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32-16.想定外

「ねえ、クレア」


「……なんだ」


「クレアこそ、いつまでこうしているつもりなの?」


「……私の気が済むまでだ」


「ふ」


「何笑ってやがる」


「ギリギリで堪えたじゃない。ふふ」


「堪えきれてねえよ!」


「今のはクレアのせいよ」


「お前、少し痩せた方が良いんじゃねえか?」


「なんてこと言うのよ!?」


 お腹周りは問題ないやい!!


 レーネと比べるのは無しよ!

あの娘のスタイルは天性のものなんだから!



『誰に言い訳してるのよ?』


 ありがとう、イロハ。

反応してくれて。



「バカでかい乳しやがって。

 こんなんだから動きが鈍いんじゃねえのか?」


「興味があるの?触る?」


「いらねえよ」


「そう?

 だってクレアには無いじゃない」


「てめぇ!」


「自分から言いだしたんでしょ!」


「……アホらし」


「クレア、変なテンションね。

 やっぱりまだ落ち込んでるの?」


「……なんにだよ」


「私にフルボッコにされたこと?」


「……」


「図星っぽい」


「うるせ」


「もう力は与えたでしょ?

 そんな事で不貞寝してないで、鍛錬にでも行ったら?」


「……気が乗らねえ」


「気に入った?私の体」


「妙な聞き方すんじゃねえよ」


「だってクレア、私の上から動こうとしないんだもの」


「……まあ抱き心地は悪くねえな」


「いくらでもどうぞ」


「……何食ったら、こんなんなるんだよ」


「大体同じもの食べてるじゃない。

 というか、やっぱ興味津々ね」


「ちげえよ」


「抱き合うのって気持ち良いでしょ?」


「……」


「誰かの暖かさって、どれだけ感じても飽きたりしないのよね」


「そんなん……お前だけだろ」


「ふふ。そうかも」


「……たまには悪くねえけど」


「うん。たまにね。

 気が向いたら、こうして抱きしめにきてね」


「抱いてねえ」


「まだ言うの?」


「布団としては悪くねえ」


「良いわよ。それでも」


「……」


「ねえ、クレア」


「なんだ」


「魔法をかけてもいい?」


「今更なんのだよ」


「今日私から贈る最後の呪いよ」


「贈り物が呪いってなんだそりゃ」


「永遠の命。欲しくない?」


「なんだ。まだ使ってなかったのか」


「まあ流石にね。

 こればかりは本人の同意なしには使えないわ」


「好きにしろ」


「そんな投げやりで良いの?

 今のクレアは、大きすぎる力を持ってはいるけど、まだギリギリ人間の範疇に収まっているのよ?

 この魔法のろいをかければ、本当に私のものになってしまうのよ?

 ちゃんと理解して同意してるの?」


「側に居続ける事が、力を得る条件じゃなかったのか?」


「そう。本気で受け入れてくれるのね。

 ならもうこれ以上は言わないわ」


 私は自身が躊躇わないよう、間髪入れずにクレアに不老魔法をかけた。


 すると、想定していなかった事態が発生した。

クレアの体が光を纏い、少しだけ縮んでいく。


 完全に光が晴れると、私と出会った頃よりも更に若干幼いクレアがそこにいた。


 え?なにこれ?

どういう事?


 私はクレアの状態をよく確かめようと、クレアと上下を入れ替えて、全身を観察していく。



「おい。何だその顔は」


「え?私?」


「何でお前が驚いてんだ?

 まさか、魔法が失敗したとか言わねえだろうな?」


「いや、まあ、大成功なのは間違いないわ。

 むしろ上出来すぎてびっくりしちゃったのよ」


 まだ自覚は無いのかしら。


 なんでこんな事になったのだろう。

魔法に私の願望が紛れ込んだのかしら。


 実は幼い姿で固定する魔法だったとか?

でも、自分に使った時はこんな事にならなかったのに。


 今度お姉ちゃんにも使ってみようかな。

お姉ちゃんは普段から子供の姿に変身してるくらいだし、手間が省けて喜んでくれるかも?



「おい。本当に大丈夫なのか?

 何か視線が妙だぞ?」


「クレア、可愛い」


「おい!まて!なにする気だ!?」


「ここは私の部屋よ」


「だからなんだ!?」


「そしてここは私のベット」


「お前が寝かせたんだろうが!」


「自分のベットに横たわる美少女が一人」


「だからお前が!美少女!?何言ってやがる!?」


「これはもう、据え膳食わねばってやつよね!」


「やめ!おま!?まさか!?

 何処触ってやがる!!この!!

 目を覚ませ!!バカアルカ!!」

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