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31-15.報告と帰宅

今回もアリア視点のお話です。





『なるほど。

 初日から王子を惚れさせてしまったと。

 まあ、アリアだものね。

 こんな事なら、メイクの一つも教えておくべきだったわ』


『多分意味ないと思う。

 外見だけ地味に見えるようにしても足りないわ。

 アリアの場合は言動の方にも問題があるもの。

 カノンのようにそこまで意識して動けるわけじゃないのよ』


『まあ、そうね。ラピスの言う通りかも。

 それにしても、どうしたものかしら。

 今日はこれ以上何もせず、大人しく帰るべきかしらね。

 一応大義名分はあるみたいだし』


『どういうこと?カノンお姉ちゃん?』


『直前に婚約者がいると明言しているのでしょう?

 それもクラス全員が聞けるような状況で。

 王子はそれを聞いていた上で誘ったのでしょう?

 なら、非は王子にあるとも言えるの。

 アリアはむしろ王子に気を遣った事にしましょう。

 敢えて失礼な断り方をする事で、自ら泥を被ったという方向に話を持っていくわ。

 何かあれば私が話をつけるから、取り敢えず今日のところは帰りなさい。

 今晩にでも、今後アリアが周囲の子達にどう接するべきか話し合っておきましょう』


『カノン、それは少し強引すぎないかしら。

 婚約者がいるとは言っても、アリア達はまだ子供よ?

 王子はそんなつもりではなく、ただ気になる友達を誘っただけかもしれないわよ?』


 正直私もラピスに同意見だ。

少なくとも、テオ君はまだそういう感情を理解していない。

私の見た限りではだけど。



『大丈夫よ。

 問題になるにせよ王子本人が何か出来るわけではないの。

 そういう時は必ず誰かしら大人が関わってくるわ。

 よっぽど面倒な人が出てこない限り、それなりに話は出来るはずよ』


『あ~えっと~』


『アリア?どうかした?』


 言葉に詰まった私の代わりに、ラピスが説明してくれた。



『面倒な人が関わってくるかもしれないわ。

 理由はわからないけど担任がアリアを良く思っていないみたいなの。

 教室で起きた騒ぎなのだし、明日にでも何かしら仕掛けてくるかもしれないわ』


『……何があったの?』


『それは~その~』


 またしても言葉に詰まってしまう。



『長くなるからその辺りの話は今晩改めてにしましょう。

 ラピスから全部説明するわ』


『わかったわ。

 とにかく二人とも気を付けてね。

 何かあったらまた連絡して』


『ありがとう、カノンお姉ちゃん。

 また後でね』


『うん。それじゃ』


 カノンお姉ちゃんとの念話が切れる。


 これはまた今晩も家族会議だわ。

サマラス先生との事も全部話さなきゃよね。

初日から授業をサボった事怒られないかしら……



『アリア』


 ルカ?



『ルカ、どうかしたの?』


『帰りが遅いから。

 早く帰ってきて。

 訓練始めるよ』


 ルカったら。

そんなに私に会いたかったのかしら。

まだ放課後になってから三十分くらいしか経ってないのに。


 明日はお昼に誘いに行ってみようかしら。



『すぐに帰るわね!

 私も早くルカに会いたいわ!』


『はいはい』


 ルカとの念話を区切って、私とラピスは校門へと向かう。

一応警戒していたおかげで、誰か知り合いに見つかる事もなく、学園外に出る事に成功した。


 どうして初日からこんなにコソコソしなくちゃいけないのかしら。


 いやまあ、私の迂闊さが原因なんだろうけども。

とにかく、これ以上何か問題を起こすわけにもいかないし、早く帰らなくちゃ。


 十分に学園から離れたところで路地裏に身を隠し、ラピスの転移で帰宅した。



「ただいま!ルカ!」


「おかえり。遅いよ、アリア。

 終わったらすぐに帰ってきて」


「ルカが早すぎるのよ。

 少しは友達と話したりしないの?」


「友達なんてまだいないよ。

 アリアと一緒にしないで」


「リヴィは?」


「リヴィは……いっぱい出来てたけど……」


「みんなやさし!」


 リヴィは二学年としては少し小さいものね。

みんな妹みたいに可愛がっていたんじゃないかしら。



「あれ?アルカは?

 真っ先に出迎えてくれそうなのに」


「アルカ世界にいるみたい」


「また新しい女かしら」


「ツク姉はこっちにいたよ。

 アルカの居場所はツク姉が教えてくれたの」


 じゃあ違うのかな?

新しいハルちゃんズの皆はお姉ちゃん達と契約してるし。



「あるじは何をコソコソしているのかしら」


「主、我達にも秘密にしてるみたい」


 ラピスとクルルまで知らされてないの?

いつもは思考まで覗かせているのに?

あやしい。とっても怪しいわ!

匂うってやつね!



「ラピス、アルカの様子見てきてくれる?」


「ダメ。アルカネットが使えないわ。

 なんだろうこれ。回路が詰まってる?

 すっごい負荷がかかってるみたいよ。

 何でラピス達には声かけてくれなかったんだろう」


「ならツクヨミお姉ちゃんに聞きに行きましょう。

 アルカの部屋よね」


 今度は私、ルカ、ラピス、リヴィ、クルルの五人でアルカの部屋に転移した。



「ツクヨミお姉ちゃんそこに居るんでしょ?

 アルカは何してるの?

 ラピスとクルルを締め出すなんて、あんまりじゃない?」


『アリア、ラピス、おかえりなさい。

 アルカ様は新たに開発した技術の試験運用中です。

 ラピスとクルルが繋がれないのは意図的なものではございません。

 かくいう私も、今はアルカ様と言葉を交わす事すら叶いません』


 なるほど。

アルカネットを専有して何かしているから、一時的に使えない状態なのね。


 それで、外部との連絡が一切とれない状態と。

ニクスはどこかしら。

ニクスなら方法もあると思うのだけど。



「わかったわ。

 ありがとう、ツクヨミお姉ちゃん。

 それと、ただいま」


『はい。アリア』


 あれ?

ちょっと違和感。



「ツクヨミお姉ちゃん、何か疲れてる?」


『あらあら。ふふ。

 そんな事はありませんよ。

 心配してくれてありがとうございます』


「そう。なら良かったわ。

 じゃあ行くから、アルカが出てきたら伝えてね。

 私達は訓練場に居るから」


『はい。必ず』


 私達は、今度は訓練場に向かった。

セフィお姉ちゃんならニクスの居場所がわかるかな。

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