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32-2.予定

 私は自室に戻ってリリカと感覚共有を始めた。

リリカの視界が私の眼の前に映し出される。


 リリカは筆記試験を受けていたようだ。

眼の前の答案用紙には、スラスラと答えが記載されていく。


 リリカはリオシアに潜入し、半日かけて情報収集を行った後、とある貴族を助けて伝を作り、早くも学園教師の採用試験を受けることに成功した。


 ここまでトントン拍子に進んでいる。

全てリリカの計画通りだ。


 リリカは筆記試験を受けながら、昨晩から今までの状況を教えてくれた。



『状況はそんなところよ!アルカ様!

 安心して任せておいて!』


『うん!お願いね!リリカ!』


 こっちは問題無さそうだ。

流石リリカね。


 私は午前の訓練を休んで、マリアさんのところに向かった。


 残念ながら、マリアさんは不在のようだ。

まあ、それもそうよね。

剣聖様が連日暇してるわけもない。

昨晩の内に、話をしておけばよかった。


 一応、私に応対してくれたメイドさんが、マリアさんの居場所は教えてくれた。

どうやら城内で騎士達と訓練に励んでいるようだ。


 流石にそっちに顔を出す気にはなれない。

また夜に出直すとしよう。


 そうして、一旦自室に戻ってきた。


 さて、私はどうしよう。

訓練に混ざろうかしら。


 それとも、こっちはこっちで潜入ミッションでもしてみて、自分でベアトリスちゃんの情報を集めてみるかな。


 マリアさんの家はともかく、他の場所はやめておくべきかしら。

別に軟禁が解けてるわけでもないんだし。


 ただまあ、王様に考えておくと約束してしまった手前、ベアトリスちゃんの件に何かしらの結論は出さねばならない。


 いっそ皆に知恵を借りて穏便に断る方法を考えるべきかしら。


 とはいえ、やっぱりよく知りもしないで一方的にお断りするのもいい気はしない。

せめてマリアさんにくらいは意見を聞いておくべきだろう。



『何だかんだと理由付けて、受け入れる気満々じゃない』


 違うって。

良く知りもしない相手をただ可愛いってだけで、娶るわけないでしょ。



『だそうだけど?』


『ぎるてぃー』


 ハルちゃんを判定に使うのは卑怯よ!


 というかハルちゃん!

私と文字通り一心同体になったんだから、背中から刺してくるのはダメでしょ!

それじゃあ自分を刺してるのと同じなんだよ!

自傷ダメージだよ!



『それもいい』

『しんかんかく』


 そうだった!

ハルちゃんはドMだった!



『融合を続ければアルカも何れはそうなるのかしら』


『む』

『それは』

『だいもんだい』


 そうね!虐め役が居なくなっちゃうね!


 ……もうやめましょう。この話題。

流石にバカバカしくなってきたわ。



『珍しく自分から冷静になったわね』


 そんな事より、今日は何から手を付けようかしら。

いっそ、たまにはお休みにして好き勝手してみる?



『流石にそんな暇は無いじゃない。

 消えた魔道具の方を追う手段を考えるか、ミヤコに頼んでた件の確認にでも行きなさいよ。

 国取りの件とクレアの件で、候補者を選定してくれたはずでしょ。

 ミヤコの事だから、もう選定は済んでると思うわよ』


 確かに。それもそうね。

運営委員会の子達とのお礼プチデートも残ってるし、ヒサメちゃんの様子を見に行く必要もある。


 やることは盛り沢山だ。

私に休んでいる余裕なんて無いのだ。



『ぶんたい』

『つくる?』

『ハル』

『ほじょする』


『アルカ』

『ふたりどうじ』

『かのう』


 それも悪くないかも。



『まだ止めておきなさい。

 私の目の届かないところで活動するのは許さないわ』


『『は~い』』


 それなら取り敢えず、一旦私世界に行くとしよう。

魔道具を追うにしても、シーちゃんと相談するべきだろう。

イロハが無理なら、シーちゃんか三女神にしか可能性は無いだろうし。


 私は早速私世界に移動し、シーちゃん、ミヤコ、ノルンを招集した。


 ニクスはセフィ姉とエリスの訓練組に顔を出しているようだ。

午後の筆記だけでなく、他の時間も一緒にいることが多いみたい。

仲が良いようでなによりだ。



「ナチュラルに私の事忘れるの止めてもらえませんか?」


「あれ、ミーシャ?

 どうしたの、呼んでなかったよね?」


「酷すぎです!

 ノルンちゃん呼ぶなら、私も呼んでくれたって良いじゃないですか!

 困ったときだけ呼び出しておいて、そんなのあんまりです!」


「でも、ほら。

 今回は幹部会的なやつだから。

 割と大切な話し合いだから」


「何ですその雑な言い訳!?」


「まあ良いじゃない、こはる。

 ミーシャの頭の回転の速さは役立つわ」


「ノルンがそう言うならまあ」


「折角少しずつ頼ってくださるようになってきたのに……。

 どうせ私なんて……」


 もう。仕方ないわね。


 私はミーシャを膝に乗せて会議の席についた。



「えへへ~アルカ様~」


 一瞬で機嫌を直すミーシャ。


 もういい加減、全部許してあげようかしら。

色々助けられたのも事実だし。

イロハはどう思う?



『好きになさい。

 別に私に気を遣う必要は無いわ』


 まあそうよね。

イロハならそう言うわよね。



『イロハやさし』

『すき』


『はいはい』


 早くも雑に流し始めたイロハ。

ハルちゃんの言動に突っ込む気が無くなったようだ。



『むう』

『つたわらない?』


 大丈夫よ、ハルちゃん。

きっと照れてるだけよ。



『はいはい』

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