6-4.完全復活
「ア~ル~カ~起きて下さい!
何時まで寝てるんですか!
今日こそ次の町に行くんじゃなかったんですか!」
「あと五日~」
「そんなに寝てたら置いていきます!」
「い~や~ぁ~
ノアちゃんとずっと一緒にいるの~」
私はノアちゃんを布団に引きずり込む。
「何時まで寝ぼけてるつもりですか!」
「ノアちゃん静かに~眠れない~」
「寝かせませんってば!」
「ぐぅ~」
「結局寝てるじゃないですかぁ!!」
結局、その日も昼過ぎまで寝過ごして、
ノアちゃんに大目玉を食らった。
「アルカ!最近だらしないですよ!
どうしてそう両極端なのですか!」
「だって・・・」
「だってじゃありません!
いい歳してなんですかそれは!」
ガ~ン!!
いい歳ですって!
ノアちゃんにだって言ってはいけないことがあるわ!
まだピチピチのJDだい!
別にこの世界で大学通ってないけど!
そういえば、関係ないけど、
グリアって何時まで教授名乗ってるのかしら。
大学はどうしたのだろう。
最初は休職扱いだったとしても、
もう長いこと戻っていないのだし、
辞めてしまったのかしら
「ア~ル~カ~!
今聞いていませんでしたよね!!」
いかん、ノアちゃんがマジギレモードだ。
「すみませんでした!
明日から心を入れ替えます!」
「今日からですよ!今日から!
なんで明日からなんですか!」
それから結局ノアちゃんの説教大会が始まった。
その日も宿を旅立てなかったのだった。
ほら、やっぱり明日からになったじゃない。
え?そういう意味じゃない?
まだ反省していないようですね?
ごめんなさい。冗談だったんです。
出来心だったんです。
もう正座は嫌です。
許して下さいノアちゃん様!!
翌朝、まだ違和感のある足を引きずりながら、
私は次の町へ旅立った。
宿を引き払う時に、
女将さんと仲良くなったノアちゃんが
すっごい励まされてた。
あんたしっかりしなさいと、
女将さんからもお叱りを受けて宿を後にした。
さすノア・・・
「次の町は大きいんですよね?」
「そうね~セレネの所ほどじゃないけど、
私達の町よりずっと大きいよ~」
「まだ寝ぼけてます?
なんだか口調が怪しいですよ?」
「はい!もう大丈夫です!
目が覚めました!寝ぼけてないです!」
「どうしてアルカは緊急時とそれ以外で
こんなに違うのでしょうか。
結局人見知りも復活してるじゃないですか!」
最近はシリアスな展開が続いたので、
私自身も忘れていたのだが、気を抜いた途端、
初対面の人とうまく喋れなくなった。
私のコミュ障は治っていなかったらしい。
ノアちゃんは先程の女将さんとのやりとりを指摘しているのだろう。
「私にはノアちゃんがいてくれるんだから良いんだもん・・・」
「もんじゃありませんよ!
これでどうやって一人旅してたんですか?」
「無口な人って扱いになるだけだし・・・」
「その旅は本当に楽しかったのですか?」
「うぐ・・・でも!でもねノアちゃん!
こんなんでも、それなりに上手くやってたのよ!
なんだかんだ、皆良くしてくれるし・・・」
「回りに気を使わせまくってたわけですね」
「ノアちゃん酷い・・・」
「アルカももうとっくに大人なんですから、
いつまでもそんな調子じゃ・・・」
「ごめんって!もうイジメないで!
頑張るから!」
「すみません。言い過ぎました」
「こっちこそごめんね?
ノアちゃんと一緒にいられるから、
ついつい甘えちゃったよね?
ノアちゃんに頼られるように頑張るよ!」
「いえ、それは・・・
甘えてくれるのは構わないですし。
アルカの事は頼りにしてますが」
ノアちゃんは小さな声で何事かを呟く。
「なぁに?聴こえなかったよ?」
「なんでもないです!
さあ、行きますよ!」
「うん!手を繋いで歩きましょう!
いっぱい怒られたから、
そろそろノアちゃん成分を補給しないと
私の心が持たないわ!」
「なんですかそれは!」
そう言いながらも手を繋いでくれるノアちゃん。
可愛い。