表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

826/1381

32-28.作戦

 お昼になり、手早く昼食を済ませた私、セフィ姉、クレアはへパス爺さんの店に向かった。



「また来たよ、へパス爺ちゃん」


 セフィ姉は私と腕を組みながら、爺さんに気安く挨拶した。

いくら何でも馴染むの早くない?

まだこの店一回しか連れてきた事ないよ?



「おう。セフィじゃったな。

 前回来た時から一週間も経っとらんじゃろうに。

 もうこやつに誑かされおったんか」


「うん。今日は指輪お願いしに来たよ」


 そっか。

アリア達が学園に入学する前日だものね。

こっちだと、ほんの数日前の話だ。

相変わらず、私には半月くらい前の感覚だけど。



「やれやれ。

 しかもまた知らん娘っ子連れとるのう」


「え?ああ。

 この子はクレアよ。

 可愛くなったでしょ?」


「……お前さんはまったく」


 ふふ。お爺ちゃんったら。

クレアに気付かないなんて、勘が鈍ったんじゃない?



「久しぶりだな、爺さん」


「そうじゃのう。

 五年ぶりくらいじゃったか?」


「そんなとこだ」


「もうちょい豆に来んか。

 剣はどうした?

 持ってきとらんのか?」


「ああ。わりぃ。

 今日はこいつに付き合わされただけだ」


「お前さんがのう。

 変われば変わるもんじゃ」


 何かこっちの二人も仲良しっぽい。

というか、クレアの剣って爺さん作だったの?


 どうりで頑丈なわけだ。

その辺のなまくらなら、とっくに折れていただろう。



「クレアと爺さんって、魔王事件以前も付き合いあったの?」


「そんな事より、とっとと指輪頼んで帰るぞ。

 お前、まだやることあんだろ?」


 そんなあからさまに誤魔化すような事なの?

別に今更恥ずかしがるような間柄でも無いでしょうに。

まあ、言いたくないなら無理やり暴いたりはしないけどさ。



「まあ、良いわ。

 爺さん、何時ものお願いね」


 何故かまた呆れられたけど、いつも通り指輪の作成依頼を受けてくれたへパス爺さん。


 近々セフィ姉の杖や、ノルン達の指輪も出来るそうだ。

セフィ姉とのデートの時にでも取りに来る事にしよう。


 爺さんの店を後にした私達は、真っ直ぐに家に帰った。

セフィ姉をエリスに返して、私はクレアと共に私世界に潜り込む。


 先ずはチハちゃんズの所に行こう。

またミヤコに相談したい事もあるけど、ヒサメちゃんの事も気になっている。


 それにリリカとリオシア王国の件でも相談しておきたい。

場合によっては、明日にでも潜入を始めてもらおう。


 アリアの件もあるけど、先ずは取り敢えずの試験運用だ。

問題があるかどうかも、実際に試してみて気づく事も多いだろう。



「今更だけど、私世界で見たものは家族にも内緒よ?

 もちろん、ノアちゃんにだって言ってはダメよ」


「言わねえよ」


「ふふ。これでクレアも共犯者ね」


「勝手に巻き込みやがって」


「恨むなら、昨日のあなたを恨みなさい♪」


 どうせ暇してたんだろうし、折角なら手伝ってくれないかしら。



「そうだわ!

 ついでだし、潜入任務とか興味ない?」


「ねえよ。やるわけねえだろ。

 どう考えても向いてねえだろうが」


「メインはリリカよ。

 クレアには補助を頼みたいのよ。

 人間社会の常識に詳しい協力者が欲しかったの。

 どうせ暇してるんだし、試しにやってみない?」


「今の私の役目はアルカの見張りだ。

 いきなり突き放そうとすんじゃねえよ」


「あれぇ?あれぇ?

 もしかして、私と離れたくないのかなぁ~?」


「うるせ。そんなんじゃねえよ」


「その割には頬が赤いわよ?」


「気の所為だ」


 あれ?

何か今日のクレア、いつもより煽り耐性付いてない?

本当に、ノアちゃんはどんな魔法を使ったのかしら。



「アルカ様!来たわね!」


 私を見つけたリリカが駆け寄ってきた。



「うん。リリカに用事があったの。

 今少し時間良いかしら?」


「もちろんよ!」


 どうやら大体の状況は把握しているらしい。

流石リリカ。


 私はリリカを連れて、昨日も利用したサロンに移動した。

少し腰を据えてゆっくり話をするとしよう。

色々頼みたい事があるし。



「とりあえず、今晩同行してくれるかしら?

 クレアの実家に挨拶に行きたいの」


「構わないわ。

 クレアに同化して、力を隠蔽しておけばいいのよね」


「そうよ。いつも通り話が早くて助かるわ。

 リオシア王国の件も把握してるわよね。

 そっちはどう?

 可能なら、明日からでもお願いしたいのだけど」


 私の質問を受けたリリカは、クレアに視線を移した。



「クレア、力を貸してくれないかしら!

 私一人では、まだ不安が残るわ!」


 さっきの話も聞いていたのね。

それでも敢えてもう一度、自分からも頼んでくれたらしい。



「勘弁してくれ……」


 ありゃりゃ。



「なら仕方ないわね!

 手探りで頑張ってみるわ!」


 特段気にした様子もないリリカ。

一応、ダメ元で試してくれただけのようだ。



「ありがとう、リリカ。

 無理はしなくて良いからね。

 それにわからない事があったら、すぐに私に聞いてね。

 もちろん、クレアでも良いわ。

 どう?遠隔で知恵を貸してあげるくらいは良いでしょ?」


「……わぁったよ」


「ふふ。クレアもありがとう」


「決まりね!

 潜入の手段は私の自由にして良いのかしら!」


「もちろん良いわよ。

 というか、もう具体案まで用意してあるの?」


「ええ!概要を説明するわね!」


 それから潜入任務の計画をプレゼンし始めたリリカ。

シーちゃんとも協力して、イラスト付きのスライドショーまで用意されていた。

一体いつの間に作ったのかしら。

内容も問題無さそうだ。

凄いわね。もうリリカ一人で良いんじゃないかしら。


 感心するばかりの私と違い、クレアは事細かく質問していった。

その様子を見る限り、クレアも案外潜入任務を無難にこなせそうだ。

やっぱり協力してくれないかしら。


 クレアを協力させる作戦もリリカに立ててもらおうかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ