表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
31.白猫少女と新学期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

774/1388

31-30.思惑

今回もアリア視点のお話です。





「「「失礼します!」」」


 私達は三人揃って理事長室を退室した。

もうすぐお昼休みが終わる時間だ。

まっすぐに教室へ戻るとしよう。



「そういえば、テオ殿下って婚約者いないの?」


 なんとなく女の子に慣れている感じはしない。



「アリア様、その呼び方も、その質問も廊下ではお控え下さいませ」


「は~い」


『いないそうよ』


『なんでラピスが知っているの?』


『職員室で話しているのを聞いたわ』


 盗み聞きしてるの?



『必要な事よ』


 まあ、そうね。

でも程々にね。ラピス。



「理事長先生は私の進退については、明言どころか話題にもしなかったわね」


「まだ決定ではありませんわ。

 例え当人であっても、生徒に話す事とは思えませんわ」


「なるほど」


 まあ、何故か理事長先生は、私が殆どの情報を知っている前提で話しているような口ぶりだったけど。


 もしかしたら、私を試していたのかもしれない。

私がどんな反応を示すのか見ていたのかも。

なら、ルイザとの関係も推し量ろうとしたの?


 どうしよう。

失敗したかしら。

普通に考えたら私は何も知らないはずなのに。

ルイザが教えてくれたのがバレたらマズイ?


 サマラス先生の言葉で察した事にすればいいのかしら。


 今日の私が得ることのできた情報は、クラスの雰囲気とサマラス先生のあの言葉だけだ。


 何も気にしていなければ、テオ君に失礼を働いたという認識すら無かったかもしれない。

とはいえ、その事についてはラピスがすぐに気付いたけど。


 そうすると、私が知らないはずの情報は緊急職員会議の事くらいね。


 だからこそ、理事長先生も私の退学云々は話題に出さなかった。

その上で私がどの程度現状を把握しているのか確認しようとしたのだろう。


 ルイザへの提案はその結果なのかもしれない。

私が本当に何も考えず無邪気に過ごしていれば、あの提案は無かったのではなかろうか。

これ以上事態を悪化させない為に、私をテオ君に近づけようとはしなかったのではなかろうか。


 そういう意味だったなら、私は理事長先生のお眼鏡に叶ったのかもしれない。

私なら自分でどうにかできると判断し、チャンスをくれたのかもしれない。


 どういう手段を用いたのかは知らないけど、理事長先生の計らいで放課後にテオ君と会える事になった。

まあ、会うのはルイザだけど。


 私はルイザについていくだけだ。

ただのクラスメイトとして。


 いっそメイド服でも着てみようかしら。

その方がバレなそう。

ラピスなら変身魔法でどうにでもしてくれるだろう。



『ラピス、放課後は私に同化して行かない?』


『メイド服はともかく、同化はするつもりよ。

 理事長はアリアの事しか言及してなかったわ。

 つまり、ラピスは同行を許可されたわけではないのよ』


 そうだったの?

全然気付かなかった。

普通に三人で行くつもりなのかと。



『あの王子様の側にそう何人も近づけるわけないじゃない。

 きっと、侯爵の娘であり、クラスメイトでもあるルイザだからこそよ』


 わかってるってば。

私達はおまけよ。

やっぱりメイド服が良いんじゃない?

ルイザの付き人として付いていきましょうよ。



『そんな事して直前で弾かれたらどうするの?

 従者まで付き添えるとは限らないのよ?

 今回は素直にクラスメイトとして付いていきなさい』


『は~い』



「そうだ。

 ルイザの婚約者は?

 十歳なんだし、そろそろいるんじゃないの?」


「まだおりませんわ。

 この国の貴族は、初等部卒業と共に婚約致しますわ。

 とはいえ、王族とその相手に限っては別の話ですが」


「ならテ、殿下は?」


「その……なんと言いますか、殿下は……。

 少々女性に苦手意識を持たれているようでして」


 え?

どういう事?



「アリア様が初めてなのですわ。

 あのような態度を取られたのは。

 お誘いどころか、言葉を交わす事すら稀なお方ですから」


「そうなの?

 でも、テオ君の方から絡んで来てたよ?

 挨拶にこんのか~って」


「アリア様……」


「あ、ごめんごめん。

 殿下殿下」


「それも止めてくださいませ!」


「ごめんって」


「もう……。

 それで初対面時の殿下の行動についてでしたわね。

 私もそれについてはわかりませんわ。

 案外、一目惚れでもされたのでしょうか」


 一目惚れ?

本当に?

最初の一言目はそんな感じじゃなかったよ?

警戒心満載って感じだったし。

少なくとも照れてはいなかった。


 そんな事を考えていると、私の表情を読み取ったルイザが補足してくれた。



「もしや勘違いされていませんか?

 苦手意識とは年頃の少年が照れくさがるような意味ではありませんのよ?

 恐らく殿下の場合は恐怖等に近い感情ですわ」


 女性恐怖症って事?

テオ君の過去にいったい何があったのかしら。



「それなら放課後の訪問って大丈夫なの?

 ルイザも近づけさせて貰えないんじゃない?」


「殿下ご本人はともかく、殿下の周囲はむしろ近づけたいのですわ。

 だからこそ、今回の件は大きな影響を引き起こしたのですから」


 え?

理事長先生の言っていた、同行したらより深刻な事態にって、まさかそういう意味でなの?

近づいたらこれ幸いとテオ君とくっつけさせられるって事?


 というか、求婚を断ったからって噂で大騒ぎになったのもそういう意味だったの?


 まさか私、テオ君が女性恐怖症を克服する千載一遇のチャンスを不意にしたって思われてる?

むしろ悪化させたと思われかねないの?



「ルイザ?

 なんでその話先にしてくれなかったの?

 それだと色々話が変わってくるじゃない」


「……そうですわね。すみません。

 ですが、他者の苦手なものを吹聴するわけにもまいりませんわ。

 ましてや相手は王子様でしてよ?

 そうそう口になどできませんわ」


 まあ、それはそうだけども。



「そうね。無理を言ったわ。

 ごめんなさい」


 それにしてもどうしたものかしら。

これ、放課後も行かないほうが良いんじゃないの?


 う~ん、でも、逆に早く行ったほうが良いのかしら。

もっと噂が広まって、万が一お城から呼び出しなんてかかったら目も当てられないもの。


 ならいっそ先にテオ君と話をつけておく方が良いわよね。

流石に婚約者になるのは無理だけど、お友達として女性恐怖症の克服に協力するくらいはやぶさかでもない。


 でもな~。

私が勝手にそこまでやったら怒られないかしら。


 カノンお姉ちゃんに逐一報告しているラピスが何も言ってこないのだから大丈夫だとは思うけど……。


 カノンお姉ちゃんもあんなに張り切ってくれていたのに、良いのかなぁ……。



『大丈夫よ。

 カノンも取り敢えず話に乗ってみろって』


 まあ、それなら良いけどさ。

後でやり過ぎ!って言われないと良いな~。



『それはアリア次第よ。

 けど安心して。

 今度は私も中からフォローしてあげるから』


 そう。なら取り敢えず頑張ってみるわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ