ魔法でニクスを腕の中に召喚する。



「……(ジー)」


 ニクスはジト目で私を見上げてきた。



「ごめんね」


「……(ぷい)」


 目を逸らされてしまった。


 今度はニクスを連れて、再び深層へと潜り込んだ。


 記憶のバックアップシステムを構築したからって、いくら何でも深層を乱用し過ぎだろう。

以前と同じ頻度で潜る事になるのも近そうだ。

気をつけよう。


 暫くニクスとイチャイチャして機嫌を治して貰った後、改めてニクスにも誘いをかける。



「という事で、本格的に国取りをしたいと思うの。

 まあ、私はこの件から手を引くことになっちゃったんだけど」


「それで、私に何をさせたいの?」


「勇者と聖女を動かしたいの。

 だからニクスの許可が欲しい。

 ニクスも共犯者になってくれる?」


「もう。仕方ないな。

 私の聖女様が動くのなら、威光を示してあげないとだね」


「それは神様ジョークなの?

 ちょっと分かりづらいわ」


「認めてあげると言ってるの。

 後押しもしてあげる。

 教会に神託でも下せば、説得力が生まれるでしょ」


「ありがとう。

 けど慎重にね?

 その辺りの事は、セレネとグリアとよくよく打ち合わせてからだよ?」


「わかってるってば。

 まったくもう。神様と談合なんてとんだ不良教会だね」


「そこに加担してる神様が言えたことでもないわね」


「あ~。そういう事言うんだ。

 なら私は手を引いちゃおっかな~」


「ごめんなさい」


「ふふ。まったく。本当に仕方のない子達だね~」


「なんでそんなに嬉しそうなの?」


「そう見える?」


「ええ。とっても」


「なんでかなぁ。

 多分、ようやく私も仲間に入れてもらえたからじゃないかな。

 今までは、只見逃してあげるだけってのが多かったし」


「今でも訓練に参加して子供達を見てくれたりしてるじゃない」


「そういうんじゃないでしょ。

 ほんとにわからないの?」


「いや、わかるけどさ。

 一緒に知恵を巡らせて、世界を動かしていく感じが良いのでしょ?

 今まで一人でやっていた事に、仲間が出来たのが嬉しいのでしょう?」


「そうだよ。その通りだ。

 私はまさにそれが嬉しくて溜まらないんだ」


「よかった。喜んでくれて」


「もっと早く誘ってくれてれば満点だったね」


「ごめんなさい。

 でも、ニクスだってもう少し積極的になってくれても良いじゃない。

 ただ待ってるだけじゃなくて。

 実際、ミーシャは勝手に会議に乱入してきたわよ?

 ニクスにも、それくらい必要だと思うの」


「難しいんだよ。私はあの世界の守護者だから」


「口実が無いと動けないのね。

 でもあの会議は私世界でやってたんだし、少しくらい言い訳にならない?」


「う~ん。グレー、かな?」


「わかった。なら今後も私から誘うから。

 今度は忘れずに、もっと早く」


「今度こそ、約束を守ってね。

 というか、今企んでる事があるなら、この場で言うべきだと思うよ?」


「何かあったっけ?」


「素で忘れてるみたいだね。

 アルカは今日この後どうするの?」


「マリアさんのところに行って、箱型魔道具に収められていた消えた魔道具についての話を聞いてくるわ。

 ついでに、ああ。そうだったわね。

 こっちの件もニクスの許可が必要だったわ。別の意味で」


「聞きましょう」


「ムスペルの第三王女、ベアトリスちゃんとの政略結婚を持ちかけられたの。

 場合によっては、受け入れる可能性もあると思う。

 もしそうなったら、私の伴侶としてのニクスは受け入れてくれる?」


「どうせもう確定なんでしょ?

 最初っから、受け入れるから許可をくれと言うべきじゃないかな?」


「ニクス、普段から私の心見てるんでしょ?

 私はまだその気になんてなってないわよ?」


「アルカ、いい加減現実を受け入れるべきだよ。

 今まで何度そう言ってきたと思ってるの?

 どうせもう、この流れは確定事項だよ。

 アルカだってわかってるでしょ?」


「神様なのに、運命なんて信じてるの?」


「統計を信じているんだよ」


「随分とシステマチックな神様ね」


「そうでなければやってられないよ。

 世界の守護者なんてね」


「わかった。観念するわ。

 またお嫁さんを増やします。

 許可を下さい。愛しの伴侶様」


「許さない。浮気者」


「わかった。なら断ってくるわ」


「本気?」


「うん。ニクスが嫌と言えばそれまでよ。

 というか、今までは何だかんだ皆も受け入れてくれたから増やせたけど、皆が嫌だと言うのならお断りするわ」


「今までは嫁にしたいではなく、嫁にしたって報告ばかりだったせいでしょ。

 それじゃあ、誰も断れないじゃん」


「ごめん」


「撤回するよ。許可するから迎え入れてあげて」


「本気?」


「うん。だってもう、ノア達は許してくれたんでしょ?」


「ええ。まあ。

 お叱りは受けたけど」


「なら良いよ。

 さっきのは単なる軽口だ。

 その政略結婚とやらは、アルカが私の世界を守ろうとしてくれた結果の事だ。

 私だけが我儘を言うのは筋違いだよ」


「そんな考え方はしなくていいわ。

 守護者としてではなく、伴侶としてのニクスに聞いているのだもの」


「ならこう言うよ。

 私の伴侶は仕方のない人だね。

 良いよ。許してあげる。

 だからこうして私を愛してね。

 いっぱいいっぱい愛してくれるなら、何人だって目をつむるよ」


「ニクス~~!!」


 そのまま、また暫くイチャイチャを繰り返した。

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