6-5.暴露
「うわ~本当に大きいですね~」
「大きい街なんてもう何度も見てるでしょ?
まだ珍しく感じるの?」
「一つ一つの事に感動して楽しむのも旅の醍醐味じゃないですか。
アルカはもう世界中回ったから飽きてるのかもしれませんが。
最初に回った時は違ったんですか?」
ノアちゃん言うわね・・・
まだ十歳女児なのにおっさんみたいな事を・・・
「う~ん?どうだったかな。
あまり気にしなかったかも?」
「私の時は一人だったし、
最初の頃はまだ今のように強くなかったから
女の一人旅で不安もあって、
そんなにゆっくり楽しめなかったかも」
「今思うと随分命知らずな事をしたものね。
盗賊にでも捕まってたらと思うと怖くてたまらないわ」
「なんでそこまでして旅をしていたのですか?
そういえば結局理由は教えてもらってないですよね?」
「うぐ・・・それは」
「それは?」
「ほら!最初に会った時にも言ったじゃない?
私は一人でいるのが嫌だったの。
だから一緒に生きていける相手を見つけたかったの」
「そんな急に態度変えられたら、
今考えましたって言っているようなものですよ?
観念して白状して下さい?」
「ノアちゃ~ん!その笑顔はなんだろうな~」
私はノアちゃんから少し距離をとる。
「何をされてもこれだけは吐かないわ!絶対!」
言いながら駆け出して逃亡を試みる。
「あ!逃げないで下さい!アルカ!
私から逃げ切れると思ってるんですか!」
ノアちゃんの言う通り、
私はあっさりノアちゃんに捕まってしまう。
ちくせう。空に逃げるべきだったか・・・
私の腰に抱きつきながら、ノアちゃんが続ける。
「私の勝ちですよ?
これで教えてくれますよね?」
「でも・・・」
「教えてくれないんですか?」
ノアちゃんが正面から腰に抱きついた姿勢で、
上目遣いで私を見上げながら悲しそうな顔をする。
「卑怯な!ノアちゃん!それはズルい!」
「何言ってるんですか?
ただ、私はアルカが隠し事をするのが悲しいだけですよ?」
「ノアちゃん!?いったいどこでそんな手を!?」
ノアちゃん卑怯なり・・・
ノアちゃんのウルウル視線攻撃にノックダウンされて、
遂に私最大の秘密を暴露してしまう。
「なんだそんな事ですか」
「そんな事!?小さい女の子が好きだから仲良くなりたくて旅をしてたなんて
自分で言うのもなんだけど相当気持ち悪いわよ!?」
「まあ、気持ち悪いのはそうなんですが」
そうなんだ・・・
やっぱり気持ち悪いんだ・・・
「けど、アルカは別に誰とも仲良くなれなかったんですよね?
私以外にアルカと仲良くなれる子なんていなかったんです!
結果オーライじゃないですか」
「それに、アルカが小さい子供が好きなのは良くわかってますし。
私とセレネとそれ以外の人で態度違いすぎなんですから」
そうだったの!?
そんな自覚無かったよ!!
「でも、私が大きくなったら冷たくしないでくださいね?」
「そんなわけ無いじゃない!ノアちゃんには一生側にいてもらうんだから!」
「約束ですよ?」
「うん!約束よ!」
「ところで、アルカ。
私はとっても嫉妬深いのです」
あれ?ノアちゃんなんか笑顔なのに怖いよ?
というか嫉妬深いの自覚してたんだね!
驚きだよ!
「そこら辺の小さな子を目で追っていたら、
今度からは容赦なく目潰ししていきますからね?
アルカに犯罪者になられても困りますし」
なんかヤンデレみたいな事言いだした!?
「目潰しは勘弁して欲しいかな~
そうだ!その時はノアちゃんが抱きついてくれれば
ノアちゃん以外目に入らなくなるよ!」
「罰ですよ罰。
なんでそんなご褒美もらえると思うんですか?」
ノアちゃんさっきからずっと笑顔なのに
言ってることが物騒だよ?
ガクブル・・・
「大丈夫です。信じていますよアルカ」
本当に?
本当に信じてる?
ならなんでそんな威圧感を放ってるの?
大丈夫よ!今更浮気なんてしないわ!
私にはノアちゃんとセレネだけよ!
ノアちゃんが怖すぎて迂闊な事を言えない・・・
「だっ大丈夫よ!ノアちゃん以外にデレデレしないわ!」