表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
31.白猫少女と新学期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

786/1386

31-42.聖女の考え

「ルスケアねぇ~。

 今更何を言い出すかと思えば」


「その口ぶりは、セレネ、この状況を想定してたの?」


「まあ、私じゃなくてグリアさんだけど」


「そうなの?

 でも、グリアもアリアの身元保証にルスケアを利用するのは賛同したわよ?」


「つまり気にする必要は無いって事よ」


「ルスケアが国と喧嘩する事は無いってこと?」


「そこまでは言わないわ。

 喧嘩くらいするに決まっているじゃない。

 けれど、今は致命的な問題には繋がらないという意味よ」


「戦争にはならないって事?

 その根拠は?」


「相手は民よ?

 しかも自国の。

 だってのに、誰を相手に戦争するつもりなの?」


「内戦なんて、別に珍しい事でも無いじゃない」


「そうじゃないわ。

 一方的な武力行使はただの殺戮よ。

 武装蜂起したならともかく、ただ信仰が芽生えただけの平民達を一方的に攻撃出来るわけないじゃない。

 そんな事をするには、相応の理由が必要なのよ。

 今はまだ、理由として弱すぎるわ」


 そんなはずはない。

信仰の違いによる弾圧は実際に起きている。

少なくとも私の知る世界の歴史なら。


 もしかして、この世界は元々一神教だった上に、実際にニクスが人々と関わって神の存在を証明してきたから、宗教戦争自体起きたことが無いのだろうか。


 いや、そうでなくともだ。

少なくとも六百年の間、教会自体が衰退していたんだ。

世界中に広まっていたはずが、町一つ程度にまで落ちぶれていた。


 アムルはどうやってそんな事を成し遂げたのだろう。

それこそ、弾圧でもしなければ不可能な気がする。

けど、そんな歴史は存在しない。

ただ忘れ去られただけだ。


 アムルは神の名を挿げ替えた。

ニクスとこの世界の繋がりを断ち、ニクスをこの世界から追い出そうとした。

もしくは力を奪い、討ち滅ぼそうとしたのかも。


 今となっては、アムルの考えなどわかるはずもない。

しかも、アムル本人の意思ではなく、邪神に歪められたものなのだから。


 ともかく、ニクスが忘れ去られるのはアムルの計画通りとしても、教会自体が衰退したのは別の理由なのかもしれない。


 ニクスが忘れ去られた事による副次的なものなのか、歴代の枢機卿達が魔王の力に取り憑かれた影響なのか。


 ダメだ。考えが逸れ過ぎだ。

今はルスケアの事だ。


 グリアもセレネも、内戦については問題視していない。

今すぐに起こる事は無いと考えているようだ。


 ノアちゃんとカノンは、第二王子の言葉を気にしているだけだろう。


 その第二王子自身ですら、ルスケアの件は手をこまねいているようだ。

危険度は認識していながらも、対処方法の見当がつかないと言ったところか。


 仮に軍を派遣したとしても、私が背後にいれば勝てないと踏んでいるのだろう。


 けれどそんな考えなのは、極一部の者達だけだ。

大半の者達は何をバカなと笑っているはずだ。


 なら時間の問題じゃないのかしら。

やはり今すぐに起こらずとも、数十年、数百年後ならあり得る話しではないだろうか。



「ニクス教の方はどうなの?

 今日は言及されなかったようだけど、同様に危険視している可能性が高いわ。

 けど当然、何か考えがあるんでしょ?

 信仰を増やす事で、国と衝突する可能性があるのはわかっていたでしょ?」


「ええ。当然よ。

 とはいえ、私達がやっている事は難しい事じゃないわ。

 要は根回しね。

 有力貴族と繋ぎを作って、少しずつ認知させていっただけよ」


「それはそれで、貴族同士の派閥争いにでも巻き込まれるんじゃないの?」


「有り得るでしょうね。

 どれだけ上手く立ち回ろうとも、争いに巻き込まれるのが避けられない時も来るのでしょうね」


「手は打ってあるの?」


「勿論出来る事はしているわ。

 けれどね、絶対に巻き込まれない方法なんて存在しないのよ。

 私達に出来るのは、一番リスクの少ない選択肢を選び続ける事だけよ」


「最悪、戦争になっても仕方ないって事?」


「ええ。そうよ、アルカ。

 私もグリアさんもそう考えているわ。

 カノンならわかるでしょう?

 この先パンドラルカが大きくなって、人が集まってくれば否応なく敵も増えていく。

 商人同士の争いだって珍しい事ではないわ。

 例え血を流さずとも、足を引っ張りあって、商売敵の店を潰そうとしてくるはずよ。

 人間の社会で生きる以上、争いはどうあっても避けられないのよ。

 少なくとも、その覚悟は必要よ」


「そうね。

 今も実際、その可能性を見つけてしまったから、わざわざ店を作り直しているのだし」


 カノンはセレネと同じ意見なのね。

正直なところ、私もそう思う。

けど、もう少しだけ。



「ルスケアもそういう事なの?

 数十年、数百年先なら、戦争が起こっても仕方ないと?

 今すぐに攻め込まれる事はあり得ないから構わないと?」


「ええ、そうよ。

 その時は、その時の当事者達が力を尽くすでしょう。

 まあ、アルカ教は不自然な程急速に広まっているようだし、そこまで行かずとも、なにかの弾みに瓦解するかもだけど」


「だからこそ不味いんじゃない?

 ルスケア領主が口八丁で広めただけで、実態の伴っていない状態なのよ?

 何れは歪んだ考え方が広まってしまう可能性もあるのよ?」


「そんなのアルカの有無は関係無いわ。

 どの道、教会を運営するのは人だもの。

 ニクスだって六百年放置していたのに大した問題は……あったわね。

 まあ、魔王の復活の為に暗躍していた者達はいたけど、あれは特殊な例としておくわ。

 少なくとも、六百年放置されて、神の姿なんて見たことがなくても、細々と存続し続けていたのよ。

 この世界から、完全に排除される事も無くね。

 つまり、アルカが気にする事じゃないわ。

 なるようにしかならないのよ。

 そもそも、アルカ教が存続しようが、潰えようが、アルカにはどっちでも良いことじゃない」


 まあ、たしかに。

それはそうだけども。



「なんだか勝手な話ね。

 私の名前で勝手に立ち上げて、好き勝手教えを広めていくなんて」


「ふふ。

 神側の視点の話を聞けるなんて新鮮ね」


「大体、『勝手に立ち上げて』というのは間違いでは?

 扇動して利用しましたよね?」


「いやまあ、そうなんだけどさ。

 でも私が扇動する前から、それなりに集まってたよ?」


「ルスケア領主はよっぽど優秀なようね」


「手を組んでみない?

 ニクスと私で夫婦神として祀ってよ」


「嫌よ。

 私がアルカの一番なのよ。

 ニクスに取られるみたいで癪だもの」


「そんな理由なのですか?」


「そうよ。

 私の個人的な都合で認めないわ。

 私は聖女よ。ニクスの代弁者なの。

 私の意思はニクスの意思よ。

 少なくとも、周囲の者達はそう取るのよ」


「悪質過ぎます……。

 この聖女、即刻解任すべきではないでしょうか」


「不満なら、誰かと教会の担当変わっても良いわよ。

 というか、歓迎するわ。

 私、家でルビィ達と過ごしていたいし」


「ダメです。その手には乗りません。

 大丈夫です。

 どうせ、妙なことを企んでもグリアさんが止めてくれるでしょうから」


「そうなのよね……。

 それもイマイチやる気が湧かない理由なのよね」


「既に何か試そうとしたのですか?」


「いえ、まあ。

 大した事じゃないんだけどね。

 ちょっと町ごと乗っ取ろうかなって。

 いっそ独立国にでもしようかと思ったんだけど」


「何が『大した事じゃない』ですか!?

 思いっきりバカな事しようとしてるじゃないですか!?」


「いやほら、少し面白そうかなって思ったのよ。

 それに、色々都合が良いじゃない?

 パンドラルカの支援も出来るし」


「本音は?」


「あの町、お菓子屋が少ないのよね。

 いい加減飽きてきちゃったから、増やしたいなって」


「何を考えているんですか!!!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ