31-49.二次会・続
「さて、気を取り直してもう少し飲みましょうか」
「そうだね……」
セフィ姉はまだモヤモヤしているようだ。
あかん。流石に脅かしすぎたかもしれない。
このままだと、いきなり旅立つって言い始めるかも。
「シーちゃん!アリス!かもん!」
「はい、マスター」
「どうしたの?」
「セフィ姉を目一杯饗してあげて!」
「「がってん!」」
「え!?え!?」
シーちゃんとアリスがセフィ姉の手を引いて立ち上がらせる。
そのまま別のクッショに座らせ直し、セフィ姉の両脇に寄り添った。
「ちょっと!
いつからあんなサービス始めたのよ!
私まだやってもらって無いわよ!」
「セレネはまた今度ね。
今日は私の側にいて頂戴」
「ズルいわ!セフィだけ!」
「仕方ないわね。
シーちゃん、お願い」
「イエス、マスター」
シーちゃんは二人の分身体を産み出した。
片方は私子供Verに変身してもらい、先程と同じように私の意識を流し込んだ。
そうして、今度はシーちゃん(分身体)と私(分身体)がセレネの手を引いて、別のクッションに座らせて寄り添った。
私は空いた両手で、ハルちゃんをしっかりと抱きしめた。
心做しか、ハルちゃんもしがみつく腕に力を込めた気がする。
可愛い。
「うふふ。最高の気分よ!」
「「いきなり胸揉まないで、セレネ」」
「良いじゃない。こっちのアルカは大して無いんだし」
「「セレネと変わんないでしょ」」
「不思議よね。
子供アルカって私より小さいくせに、ここだけ成長してるんだもの」
別に不思議でも無いわよ。
その時点で、肉体年齢的にはセレネより三つは年上なんだし。
「「言っておくけど、別にサイズ弄ったりしてないわよ」」
「知ってるわ。
アルカの記憶を見たのがノアだけだとでも思ってるの?」
「「別に好きにして良いけど、恥ずかしい事口にしたら禁止するからね」」
「わかってるわ。
何歳までお寝しょしてたなんて話、するわけないじゃない」
「「そんなの私だって覚えてないわよ!?」」
「取り敢えず、その二人同時に喋るの止めない?
何か違和感凄いんだけど」
「「そうは言っても、これ結構難しいのよ」」
「精進なさい」
「「これでも結構練習したのよ。
あんまりイジメないでよ」」
「なら仕方ないわね」
「セレネ、折角ですから私にも構って下さい」
「もちろんよ!シイナ!
可愛いこと言ってくれるじゃない!」
「シーちゃん、程々にね。
あんまりセレネを調子に乗らせると、美味しく頂かれちゃうからね」
「それはそれで構いません。
正妻を籠絡すれば、家庭内でのマスターとの位置も近づきますから」
「シイナはそんな事気にしてたの?
アルカの事情なんて無視してアタックしちゃいなさいよ。
良いように使われているだけではダメよ」
「はい。セレネ」
「小春、これ人選ミスじゃないかな?
私と子供小春、交代しない?
子供小春をセフィに付けたほうが良いと思うんだけど」
アリスの言う通りかもしれない。
セフィ姉がなんかフリーズしてる。
今日は珍しいセフィ姉をよく見るわね。
まあ、セフィ姉の全てを知っている程、付き合いが長いわけでもないのだけど。
なにせ、出会ってから半月程度しか経ってないんだし。
「セレネ、良い?」
お。今度は上手く分身体の方だけから声が出せた。
「ええ。構わないわ。
そもそも、アルカとセフィは婚約したばかりだもの。
セフィだって、いきなり大して知らない子達に囲まれても困ってしまうわよね」
「「ありがとう、セレネ」」
また出ちゃった。
「私も一旦下がりましょう。
先ずは、マスターと一対一から始めるべきかと」
シーちゃんも私の作戦ミスと感じているようだ。
確かに。流石に強引すぎたわね。
私(分身体)とアリス、シーちゃんは立ち上がって、それぞれの配置を入れ替えた。
今度は、セレネにシーちゃんとアリスが寄り添い、セフィ姉の膝に正面から私(分身体)が跨った。
「セフィ姉?
大丈夫?」
「え?あ、うん。
大丈夫。多分」
ダメそう。
私(分身体)は、セフィ姉にキスをしてみた。
「元気出た?」
「!!
うん!元気!元気!」
どうやら効いたようだ。
というか、セフィ姉も◯リコンなのだろうか。
なんかやたらと、私子供Verの事可愛がってるのよね。
いやまさか、そんなはず。
娘もいるのに。
「セフィ姉~」
試しに目一杯可愛い声を出して甘えてみる。
「はうっ!!」
無事クリティカルヒットしたようだ。
セフィ姉は感極まって、私(分身体)を思いっきり抱きしめた。
「ふふ。セフィ姉良い匂い~」
「アルカぁ~!!」
私(分身体)を抱きしめたまま、グリグリと頬ずりするセフィ姉。
これが、いつもレヴィが受けてるやつか。
思っていたより、結構激しいわね。
「アルカ!
私を誘惑してどうするつもりなの!?」
暫くして我に返ったセフィ姉がハイテンションで問いかけてきた。
「それはもちろん、身も心も堕落させて引き込もうかと。
私の家族がどうやって過ごしているのか、ちゃんと知ってもらいたいし」
「ダメだよ!そんなの!」
そう言いながらも、頬ずりを止められないセフィ姉。
何か壊れちゃった。
何かの許容量を越えてしまったのだろうか。
お酒が入ってる影響もあるかも。
「流石に荒療治過ぎないかしら。
それに、別にそういう爛れた関係だけでもないじゃない」
「いやまあ、そうだけどさ。
それも込みで受け入れてもらわなきゃじゃない?」
「あの様子なら心配要らなそうね」
セフィ姉は一心不乱に私(分身体)を抱きしめて、頬ずりしている。
よっぽど気に入ったようだ。
「セフィ姉ぇ~」
「アルカぁ~」
「というか、普通に片方ずつ声出せてるじゃない」
「ちょっとコツ掴んだかも。
一時的に片方の制御諦めればどうにかなりそう」
「それ微妙じゃない?
わざわざ分身する必要あるの?」
「でも、私の本体は今動けないもの」
ハルちゃんの抱き枕としての、重要な役目があるのだ!
「良い事思いついたわ。
無防備なアルカ本体を私がイジメたら、分身体の方も反応するのよね?」
「マスターの体は私が守ります」
「セレネの相手は私達だよ!
小春の事は一旦忘れてよ!」
「アリスも可愛いこと言うじゃない!」
「セレネ忘れてるの?
私、セレネの事大好きなんだよ?愛してるんだよ?
なんたって、私は小春の心から生まれたんだから!」
「アルカ!今すぐ深層に行くわよ!全員で!」
「ダメよ。ノアちゃんと約束したでしょ」
「なら良いわ!今すぐここで始めるだけよ!」
「ひゃん!」
セレネがアリスとシーちゃんをクッションの上に押し倒した。
アリスから、嬉しそうな悲鳴が聞こえてきた。
「シーちゃん、アリス。
今日はダメよ。
また今度時間のある時にね」
「「「え~」」」
セレネ、アリス、シーちゃんが揃って反対した。
え?シーちゃんもなの?
「マスター、許可を要請します。
たまには私も楽しみたいのです」
「そうだよ!
最近忙しくて全然相手してくれてなかったじゃん!
少しくらい良いでしょ!」
あかん!二人までゴネ始めた!
「セフィ姉!助けて!
このままじゃあセフィ姉も巻き込まれるよ!」
「う~ん。
流石にちょっと賑やか過ぎるかも?」
「そうだよね!
始めては二人きりが良いよね!」
「うふふ~!」
え!?何その笑い!?どういう意味!?
「ぜんいん」
「おちつけ」
「ハルちゃん!!」
さっすがハルちゃん!頼りになる!
起こしてごめんね!
「アルカ」
「ハルもまざる」
「ハルちゃん!?!?」




