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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
31.白猫少女と新学期

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31-35.脱線

今回もアリア視点のお話です。





 大分話が逸れてきた。

当初の目的は私の退学を取り消させる事だ。

その為にテオ君を味方につけようと考えていたのだ。


 なのに何故か、テオ君父に私の正体を問い詰められた。


 その結果、アルカに変身したカノンお姉ちゃんが来てくれた。


 お姉ちゃんは私を庇ってくれるのかと思いきや、テオ君父に喧嘩を売り始めた。


 うむむ。未だにお姉ちゃんの目論見がわからない。


 案外、本気でキレてるだけって事は無いわよね?


 アルカの過去や、今回の件で良くない感情を持つのは仕方がない。


 とはいえ、それでもお姉ちゃんが無闇に喧嘩を売るとは思えない。


 私達の共通目標には、人々の社会から排斥されずに生きていくという大前提がある。


 わざわざ転移を見せつけて、こうも威圧的に振る舞えば、相手にとっては恐怖や警戒心を抱かせるだけだろう。


 これでこの国は知ってしまったのだ。

自分達の寝所に潜り込んで、暗殺することも容易なのだと。


 なんなら、何時でも国ごと滅ぼせるのだと。

いきなり城の真上に転移して、強力な魔法を叩き込む事すら可能なのだと。


 いや、その程度は既にバレている可能性はあるのか。

隣国にあるテッサという町では、緊急時とは言え町のど真ん中で披露してしまっているのだし。


 町に押し寄せる魔物達を空から強力な爆撃魔法で吹き飛ばした事は知れ渡っているはずだ。


 ならば、テオ君父がアルカと会いたがっている理由には、敵対的な意図は無いはずだ。


 武力では敵わないとわかっている相手に、意味もなく殴りかかったりはしないだろう。


 けど、ルイザの父親ならばどうだろうか。

ルイザの父は、今なお、アルカに憎しみを抱いている一人だと言う。


 グリア先生も、眼の前にノコノコ現れれば何をするかはわからないと言っていた。


 テオ君父も同じような思いを抱いてはいないだろうか。


 ルイザとテオ君父が親しげという事は、ルイザ父とテオ君父が親しい可能性は高いと思う。


 あれ?

でも、テオ君父はどう見ても二十代後半程度だ。

ルイザの父親も同世代の可能性があるのでは?


 魔王事件は既に五年も前の話だ。

そして、ルイザ父がアルカに敵意を抱いたきっかけはそれよりもう少し前のはずだ。

少なくとも、グリア先生はそう言っていた。


 二十代になったばかりで、見た事も無い相手に憎しみなど抱けるものなのだろうか。


 警戒はわかる。

聡い者ならアルカの危険性に気付く事は出来ただろう。


 けれど、憎しみとなると話が変わってくる。

どれだけ被害を被ろうとも、それは直接的な被害ではなく、貴族の立場としての何かだろう。


 当時、ストラトス家の当主ですらないであろう、若きルイザの父が、アルカの事を憎らしく思うものだろうか。


 ルイザ父の父、すなわちルイザの祖父ならばあり得なくは無いという程度のはずだ。


 ああ。そっちの可能性があるのか。

ルイザ祖父がアルカを憎み、それがアルカ父に伝わった。


 もしくは、ルイザ祖父が何かをやらかして、昔のアルカがそれを白日の下に晒しだした。

それによって、ルイザ祖父はその地位、いやもしかしたらその命すらも奪われた。


 そんな経緯ならば、ルイザ父がアルカを憎む可能性も存在するのか。


 他の敵対的な貴族達も似たようなものなのかもしれない。



『相手は貴族よ。

 別に肉親の進退だけの話では無いのかもしれないわ。

 単純に家名を傷つけられた事が気に入らないのかも』


 なるほど。

その感覚はよくわからないけれど、そういうものだという話ならわからなくもない。


 けれどだとすると、今目の前にいるテオ君父ならば話は別なのだろうか。

貴族当主の立場と、第二王子の立場では、見方が変わってくるのだろうか。


 例えルイザ父とテオ君父が親しかろうと、この件に関しては意見が別れているのかもしれない。


 娘のルイザですら、アルカに対して敵意など持ってはいないのだ。


 何なら、さっきからチラチラとカノンお姉ちゃんが変身したアルカを盗み見て、たまに頬を染めている。


 あれ?もう取られた?

いやいや。そんなまさか。

いくらアルカが超絶美人パーフェクトお姉さんだからって、そんな筈は……。



『やっぱりアリアって、あるじにそっくりよね』


 そう言いつつ、何で呆れてるの?



『ルイザはアリアの事も見ていたわ。

 案外、アリアとあるじが愛し合う所でも想像しちゃったのかもね』


 ルイザってムッツリさんなの?

何にせよ、意外と余裕があるのね。

どう考えてもそんな事に気を取られているような雰囲気じゃないのに。


 まあ、私が言えた事でも無いけど。

当事者なのに、お姉ちゃんとテオ君父の舌戦を放置して思考に没頭してしまった。



「まだわからないの?

 私が来た理由は単なる警告よ。

 次に私達に干渉すれば、相応の対応を取らせてもらうわ」


「ああ、勿論だとも。

 アルカ殿にも、御息女達にもこれ以上の干渉はせん。

 当然、アリア嬢の退学などという話も無しだ。

 こちらに限っては、私からも口添えしておこう」


 そこで一度言葉を区切るテオ君父。

少し間を置いて、続きを話始めた。



「とはいえ、これはあくまでも私の考えだ。

 この国の誰もが、というわけにはいかぬのだ。

 そもそも今回の事の発端は、アルカ殿の件とは無関係だ。

 こちらとしても学園内での揉め事にまで気が回る可能性は低い。

 そちらについては了承してもらえるかね?」


「流石にそこまで言わないわよ。

 干渉するなと言う以上、便宜を図れとも言わないわ。

 当然、この国が一枚岩だと思っているわけでもない。

 とはいえ、勿論今回の件は別よ。

 発端はそちらの失言なのだから」


「ああ。こちらもそれについては承知している。

 必ずアリア嬢の立場は守ると約束しよう」


 きっとテオ君父は、今回の件をキッカケにアルカの怒りを買うのが怖かったのね?


 会って話がしたいというのは、自らが火消しに動くためだったのか。


 確かに過去の出来事と今回の件は関係ない。

今回私を敵視しているサマラス先生は、アルカの事など想像もしていないだろう。


 そもそも厳密な意味では、サマラス先生が敵視しているのは私ですらない。

あくまでも、理事長とサマラス先生の確執だ。


 うん?

そうすると、何故理事長はテオ君父を巻き込んだんだ?

そうじゃないのか?

テオ君父が横から首を突っ込んだの?


 まさか、私は理事長に売られちゃったの?

まあ、この国の貴族の立場で王族に逆らえるとも思えないけれど。


 それでも、グリア先生のお母様が保身の為に私達を見捨てるとも思えない。

人となりを詳しく知っているわけでもないけど、なんとなくそう信じてる。


 誰が何を目論んでるの?

今のこの状況は、誰が思い描いた展開なの?


 まさか誰も何も考えていないの?

誰もが、場当たり的に必要にかられて行動した結果なの?


 それにしては不自然な部分が多すぎる。


 何故あの噂はあんなに早く出回ったの?

それも、真実とは少しだけ異なる内容で。


 何故テオ君父の行動はこんなにも早かったの?

理事長に私達を寄越すよう頼んだのもテオ君父なの?


 警戒するアルカの縁者を懐に招くなんて、即断出来るような事なのかしら。


 前々からアルカと関わりたいと思っていた可能性はある。

力を目当てにか、国を守る為かはわからないけれど。


 けれど、私がアルカの関係者だと知ったのは私がここに来てからのはずだ。

理事長が漏らしていたのでない限り。



『ううん。もう一つあるわ。

 ルスケアよ。

 第二王子は伯爵を警戒していた。

 そこにルスケア出身の平民の少女が学園に入学してきた。

 きっとアリアの存在自体は事前に知っていたのよ。

 だからこそ、アリア達の事は最初から警戒していた。

 もしかしたら、あるじとの関係という意味ではなく、伯爵の関係者としてだったのかもしれない。

 そこに昨日のアリアの評判を聞いたのでしょう。

 それであるじとの関係に気付いたのよ』


『つまり、この展開は殿下の目論見って事?』


『可能性はあるわね。

 テオの取り巻きの誰かにでも命じておいたのかも。

 アリアと何らかの繋ぎを作れと。

 あの噂の出所はその辺りじゃないかしら』


 流石にテオ君が私を城に招こうとしたのは想定外のはずだ。

テオ君の様子を見る限り、テオ君自身は何も知らされていない。

単に、キッカケを作るために騒ぎを大きくしただけなのだろう。


 もしこの考えが当たっているなら、テオ君も被害者なのかもしれない。

利用されて、私にフラレたという噂を意図的に流されてしまったのだから。


 いや、テオ君の事はこの際どうでもいいのだ。

可哀想だとは思うけども。


 でも、テオ君の女性恐怖症の件とか、話題にすらしそうにないし。


 というか、テオ君はアルカの事怖くないのかしら。



 『どうでも良いんじゃなかったの?』


 いやまあ、そうなんだけども。

でもなんとなく思考が向いちゃったというか。


 それで、ルイザは恐怖なんて言っていたけど、もしかしたら嫌悪感の方が近いんじゃない?


 単純に、心底嫌いなだけなのかも。

少なくともお姉ちゃんに向ける視線は恐怖ではなく怒りだ。


 お姉ちゃんのあんまりな言動に、怒りが恐怖を上回っただけの可能性もあるけど。


 案外、大好きなお父さんが女好きだから、嫉妬して嫌いになってたりして。

無いか。流石に。


 まあ、ほんとテオ君の事はどうでも良いのだ。



『なんか可哀想になってきたわ』


 ごめん、テオ君。

テオ君の話は今度時間がある時に聞いてあげるわ。

まだ私に好意が残っていればだけど。


 お姉ちゃんと一緒に嫌われてたらちょっとショックかも。

まあ、それも致し方なしだとは思うけど。



『もう少し惜しんであげて……』

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