32-38.行動開始
私はノアちゃんとエリスを自室に連れ込んだ。
今日はこの三人で(素直に)眠るとしよう。
「ノアちゃん、明日はどういう予定になってるの?」
「朝一でマリアさんと合流します。
そのまま城の宝物庫を見に行ってきます」
「ノアちゃんも複合魔石関連だと思う?」
「可能性はあるかと」
「そうよね。
厄介な話だわ。
一体いくつ作ったのかしら」
「ねえねえ、アルカ様」
「なに?
エリス」
「複合魔石ってなぁに?」
「えっと、少し説明が難しいんだけど、普通の魔石よりずっと大きな力を秘めた魔石よ。
便利な半面、大きな危険性も孕んでいるの。
最悪、国が丸ごと吹き飛んでしまうわ」
「……それって大丈夫なの?」
「安心して。
たぶん今すぐそんな事になる可能性は低いから。
どうやら、危険性を理解して封印していてくれたみたいだし」
「そうですね。
今尚魔力を取り込み続けていたなら、あの国の人達も相応の危機感を持っていたことでしょう。
国の守護者たる剣聖が、私用に時間を使う余裕など無かったはずです。
手段はわかりませんが、今までは無力化に成功していたのでしょう。
ならば、力を溜め込むには相当な時間がかかるはずです」
「私みたいな莫大な魔力を持った者が近づけば話は別だけどね。
ノアちゃんもわかってるとは思うけど、気をつけてね?
今は魔力も十分過ぎる程持っているのだから」
「ええ。その点については抜かりありません。
既に対策済みです」
「そう。ならよかった」
まあハルちゃんも同行するのだし、心配はいらないだろうけども。
でもやっぱり、少しだけ不安も残る。
どれだけ強くなろうとも、勝てない相手だって存在するのだ。
例えば、ルネルのように。
「イロハにも行ってもらおうかな」
『構わないわよ』
「そこまでしなくても大丈夫ですよ。
アルカの方が手薄になってしまうじゃないですか」
「大丈夫よ。
私にはナノハもいるし」
「ナノハは日中殆ど寝ているのでしょう?」
『…………いちにちくらい。へいき』
「ありがとう、ナノハ。
けどナノハ以外にも、シーちゃん達だっているから。
心配なら、シーちゃん、チグサ、ミーシャの三人に側についていてもらう事にするね」
「まあ、そこまですれば不安も無いでしょうけれど」
「心配しなくても勝手に外に出たりはしないわ。
私より、ノアちゃんの方がずっと危険なんだから、くれぐれも用心してね」
「はい。なら有り難くイロハをお借りします」
『任されたわ』
「ノア姉ちゃん、危険な事するの?」
「大丈夫ですよ、エリス。
しっかり準備して向かいますから。
私の強さは、エリスもよく知っているでしょう?」
「うん!」
私は二人を抱きしめて、それぞれに頬ずりをする。
「ふふ。アルカ様~」
「わかっているでしょうけど、エリスには程々にして下さい」
「もちろん。
今日は何もしないわ。
というか、そろそろ寝ましょう。
ノアちゃんは明日も忙しいのだし」
「そうですね。お休みなさい、アルカ、エリス」
「「おやすみ~」」
そのまま三人で仲良く眠りについた。
流石に何も無かったよ?
翌朝、ノアちゃんは宣言通り、マリアさんの屋敷に向かっていった。
その後、ルチアの転移でクレアが帰宅した。
何故か私の部屋に。
クレアは、そのまま私のベットに寝転がった。
「朝から積極的ね」
「ちげえよ。
いいから寝かせろ。
昼には起きる」
そういって、本当に寝息を立て始めたクレア。
このまま襲ってやろうかしら。
昨晩はそんなに遅くまで話していたのだろうか。
お姉ちゃんと二人きりになった途端、クレアもお酒解禁したのかな?
一応、酔覚ましの魔法もかけておいてあげよう。
イロハ……は、いなかったわね。
そう言えば、ノアちゃんに付いて行ったんだった。
ハルちゃんとイロハのタッグなら怖いもの無しだろう。
むしろ、ノアちゃんに制御しきれなくなったりしないだろうか。
まあ、大丈夫よね。うん。
取り敢えずクレアはシーちゃんにでも任せるか。
リリカはもう出発してるだろうし。
「お任せをマスター」
すかさず登場するシーちゃん。
流石。私の秘書ちゃん。
『予定通りよ!アルカ様!』
さすリリ。
こっちの事まで把握してくれているとは。
相変わらず話が早くて助かる。
『くれぐれも油断しないでね。
期待してるわ、リリカ』
『任せておきなさい!』
自信満々だ。
でも定期報告はよろしくね。
一応、そっちの様子も知りたいし。
『がってん!』
そういえば、いつの間にその返事の仕方がチハちゃんズにまで広まったんだろう。
元はハルちゃんの口癖だったのに。
気付いたら皆使ってるのよね。
不思議




